スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「大正ロマン 昭和モダン 大衆芸術の時代展~武久夢二から中原淳一まで」 茨城県天心記念五浦美術館 はじめての美術館42

taisho

久しぶりの「はじめての美術館」シリーズ。本当は相当先月行っているのですが、全く記事が追いつかない。
今回は、この企画展のために「ついに行くぞ!」と決心した茨城県天心記念五浦(いづら)美術館へ行った。
どうやら、こちらの美術館では過去にも高畠華宵の企画展を行っていたり、大正・昭和の大衆芸術について紹介されている様子。

そして、今回の企画展は凄かった。
大正、昭和の大衆芸術の様々ん担い手による挿絵や原画、肉筆画、版画、雑誌、楽譜、双六絵、羽子板絵、装丁本など、多種多様な作品を何と248点!一堂に展示している。展示品は浮世絵コレクター・研究者として名高い中右瑛氏の所蔵品。同氏は浮世絵だけでなく、こういった大衆芸術作品の数々もコレクションされていらっしゃるとは恐れ入る。
どれもコレクターのフィルターを通しているせいか、上質なものが多い。

展覧会の構成は以下の通り。
Ⅰ.大衆芸術のパイオニア、竹久夢二
このコーナーの夢二作品だけでも、68点。
夢二は弥生美術館隣の竹久夢二美術館でも毎回作品を拝見しているが、広々とした美しい空間で見ると作品も映える。
何度見ても、『セノオ楽譜』表紙シリーズは最高だ。アールヌーヴォー風で、こんな楽譜があってよいのだろうか。譜面より表紙目的で買ってしまいそう。
『婦人グラフ』の挿絵や表紙絵もまたたまりませんね。
私は夢二の装丁や挿絵に魅力を一番感じるので、『東京九段つるや画房出版の絵葉書」(20枚)、木版画『港屋絵草紙展』『治兵衛』など版画作品にも才能が随所に表れていた。
なんというか、モダンで描く女性のはかなげな様子がたまらないのですね。

Ⅱ.大正ロマン・昭和モダンの旗手たち
・高畠華宵 35点
やはり、この人が出てくる。なんとも妖艶な女性像、人物像、何度見ても三輪明宏を思い出すのは私だけだろうか。
その中に『シューベルト』絹本がちょっと異質な感じで、これだけは別格な感じだった。

・橘 小夢
この方は初めて知った。遊行七恵さんは、大変お詳しいのできっとご存知に違いない。この小夢は版画が素晴らしかった。『刺青』1923年、『水魔』1932年などのあの妖しい魅力は何だろう。
ビアズリーの影響を受けていると解説にあったが、なるほど頷ける。
しかし、『唐人お吉』などちょっと作風の違う木版もあり、私は前者の作品が好き。9点しかなかったので、もう少しまとめて見てみたい作家だ。

・蕗谷虹児 18点
『震災画報』1923年が一番印象的。震災の様子を絵葉書16枚で制作している。

・松本かつぢ 5点

・中原淳一 27点
今年、銀座松屋の展覧会を見たばかりだが、なぜかこちらの展示の方が良かった。
読売新聞の連載小説北条誠著「緑はるかに」の挿絵原画は珍品。
インクの挿絵は線の美しさが出ている。版画『娘十二ヶ月』1月~12月の木版シリーズが気に入っていたのに、なぜか図録に掲載されていないと今知って茫然とする。
なぜ、掲載されていないのか?

Ⅲ.抒情絵画の諸相
-風俗画の流れ
ここでは、鏑木清方、伊藤小坡、など大正昭和期の美人画を展示。
ベストは、伊藤晴雨『浴後の涼み』。島成園『夏の女』、小早川清『水谷八重子像』『唐人お吉』。
特に伊藤晴雨の作品はなかなかお目にかかれないので貴重。

-新版画
間もなく江戸東京博物館で新版画の企画展が開催されるが、その予習ができた。
・高橋弘明 「ヌード」 1928年
・北野恒富 「鷺娘」 1925年 同じタイトルで前章に肉筆画あり。怖いです。
・瀧秋方 「近代麗人画譜・港街の日本娘」1936年
瀧については、今回初めて知った。江戸東京でも登場するだろうか。1枚だけだったのが残念。

-創作版画
戸張狐雁、山本鼎、音地孝四郎が各1点。しかし、これを私は見落としたようだ。狐雁は好きなのに。

-様々な現れ
こっちに目が吸い寄せられたのが、見落としの理由。
何しろ青木繁(画)山本鼎(木口木版)のレアもの「鏽斧」(さびおの)が出ていたのだ。
更に続く、今回のベストと言って良いだろう。
川西英の一連の肉筆画作品。
川西の木版は千葉市美の展覧会でかつて何点か見ているが紙本彩色は初めて。
特にすごいのは「サロメ」布に金彩で描いている。ウィーン派かと思った。
こんなすごい作品を昭和初期に作るのだから恐れ入る。
団扇絵の美人画の数々も色鮮やかでこちらも、お気に入り。

Ⅳ挿絵画家の活躍
ここで、大好きな小村雪岱登場!僅か5点でも見られるだけで嬉しい。多分前に見たことがあるような作品もあったが「夜雨」(木版)1938年や「忠臣蔵」の挿絵が良かった。

・岩田専太郎 11点
弥生美術館の樺島勝一か誰かの展覧会でこの人の名を見た記憶がある。
挿絵画家として当代きっての人気だった。
司馬遼太郎の「竜馬がいく」の産経新聞連載時の挿絵原画が泣かせる。

・伊藤幾久造
このあたりになると、もはや分からず。
「曼荼羅富士」という名古屋新聞の連載小説の挿絵を手がけていたらしい。

・志村立美
丹下左善の装丁が良かった。

Ⅴ 楽譜、絵葉書など
ここで、岡本一平、宇崎純一、小林かいちなどが登場。
やはり、かいちの絵葉書(私はこれが一番好き)を再び見ることができた。
他にひろしという作家の楽譜絵、夢二のパクリ?と思う程似ていたなど珍品も出ていた。
太宰敦夫の「近代女性美」1932年絵葉書16枚のモダンさが光っていた。

これだけ広い分野を一気に見せていただいて、弥生美術館の過去に見ていない展覧会の総括ができたような気がする。
図録はオールカラーで1800円。年表付き、作家紹介付きでこの時代の大衆芸術を網羅している1冊として愛蔵したい。


この後、岡倉天心記念室でゆかりの品や、下村観山、大観の書状、絵画など史料を拝見。
それにしてもこの美術館の立派さには驚いた。
わずか10年前に建てられたそうだが、シックな木目調の広々した空間は大変落ち着ける。先日行った六本木の某美術館とはえらい違いだ。
しかも、目の前は太平洋という絶景。ここなら1日いても飽きそうにない。
大観、春草、武山、観山らはこの海を見ながら日々日本画に取り組んでいたのかと思いを馳せた。

ぜひ、再訪したいお気に入りの美術館になった。

*8月30日(日)まで開催中。本展の巡回はありません。

コメントの投稿

非公開コメント

遊行七恵さま

こんばんは。
さすが、遊行七恵さん既に中右さんのコレクションは全点制覇
されていらっしゃいましたか。
やはり、目の肥えたコレクターの選んだ作品群は素晴らしいです。
目の保養になりました。

橘小夢の特集は弥生美術館で既に開催されたのでしょうか。

中右コレクション

こんばんは
橘小夢、かれの「水魔」は当時ドイツの心理学学会にも資料として、印刷物が運ばれたそうですよ。
皆川博子「花闇」は幕末の三世田之助を描いた作品ですが、中公文庫版の表紙絵が小夢「ヤマトタケル」です。

中右さんのコレクションは面白いものが多く、本当に好きです。
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。