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「光 松本陽子/野口里佳」 国立新美術館

明日(8月19日水曜日)から10月19日まで国立新美術館で開催される「光 松本陽子/野口里佳」展の内覧会に行って来ました。
と言っても、16時開始時間には到底間に合わず、退社時間に即勤務先を出て、新美術館に到着したのは17時半。間に合って良かった。

早速、ご報告をと行きたいところだが、出品作家の松本陽子(絵画)、野口里佳(写真)のことをご存知ない方のためにプロフィールと本展概略をご案内。

<概要>
松本陽子(1936年生まれ)は、1960年頃より抽象絵画の制作を始め、1960年代末に滞在したアメリカ合衆国でアクリリック(アクリル絵具)に出会い、新しい絵画の可能性を認識する。これを機に1980年代から1990年代に、ピンクを主調とした独自の抽象絵画のスタイルを完成させた。近年では、緑の油彩画連作により、新しい境地を開いている。
matsumoto
松本陽子 《光は荒野のなかに拡散しているⅡ》 1993年、アクリリック/カンヴァス 愛知県美術館蔵

一方、1990年代初めより写真による制作活動を開始した野口里佳(1971生まれ)は、《フジヤマ》(1997-)などの完成度の高い連作により、早くから注目を集める。卓抜なテーマの選択と特有の距離感をたたえた画面は、国際的にも高い評価を受け、活躍を続けている。
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野口里佳 《太陽#23》 2008年、Cプリント

本展では、光をタイトルとして松本作品、約50点、野口作品約90点の近作を中心に、それぞれの個展形式で展示することにより、現代芸術の一つの達成を紹介する。

見どころや更なるプロフィール詳細は、国立新美術館HPに掲載されています⇒こちら。
・野口里佳公式HPはこちら

本展は「光」をタイトルとしているが、、「光」というテーマに重きを置いている訳ではない。むしろ、松本、野口という表現媒体も世代も異なる現代作家の2人を紹介するために、敢えて「光」というテーマとしたようだ。本展監修は国立新美術館学芸課長の南雄介氏が、展覧会図録序文に寄せた内容から、開催主旨が読み取れる。
したがって、展覧会を観賞する上で、あまり「光」にこだわらず、相対する2人の作家の個展を見るというフラットな気持ちで作品を楽しむと良いと思う。そこにこだわってしまうと、せっかくの作品が楽しめないと私は感じた。

展覧会会場を受付を抜けると、観賞者は松本展示室、野口展示室どちらを先に見ても良い構成になっている。つまり、入口が2つあり、長方形の展示空間を縦に2分割して各人に割り当てている。

私はもちろん野口さんの展示室から入る。2004年の原美術館での個展「飛ぶ夢を見た」は、自宅でたまたま真っ青な空を白いロケットが飛んで行く写真画像をネットで見つけ、どうしてもその写真を見たくなり、わざわざ東京まで向かったのだった。
あまりにも素晴らしい展覧会で、あの日の感動を忘れることができない。それ以来、私は野口さんの大ファンなのだった。

最初にあるのは≪フジヤマ≫シリーズ。
このシリーズも大好きだが、原美術館での展覧会の時はサイズが小さかったが、本展では、95.6×66.9㎝サイズ(縦横の違いあり)で見せてくれた。
やはり、写真から醸し出す色の雰囲気がたまらなく良い。雄大な風景の中の小さな人物、大きな空に少しだけ富士山の大地が顔を出している構図。

懐かしさに浸りつつ、次に進むとこれも原美で見た≪星の色≫シリーズ。与那国の海底遺跡を野口自らがダイビングライセンスを取得し、水中撮影したもの。
原美術館の展覧会を見た当時、私もダイバーでよく潜っていたので、この写真はダイバーとして惹かれた記憶がある。与那国には潜ったことがないけれど、一度遺跡を見てみたいと思ったのだ。

ここまでは、国立新美術館の真っ白な壁と高く白い天井のためか、作品が小さく見えた。普段写真の展覧会はもっと天井高の低い展示室(例えば、東京都写真美術館など)で見ることが多いので、とても違和感があった。どんな写真もあの白の空間では作品が飲み込まれてしまうと言ったらよいのだろうか。負けてしまうのである。

箱が厭だな。。。と思いつつ次の空間へ入る。作品シリーズによって仕切りがある。
ここで、一挙に白の世界から黒の世界へ移行した。
天井の明かりとりを閉じ、照明を落として写真1点1点にスポットが当たっている。
断然、こちらの展示の方が落ち着く。
この空間にあるのは、2007年ギャラリー小柳での個展『マラブ・太陽』出品作品の≪太陽≫シリーズ、続いて次に≪マラブ≫シリーズがある。
ギャラリーでの個展では空間に制限もあるため、個展で拝見していない作品も沢山出ていた。
個人的には≪太陽≫シリーズがとても好き。
個展でも気に入っていた作品、格子窓越しに太陽を撮影した1枚#31が、格別気に入っている。

≪マラブ≫シリーズはマラブという鳥をモチーフにしている。鳥なのだけれど、ギャラリーでこの写真を最初に見た時、女の子(人間)かと思った。
そして、この勘違いを肯定するかのように、最奥に1枚≪無題(アニカ)≫が展示されている。
こちらは人間だがマラブの姿に似ているのだ。

突き当りまで行ったので戻って、次の空間に移ると、≪白い紙≫2005年オフセット印刷が平台に置かれている。
写真とは違う魅力が白い1枚の紙にあった。思い出の中の1ページが眼前に現れたといった感じだろうか。

ここを抜けると、再び明るい世界に戻る。
≪砂漠で≫シリーズ2006年~2007年。このシリーズは他のものとかなり異なる。正直私の好みではない、というか野口里佳さんらしさがあまり感じられなかった。

しかし、次に待ち受けていたのが私が一番好きな≪水をつかむ≫シリーズが3点も!
原美術館で2階に上がる階段横に飾られていた写真と言えば思い出される方も多いのではないか。
過去に見ていない2点もあって、とても嬉しかった。
≪水をつかむ≫というタイトル通りの一場面。液体は写真の中ならば、つかめるのだ。

そして、暗幕の向こうには新たな試み映像(ビデオ)作品≪星≫2009年が。これは島袋道浩との共同制作。

いよいよ、フィナーレに近づく。
最後のコーナーでは懐かしの≪飛ぶ夢を見た≫2003年シリーズとその続編となる最新作≪飛ぶ夢を見た2≫が一同に展示されている。
しかし、最後の最後にビッグサプライズが。
展示室出口横にある150×100㎝の大作は、何と先月の日食時の写真である。タイトルはそのものズバリ≪日食(武漢)≫2009年。会期ぎりぎりまで新作を狙う、野口のプロ精神に脱帽した。
この作品に、一挙に心奪われた。そして、残る2点小品ながら、新境地を見せているのが、同じ最終コーナーにあった≪虫と光≫2009年2点。
版画のような写真というべきか。すごく私の好みだった。これ、どうやって撮影しているのだろう?

上記超最新作の3点は、図録作成時点で完成しておらず掲載されていない。
本展の一推しはこの最終コーナーかもしれない。一番印象深かった。


もうひとつ。松本陽子の展示は、以下の構成。
・ピンクの絵画
・水彩
・緑の絵画とドローイング
・グレーの絵画
・緑の絵画
・黒の絵画

色調やタッチは違うが、同じ抽象画。
こちらは、全展示室、白の壁、白天井だったため、更に作品が呑みこまれていた。
相当強い個性がないと、あの空間に負けてしまう。
そういう意味で、国立新美術館の展示室は作家泣かせだなと感じた。

「光」を直接的にとらえているのが野口作品、内包的にとらえているのが、松本作品だと思う。
両者の比較も見どころのひとつ。

ぜひ、お出かけください。

なお、次の日程でアーティストトークが開催されます。
●野口里佳
日時:2009年8月22日(土) 14:00~16:00
会場:国立新美術館3階講堂
定員:先着250名

●松本陽子
日時:2009年8月30日(日) 14:00~16:00
会場:国立新美術館3階講堂
定員:先着250名

※いずれも聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)が必要。

*10月19日(月)まで開催中。

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テツ様

こんばんは。
与那国の海の青も素敵でしたね。
記事にも書きましたが、原美術館の個展以来待望の美術館での展覧会。
何度見てもフジヤマや水をつかむなどは良いです。
更に新作も、新たな展開。
色と光の扱い、構図が良いのでしょうか。
上手く魅力を伝えきれずもどかしいです。

野口里佳

以前アートフェア東京で観た数点と写真集しか目にしていなかったのですが、心にひっかかる作家でした。必見と思いつつ足を向ける機会がなく持ち越していましたが、ようやく鑑賞。美しくて、様々なイマジネーションが喚起されて、深く引き込まれました。
与那国の海底遺跡見てみたいです。(ダイビングは出来ませんが)

はろるど様

こんばんは。
ホワイトキューブは、原美の展覧会を見ていたのでつい比較してしまいました。

はろるどさんお好みの「水をつかむ」は原美では1階から2階に上がる
階段スペースの壁面に展示されていて、ドンピシャにマッチしてました。
私も原美の展覧会では「水をつかむ」がベストだったのです。

No title

こんばんは。例のホワイトキューブはさほど気になりませんでしたが、やはり何故にこのお二方という印象は拭えませんでした。

日食まで狙われたとはビックリでしたね。仰る通り妥協しない姿勢は素晴らしいと思います。

にしても、今更ながら原美の個展を見逃したのが悔しいです…。(最近、そんなことばかりです…。)

あおひー様

こんばんは。
野口さんの写真に関して言えば、ちょっとこの会場の高さはミスマッチ
だったように思います。
やはり、原美術館での展覧会があまりにも素晴らしかったので、
どうしてもそれと比較してしまって我ながら良くないなぁと感じてます。

No title

こんばんは。
やはり大きい箱だと写真はどうしても小さく見えてしまいます。
かと言って、これ以上引き伸ばすと画面が荒れてしまうので仕方のないところです。
ああ、ほんっと写真って難しい~。

くるりん様

はじめまして。
コメントありがとうございます!

> あの真っ白でフラットな光が原因だと思うんですが、額のガラスに自分の姿や周りの景色が写りこんでしまって、作品がしっかり見えないんですね。
> あれが本当に残念でした。
⇒ 全く同感です、上からの光がどうにも気になって。
  高すぎる天井も写真の場合不利な気がします。更に、真っ白白なのがもう。。。

アーティスト・トークはファンを自称しながら行けなかったので、内容を教えていただいて
感謝感謝です。
今後とも拙いブログですが、よろしくお願いいたします。

No title

はじめまして!くるりんといいます。
昨日「光」展を見に行って、アーティスト・トークに参加してきました。
上記レビュー、ものすごく丁寧に書かれていますね!
昨日美術館の中をめぐったことがリアルに想い返されます。

実は僕も「箱が厭だなぁ」と思った一人で嬉しく思いました。
あの真っ白でフラットな光が原因だと思うんですが、額のガラスに自分の姿や周りの景色が写りこんでしまって、作品がしっかり見えないんですね。
あれが本当に残念でした。

超最新作の≪虫と光≫ですが、アーティスト・トークでのご本人談によると、自宅のカーテンに止まっていた「ガガンボ」を撮ったもの、だそうです。
新境地が今後どう形になっていくのか、期待したいですね。
≪日食(武漢)≫はまさしくギリギリ間に合った作品ということでした。
橋の上で撮影していたら現地の人が(写真撮影を見に)集まってきて、テレビ局にインタビューまで求められて「この忙しいときに!」とたいへんだったそうです。
ちなみに≪飛ぶ夢を見た2≫は「宇宙をワープしているところ」で、被写体やテクニックなどは「秘密」だと笑っていました。

改めてレビューを読み返してみると、僕自身ほぼ同じ印象をもっていてなんだか安心しました(笑)
ちなみに「太陽」では#31が、僕もお気に入りです。
長文失礼しました。

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