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「百鬼夜行の世界」 国立歴史民俗博物館

yagyou

「妖怪天国ニッポン」から「百鬼夜行の世界」と妖怪ものネタが続きます。

国立歴史民俗博物館で開催中の「百鬼夜行の世界」を見ました。行ったのは先月のこと。
この展覧会は、人間文化研究機構が主催するものです。
機構を構成している国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)と国文学研究資料館(東京都立川市)の2会場童子開催で百鬼夜行の系譜と江戸時代に花開く多様な百鬼の文化を紹介するもの。

展覧会に先立ちこちらで告知の案内を拝見した私は、迷っていたが結局展覧会に先立ち行われ同機構第10回公開講演会・シンポジウム「百鬼夜行の世界」に申し込みし、聴講までしているのであった。
この夏はまさに妖怪一色。いや童画展も沢山見ているので、妖怪と童画の2色状態か。

佐倉市にある民博の展示は、だだっ広い博物館の第3展示室のほんの一角。
スペースにするとごくわずか。何しろミニ企画展示扱いであるところに一抹の寂しさを覚える。
展示作品は、最大8点。本当は9点展示されるが展示替えでいつ行っても全部は見ることができない。
私は7月に行ったので、以下8点を観賞した。
≪百鬼夜行絵巻≫ 大徳寺真珠庵蔵 (重文) 室町時代 8月20日までの展示
≪百器夜行絵巻≫ 国立歴史民俗博物館蔵 8/21~8/30まで展示。真珠庵のものと交代。
≪百鬼夜行図≫ 国立歴史民俗博物館蔵
≪百鬼夜行絵巻(百鬼ノ図≫ 国際日本文化研究センター蔵 
≪百鬼夜行絵巻≫ 京都市立芸術大学芸術資料館蔵
≪百器夜行絵巻≫ 兵庫県歴史博物館蔵
≪百鬼夜行図≫ 東京大学総合図書館蔵
≪百鬼夜行図(異本)≫ 東京国立博物館蔵
大徳寺本以外は全て江戸時代。

全部、百鬼または百器の夜行図、絵巻なのだが、実際に見てみると、明らかに一番上にある大徳寺真珠庵本の出来が良い。
出来が良いというのは、絵巻としての状態、色の鮮やかさ、絵の上手さである。作者は土佐光信と伝わるが、確定していない。更にこれは室町時代に描かれた唯一の百鬼夜行絵巻として大変貴重なものとされている。
ここに描かれている妖怪は古道具が擬人化されたお化け「付喪神」(つくもがみ)で、この絵巻以後百鬼夜行とは、道具の妖怪たちの行列、「百器夜行」とイメージされる傾向が強くなっていく。
上記リストも百鬼と百器が混在していることで、おわかりいただけることだろう。

一方、「百鬼夜行」という言葉は、平安末期から鎌倉初期の説話集「今昔物語集」に先に登場しており、必ずしも道具の妖怪とはされておらず、妖怪研究第一人者の小松和彦氏によれば、複数のタイプの「百鬼夜行」の説話があったという。

これまで、美術界では真珠庵本を絶対視する傾向があったが、そこに新たなメスを入れた研究成果が前述のシンポジウムで発表されていた。

シンポジウムでは
基調講演 「百鬼夜行絵巻誕生の謎を解く」 
       小松和彦 (国際日本文化研究センター教授)

報告1   「美術史の立場から『異形異類』と『行列』をキーワードに」
       若杉準治 (京都国立博物館列品管理室長)

報告2   「妖怪の行進」 
       徳田和夫 (学習院女子大学教授)

報告3   「百鬼夜行の世界・情報学の立場から」
       山田 奨治 (国際日本文化研究センター准教授)

その後休憩をはさんで専門家による報告についてのコメントとパネルディスカッションが行われた。
私は報告3まで聞いて退出したので、その後の質疑応答ディスカッションについては聞いていないが、もっとも興味深かったのが最後の山田准教授による報告だった。

彼は真珠庵本の位置づけを見直すために、新たな情報学的アプローチを試みた。
簡単に言えば、図像配列を記号化し、「百鬼夜行絵巻」に描かれた個々の図像を記号とみなせば、伝本間の編集距離を求めることができる。
この方法で編集距離の数値を割り出し、系統樹を作成した。
検討対象になったのは、真珠庵本と比べて図像の増減のない9本の絵巻(日文研B本(新たに発見された)、京都総合資料館A本、伊藤家本、クラクフ本、歴博A、日文研C、立教大本、スペンサーB本)。

この結果、日文研B本が祖本の形態を比較的よく留めている一方、それ以外の真珠庵本含む8本は「鍋蓋取手」が脱落した摸本を転写したものであることを示した。
日文研B本には鍋蓋取手が唯一描かれている。

つまり、真珠庵本は摸本の摸本という可能性が強まり、日文研B本がもっとも祖本に近いと価値急上昇かという発表だったのである。

休憩時に、会場内で着流し姿の京極夏彦氏とすれ違った、氏曰く「山田さんの発表が面白かったなぁ~」とどなたかとお話されているのを耳にした私です。

・・・とこのような研究成果を聞いて改めて絵巻を見るのもまた一興。
何も知らずに、妖怪たちの行進を見るのもまた一興。

立川の国文学研究資料館に行く予定はなかったが、今日の日経新聞朝刊にこの展覧会の記事が掲載されていた。
何か妖怪に呼ばれている気がするので、やはり行ってみようか。

小松和彦氏の発表は下記出版済みの「百鬼夜行の謎」(集英社ビジュアル新書)と同じ内容なので、未読の方は読まれてみてはいかがでしょう?

emaki

*8月30日まで開催中。真珠庵本は8/20までの展示となるため要注意。

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