スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「熊野三山の至宝-熊野信仰の祈りのかたち-」 和歌山県立博物館 はじめての美術館48

kumano
kumanoura

和歌山県立博物館で開催中の世界遺産登録5周年記念特別展「熊野三山の至宝-熊野信仰の祈りのかたち-」に行って来ました。
展示作品リストはこちら

この展覧会、私がよく参考にさせていただいているブログ「観仏三昧的生活」&HP「観仏三昧-仏像と文化財の情報ページ」の管理人でいらっしゃる同博物館学芸員の大河内智之氏がメイン担当をされていらっしゃる特別展。
開催までのご苦労や進行ぶりを上記ブログで拝見しており、開催を楽しみにしていました。

「熊野三山の至宝」って何だろう?どんなものが展示されているのだろう?
展覧会HPによる概要は次の通りです。
和歌山県立博物館では平成17年から19年までの3年間、新宮・那智山・本宮の順に熊野三山のそれぞれを地域ごとにとりあげ、悉皆的な調査に基づいて特別展を開催してきました。世界遺産登録5周年の今年は、国宝・重要文化財・和歌山県指定文化財をはじめとする至宝約300点を集め、これまでの研究成果や新たな発見を踏まえて、熊野三山の重層的な歴史とさまざまな熊野信仰の祈りのかたちをご紹介します。

300点全てを知りたい、観たい!という方は、ぜひ同館にお運びいただきたいのですが、今回は大河内学芸員お手製のミニガイド「ポケットブック」と本展キャラクター那智の滝の女神’ひろう’さんが教えてくれる本展のポイントをご紹介します。
ちなみに、このキャラクターかわいくて、どなたのデザインなのかお伺いしたら学芸課のアルバイトさん?岡山恵子さんでした。
’ひろう’は展覧会のキャプションでも簡単なコメント解説パネルが合って、内容の理解が進みました。

ポイント① 熊野と水
まず、「熊野三山」とは熊野川の上流部、蛇行箇所にできた中洲に「本宮」、川の河口に「新宮」、そして133mの高さがある那智滝がある「那智山」を指す。
川や滝を神として祀ったのが熊野信仰の始まり。
関連展示作品としては各三山の「本社末社図」で江戸時代の様子を伺うことができる。
如何に水系豊富な地であったかがよく分かります。

ポイント② 新たな聖地
釈迦入滅後、阿弥陀如来への信仰が流行し、熊野の神々は「熊野三山」としてひとつにまとまり、「阿弥陀如来」「薬師如来」「千手観音」が住む浄土と考えられ、民にとって憧れの場=聖地となった。

ポイント③ 神と仏
熊野三山の神々は、神であり、仏でもあると考えられていた。
数年前に奈良博で観た「神仏習合」展を思い出す。
展示では、この神仏習合思想を視覚化し、鑑賞者が体感できるような展示の工夫が行われていて非常に感心した。
ガラスケースに国宝熊野速玉神社蔵の「熊野速玉大神坐像」「夫須美大神坐像」「家津御子大神坐像」(いずれも平安時代)の木製坐像が横並びし、少し離れた所から、それぞれと結びつく仏像「薬師如来」「千手観音」「阿弥陀如来」とが重なりあうようにガラスから仏像と神像が重なって見えるように
展示されていた。
更に、3体の仏像は透明な円形のプラ板を背景にしており、これは恐らく懸仏のイメージで作った小道具。
細かな心遣いがうれしい。

なお、上記3神像が熊野三山の権現だが、忘れてならない神像がもう1体。もっとも損傷が激しいが、
「熊野速玉大神坐像」を父、「夫須美大神坐像」を母としてその子供である「国常立命坐像」(国宝)もある。家族の様相を呈した神像。
これらは元々地域の豪族の長の祖霊神として作られた神像だったが、浄土思想が広まるにつれ熊野権現へと扱いが変化していったと考えられている。

他にもキャラクター’ひろう’のオリジナルとなっている「女神坐像」(熊野那智大社)は私のお気に入りだった。

神像は前述奈良博の「神仏習合」展あたりから、関心を持ち始め、そのプリミティブナ造形に惹かれてしまう。ことに女神像はいろいろな様式があって興味深い。
神という目に見えないものを最初に形にしたのは誰なのだろう?自由と言えど、仏像程ではないが、やはり髪型など一定の類型化は見られる。

ポイント④ 熊野参詣
1090年に白川上皇が参詣して以後、皇族貴族の熊野参詣が続く。
大河内学芸員によれば、ここに熊野三山のフィクサーが動いたのではないかと想像されている。
霊場、聖地としてのアピールにより、上皇など貴人が参詣してくれたらこっちのもの。
神社と言えど、寄進がなければやっていけない。現実的側面を思えば、現代も平安時代も左程変わらないと言えるのではないか。

ポイント⑤ 参詣のシステム
これが実によく考えられている。多数の古文書(重文)が展示されていたが、参詣者は、各地の修験者に従って熊野にやってくる。三山に到着すると、山にいる御師(おし)と呼ばれる僧に参詣者を引き渡す。御師は、神々への参詣の手伝いと宿泊場所の提供。
旅行システムに近い制度が完成されていた。

ポイント⑥ 那智参詣曼荼羅
全国に曼荼羅は数あれど、もっとも多く残っているのがこの那智参詣曼荼羅。
この曼荼羅は、熊野比丘尼という尼さんが、各地に赴き、これらの曼荼羅を使い、人々に布教と寄進の依頼に使用した道具、一種の消耗品であった。
これを絵解きという。絵解きしている様子がフィギュアで説明されていたが、これも分かりやすかった。
折り畳んで持ち歩いたため、曼荼羅に折しわが残っているものもあった。

<個人的に感じた見所>
(1)様々な神像たち

(2)熊野速玉大社の御神宝
→これは本当に素晴らしい品々。特に十二の社のために作られた蒔絵手箱と内用品の数々は必見。
漆の種類や紋様の種類を十二の社の格に応じて作成していたのは驚き。
他にも、太刀、紅帖紙、はじめ全て国宝約30点!

(3)経塚-祈りのタイムカプセル-
経筒と言えば、国宝(だったと思う)藤原道長寄進の経筒を思い出すが、それらを埋めていた経塚にどのような形で埋めたかを実際に模型を使用して展示されていた。
思わず、最近見たエジプトのミイラの埋葬やミイラの作り方を思い出したが、日本の経塚は、非常に日本的かつ風土にあった形で埋められていた。
「炭の使用」など、日本以外で使用している国はあったのだろうか?中国では?
経塚では炭を埋めて、湿気を取る工夫を凝らしていた。更にお清めのための合子を入れるあたりは万国共通といったところか。


最後に、和歌山県博での最新発見、調査研究成果が披露されている。
展覧会の最後、そしてポケットガイドブックには博物館のマニュフェストが掲げられていた。以下引用します。
世界遺産を守る。文化財の持つ魅力や情報をあらゆる角度から引き出し、かけがえのないものであることを明らかにして、そしてそれを伝え合うことで価値の共有を図ること、それこそが「守る」ことの基盤です。和歌山県立博物館は、これからも世界遺産を、そして和歌山県の文化財を守り、その魅力と意義を伝える役割を果たしていきます。

強い信念を持っていらっしゃる学芸員さんがおられる博物館の企画展は分かりやすいし、随所に展覧会における鑑賞者に対するメッセージが伝わってくるものです。
今回も、大河内学芸員はじめ主催者の皆様の強いメッセージ性が伝わってきました。

企画展開催中でご多忙にも関わらず、展示のご説明をいただき本当にありがとうございます。
末尾ではございますが、改めて御礼申し上げます。

*10月18日(日)まで開催中。
なお、熊野本宮大社宝物殿、熊野速玉大社神宝館、熊野那智大社宝物殿では、それぞれ特別展を同じく10月18日まで開催中です。
【展示構成】
第一部 熊野三山の成立と展開
 1 熊野の原風景―熊野三山成立以前―
 2 熊野三山の成立
 3 熊野への参詣と信仰の広がり
第二部 熊野信仰の祈りのかたち
 1 現された神仏の姿
 2 熊野の経塚―祈りのタイムカプセル―
 3 神々へ捧げられた宝物―国宝・古神宝類―
 4 熊野修験の痕跡
第三部 熊野からの新たな発信
 1 新たな発見―調査・研究の成果―
 2 世界遺産・熊野を未来へ伝える

コメントの投稿

非公開コメント

大河内様

こちらこそ、お忙しい中、丁寧なご説明本当にありがとうございます。
大河内様のナイスガイぶりに感動してしまいました。

ひとつお詫びが。
大河内様の丁寧な解説が入った音声ガイド(わずか200円)の存在を
宣伝し忘れました。

以下追加します。
読者の皆様へ
音声ガイドは、絶対借りた方が良いです。
、音声ガイドとミニガイドブックがあれば、この展覧会間違いなく楽しめます~。

次回の野呂展も気になるので、再びお邪魔すると思います。
会期終了まで健康にはお気をつけくださいませ。

感謝

先日は、ご遠方のところご来館いただき、ありがとうございます。
また、過分なご紹介をいただき恐縮です。重ねてお礼申し上げます。

これからも、貴ブログの鑑賞記を楽しみにしております。
観仏三昧もご愛顧のほどを!
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。