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「生誕120年記念 河目悌二展」 刈谷市美術館

刈谷市美術館で開催中の「生誕120年記念 河目悌二展」に行って来ました。

河目悌二は、1889年現在の愛知県刈谷市に生まれ、愛知県二中(現在の県立岡崎高校)を卒業後、1908年に東京美術学校(現東京芸大)西洋学科に入学し、藤島武二、和田三造、黒田清輝らに師事しました。
同校卒業後、軍隊に入るなどしましたが負傷し、絵雑誌『トモダチ』で挿絵の仕事に携わる一方、1920年小林商店(現ライオン株式会社)に入社し広告部図案係に配属されます。
子供向けの口腔衛生普及事業を展開するライオンの広告を精力的に手がける傍ら、絵雑誌『良友』『子供之友』『観察絵本キンダーブック』などに挿絵や表紙絵を発表。二足のわらじで出勤前後に雑誌の仕事をするという多忙な生活を続け活躍。

1937年に小林商店を退社後は、童画家としての活動に集中し戦中、戦後も子供の本の世界に留まり、温かで生活感あふれる画風を展開しました。

本展では、貴重な原画をはじめ初版の雑誌、書籍、写真や資料を含め約200点を展示します。
本邦初公開の学生時代のスケッチ、広告デザイナーとしての仕事を含めた画業をたどり、河目芸術の世界を紹介します。

~展覧会チラシより

私が河目作品を意識したのは今年の春の岡崎市美開催展覧会「あら!先端的ね」であった。
ここで注目した展示作品のひとつに、小林商店(ライオン株式会社)の子供向け口腔衛生広告の数々だった。
本展チラシを見た時、すぐにライオン広告の挿絵!と分かり、この広告を手がけていたのが河目悌二であることを知る。
hamigaki


展覧会の構成とあわせて感想など。

第1章 東京美術学校に学んで
ここで一番に展示されていたのは、東京美術学校の卒業制作である《自画像》(油彩)1913年。
図録では色などが分かるが、実際の作品はかなり劣化?しているのか黒ずんでしまっていて背景に赤の部分があることなどは分からない。
自画像の顔の目や鼻は茫洋とし、形状がないに等しい。この当時の河目は自身の将来が見えなかったのではなかろうか。そんな印象を受ける。

・《スケッチブック》1910年
現存する河目の最古作品。東京美校時代3年に秋田の男鹿半島へ行った際の水彩スケッチ。
スケッチブックの表紙絵が後の河目を予感させる。

・《眠る少女》 1916年
姪が昼寝をしている間に完成させてしまったという。少女が眠る様子が愛らしい。

・《松図屏風》 1921年
これが驚きの日本画作品。自身の結婚式のため、直前に制作されたもの。油彩画も日本画も上手い人は上手いのだった。

第Ⅱ章 絵雑誌の黄金時代を駆け抜けて
ここからは『良友』『トモダチ』『童話』などの絵雑誌と河目の原画が両方一緒に展示されている。

河目の描く挿絵に登場する子供たちはどの子もみな健康優良児に見える。どこか懐かしい日本の子供向け雑誌の挿絵の象徴のような感じ。
個人的に好きなのは《ちひさな汽車》や《トモチャントフジコサン》(子供之友)の挿絵。
なぜか、河目は先日横須賀美術館で見た、同時期に発刊されていた『コドモノクニ』にはたった1度しか挿絵を提供していない。

こうした絵雑誌以外にも本の装丁も手がけている。
特に現在の講談社との関わりが深かったようで、同社出版の本装丁などが展示されていた。線がシンプルですっきりしているのが、特徴的。

第Ⅲ章 会社員として手がけた広告の仕事
この章ではお目当ての小林商店広告部時代の仕事が各種紹介されている。

・『窓陳列』
小林商店では、販売店の店頭装飾を重視し、各地で「店頭装飾競技会」を開催していた。河目はこの競技会の審査員として優秀作品を選出した。
ここで、当時の優秀作品と思われる店頭装飾の写真が展示されていたが、どれも個性的で非常に興味深い資料。

大正から昭和初期の商業美術は本当に良いもの、見るべきものが多い。
当時の新聞広告、展覧会ブースのデザインなどの河目が手がけた仕事が紹介されている。
そのセンスは童画家だけに留まらないことがよく分かる。

第Ⅳ章 子どもの本の世界に留まって
本章では、特に戦後の河目の童画家としての作品が多く紹介されている。

戦後の作品に共通しているのは色彩の明るさ。
例えば、『観察絵本キンダーブック』の挿絵《たのしいおしょうがつ》では土の色がピンクで、背景の家々の屋根はすみれ色。近い家の屋根は赤や緑や青と多彩な色使いを展開。

どの挿絵を見ても色がきれいだなぁと感心する。

・『講談社の絵本 ニルスの冒険』1954年
この本は学校の図書館で見たような気がする。無論再販本であろうが、挿絵に見覚えがあった。

戦前から戦後まで童画家としての画業を貫き通した河目の作品は常に子どもや動物を見守る優しい視線が感じられた。

本展覧会は入場無料!
この内容で無料ってすばらしい。図録(以下)も1,000円ですが、センスあるデザインで入館料なしを考えれば安いものです。
kawame

通信販売もしています。詳細はこちら

隣接の「佐喜知庵」では生菓子とお抹茶がたった300円。もちろん一服いただきましたが、夏休み期間だったせいか、7歳くらいの愛らしい女の子が、お菓子を運んで来てくれて和みました。

*9月6日(日)まで開催中。

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遊行七重さま

弥生美術館になぜもっと早く行かなかったのか悔やまれます。
かいちといい小夢といい、無念でなりません。

過去には戻れないので、今後に期待するしかありませんね。
とりあえずSF展ですか。

こんにちは
先日はとても楽しかったです。本も見せてもらい、記事も読んで、なんだか自分も行ったような気分に。
いや~やっぱりよいです。可愛い・・・

ところで橘小夢展は随分以前ですが、弥生で開催されました。
リクエストするとまたあるかもしれません。
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