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「画家の眼差し、レンズの眼 近代日本の写真と絵画」 神奈川県立近代美術館 葉山

神奈川県立近代美術館 葉山で開催中の「画家の眼差し、レンズの眼 近代日本の写真と絵画」に行って来ました。
行く前までは、展覧会の趣旨がいまひとつ分からず、どんなもんだろう?と思ってましたが、実は私が一番知りたくて、好きな分野を扱った中身の濃い内容。

簡単に行ってしまうと、写真の草創期と近代絵画-油画、水彩-の成立について、お互いの影響度合いを検証しましょうというもの。
絵画的写真のことを専門用語で「ピクトリアリズム」というそうだが、如何にして現代の写真芸術に至ったかの過程を知ることができる。

写真100点、油彩画30点、水彩・素描50点、日本画10点、版画25点、計215点で以下の構成で展示。
Ⅰ章 「写す」ということ-油画と写真の草創期
Ⅱ章 写真のような絵、絵のような写真
    -「みづゑ(水彩画)」とピクトリアリズム
Ⅲ章 画家の眼、レンズの眼
Ⅲ-1 構図と構成
Ⅲ-2 光と影



<個人的に思う本展のみどころ>

1.写真の成り立ち、歴史が分かる。
東京都写真美術館でも同様の解説は試みられ、何度か目にしているが一向に頭に入って来ないが今回は、簡潔な説明と流れでよく分かった。

2.絵画のような写真を目指した。
とにかく一番印象に残った作品は、第Ⅱ章の冒頭を飾る黒川翠山の写真(タイトルなし)1906年頃のもの。
杉木立を蓑姿の男が後ろ向きに立つ姿は、瞬間を捉えたものなのか?
背景の杉木立、奥にゆくほどぼかしが入り、まさに絵画のような写真。
このほか、地元愛知県の写真家である日高長太郎や大橋松太郎の写真も、美術としての写真が見事に成立している。

3.絵を真似たの?
左に元ネタと思われる絵画、右にその絵画からインスパイアされた写真。両者の比較がたくさん見られる。
代表的なものは、展覧会チラシにあるように福田平八郎の≪漣≫と岡本東洋≪漣≫(いずれも後期展示)。
まさに、瓜二つ。

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福田平八郎の≪漣≫1932年 絹本着色 大阪市立近代美術館建設準備室蔵 

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岡本東洋 《漣》1936年 『美術写真 大成 秋1』

もうひとつ、感動の組み合わせがあった。
秦テルヲ≪木≫1929年頃と福原路草≪喬木≫1937年。
よくも、これだけ見つけて来たなという写真と絵画のペアリングの数々。
これらのペアリングは、明らかに影響を受けたと確信できるものと学芸員の想像の域を出ないものとに分かれるかもしれない。しかしながら、当時の写真と絵画をよほど沢山見なければ、これらの組み合わせは決して浮かんで来ない。
それが、本展のもっとも素晴らしい点として挙げられる。


私としては、大好きな高橋由一の油彩や福原路草や信三兄弟の写真がたんと見られるし、先日京近美で見た野島康三の位置づけがやっと理解できたりととにかく収穫が大きかった。
知らない画家だったが、大下藤次郎の水彩にも惹かれた。
大下の作品は島根県立石見美術館の所蔵品データベースで多数画像が紹介されている。こちら

もっともっと素晴らしい写真、絵画が沢山あり、語るべき内容も多いのだが、うまく文章にまとめられないのが自分でも歯がゆい。

中山岩太の最初期の作品≪ポートレート(女の肖像≫1916年はゴム印画という技法は写真というよりドローイングのようだった。陰影がよく表現されている。こんな写真も撮っていたのかと改めて中山岩田の魅力を知る。
この岩田の写真は最終章で展示されていたが、対するはワルワーラ・ブブノワの≪自画像≫1930年代(石版)。最終章は光と影、白と黒という共通点から写真と版画を紹介しているが、果たして本当に共通しているのだろうかと疑問が残った。

神奈川近代美術館は、鎌倉も葉山も企画展に作品リストが用意されていなかった。愛知県美も常にリストが作成されていないが、これは何か意図があってのことなのだろうか?
やはり希望者にはリストを渡していただく配慮が欲しい。

*8月23日まで開催中。こちらも巡回はありません。お見逃しなく!

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神奈川県立近代美術館

[葉山館] 神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1 [鎌倉館] 神奈川県鎌倉市雪ノ

画家の眼差し、レンズの眼 近代日本の写真と絵画(神奈川県立近代美術館 葉山)

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あおひー様

はやっ!
びっくりしました。
てっきり、神奈川近美とセット訪問かと思ってました。

PS:本日送りました。

No title

ということで早速行ってきました。
memeさん、ありがとう!!

まさに今このタイミングで見られてよかったです。
ピクトリアリズムの末に居られたらなあと思いました。

jchz様

企画展のリストがない美術館が増えているように思います。
経費節減というより、図録を売りたいのではないかと想像しているのですが。
聞くと必ず、「図録に掲載リストがあります」と言われますから。

静物画と言えば、野島康三の枇杷やパイナップル。
京近美での個展で展示されていた写真より、こちらに展示されていた作品の方が
私は好きです。
野島康三に抱いていたイメージが、上向きました。

No title

こんばんは。私は、新日曜美術館で取り上げられたのを見て、これは行かなくては、と思い、行ってきました。
個人的には、静物画を真似た写真というのが面白かったです。自分でも、りんごとみかんとお茶碗を並べて、岸田劉生ふう?とか、木村荘八ふうの写真を撮ってみようと思いました。
出品リストが用意されていないのは、経費節減のためでしょうか。残念です。

あおひー様

実は、この記事あおひーさんを意識して頑張って書いたのです。
ぜひ、あおひーさんにご覧になっていただきたくて、文中に入れようかと
思ったくらい。

今後の写真に参考になるような展覧会だと素人目にも思います。
ゴム印画のぼやけた感じ、それ以外にも写真草創期には今と違って
いろんな技法が使われていました。
それらを使った名品がかき集められています。
本当にオススメします。

No title

こんばんは。
これはノーチェックでした。かなり面白そうです。
ゴム印画というのが猛烈に気になります。
絵画的な写真というのは常に頭の中にあって、撮るときに意識しています。
昔からそういう試行錯誤は繰り返されてきたんでしょうね。
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