「若冲ワンダーランド」 MIHO MUSEUM

2008年に新発見された「象と鯨図屏風」の初公開で話題沸騰「若冲ワンダーランド」展へ行って来ました。
展覧会は滋賀県の山深い里信楽にあるMIHO MUSEUMで開催されています。
今回は京都駅でレンタカーを借りて美術館のある信楽方面へ向かいます。
が、連休で高速は大渋滞。結局高速を使わず一般道を利用しましたが、こちらも混雑していて10時の
開館同時に到着予定が、大幅に遅れ11時ちょっと前に何とか滑り込み。
すぐに、カートに乗って受付棟から展示棟へ向かいました(MIHOでは展示棟とチケットを購入するレセプション棟が徒歩5分強離れている)。
何しろ、駐車場の車の数がいつものMIHOではありません。帰る時には、これまで利用されているのを見たことがない下の方の駐車場まで車が入ってました。
お客様は私が過去見た中では最高の入り。
しかし、この美術館は展示空間が広いのと午前中だったため、混雑によるストレスなく鑑賞することができて一安心。
昨夜TV東京系列「美の巨人たち」で「象と鯨図屏風」が特集されたこともあり、相当混雑するのでは?と懸念しましたが、落ち着いた環境で見ることができて本当に良かったです。
まずは展示構成から。
一章 プロフィール
二章 版画
三章 動植綵絵への道-法度の中に新意を出す-
四章 若冲ワンダーランド-リアリティーとユーモアのカクテル
五章 若冲をめぐる人々
六章 象と鯨図屏風
七章 ワンダーランドの共住者たち
八章 面白き物好き
全8章に亘る今期に一体何点の展示物があったかですが、リストで数えた所49点。
うち5~6点は絵画でなく文献関連資料であるため、絵画は実質約40点と考えて良いでしょう。
この展覧会は6期に亘る展示替えがあり、全作品をこの目で見るには一体何度通えば良いのか・・・
それを見極めるためにも、まずは1期(9/1~9/27)に行くことにしたのですが、結果満足しています。
注:「象と鯨図屏風」は全期間展示。
次に、本展の見所(meme編)をご紹介しましょう。
1.新しい若冲人間像の発見
作品だけでなく、最新の文献資料発見と研究成果により若冲は決してオタクな絵を描くだけに人
だった訳ではなく、錦市場の存在をかけて役人と交渉するという実務的な能力を持った人物である
ということが分かって来た。
新たな若冲の人間的な一面を本展で知ることとなった。
詳細は、辻惟雄氏(MIHO MUSEUM館長)と滋賀大学経済学部教授である宇佐美英機氏による図録解説をご覧いただきたい。これを読むだけでも、図録買う価値あり。
2.「象と鯨図屏風」
何といっても、公開を待ちに待った新発見作品。
角を曲がって突然現れた作品は、予想以上に大きかった。六曲一双屏風だから、当たり前なんだけれど、純粋にその大画面に感動した。白と黒の水墨による若冲の代表作となるのではないか。
象と鯨の組み合わせ、波頭の動き、TV番組で辻先生がお話されていたように象の背に触れんばかりの牡丹の花。
もちろん、TVで見たのと同じものが目の前にある訳ですが、大きさ、細部は実際その目でお確かめ
ください。修理の成果なのか状態は非常に良かった。
3.個人所蔵の未見作品
京博での大規模な若冲展を見ておらず、手許にその際の出展作品リストがないので比較はできないが、私自身これまで見たことのない作品が10点弱はあったと思う。
個人所蔵作品は、この先いつお目にかかれるか分からない。よって貴重な機会であることは申し上げるまでもない。
4.版画
「乗興舟」は見たことがあるが、それ以外の若冲版画作品を私は見たことがなかった。以下今回展示されている版画作品。
・「玄圃瑤華」
・「素絢帖」
・「花鳥版画」
特に「花鳥版画」を除く2点は白黒の木版画集。若冲デザイン満載。
このうち「玄圃瑤華」から1点の作品が、図録用のコットンバッグ(500円)として販売されている。
生地もしっかりしているので、これはオススメ。このバッグなら重たい図録も持ち歩ける。
5.若冲と同時代の作家の作品
蕪村や蕭白、応挙など同時代の力量ある画家の逸品の併せて展示されている。
・「老松図屏風」 与謝蕪村
昭和7年に開催された展覧会以来77年ぶり!の公開。金屏風に老松で、蕪村のイメージとちょっと違う六曲一双屏風の大作。亡くなる2年前の作品(注:10/12までの限定公開)。
他にも今後も展示予定の作品に名品が目白押し。
まずは、美術館に電話するなり、「弐代目・青い日記帳」さん情報によると東博のミュージアムショップ
でも販売されるという図録(3000円)を入手することが先決。
その中で、どうしても見たい!という作品がある展示期間を狙って見に行くしかない。
幸いにも象と鯨図は全期間展示だし、前述の「花鳥版画」以外の黒白版画作品も全期間展示される。
図録の中で辻先生は、10月から始まる「皇室の名宝展」での動植綵絵一挙公開とからめ、本展の位置づけを東博を第1会場として、MIHOを第2会場とされていた。
随分距離のある第1会場と第2会場だが、やはり両方楽しんでこその若冲だろう。
なお、本展イベントとして予定されている辻先生と狩野博幸(同志社大学教授)の講演は既に満員で予約受付終了とのこと。
最後にMIHOへの道のりについて。
私のオススメはやはり車。遠方からなら駅レンタカーが便利。でも、今回の私のように京都駅での
ピックアップはお薦めしない。
大津か草津などで借りた方が、土日などは良いと思う。秋の京都は道路渋滞が予想されます。
車がない方は石山からバスとなりますが、朝早くか逆に夕方狙いが良いと思います。
「若冲ワンダーランド」だけなら鑑賞時間は、約1時間といったところ。
ただ、MIHOは常設や同時開催の「オクサスのほとりより」も素晴らしいので、是非併せてご鑑賞ください。
とりあえず、速報でした。
*12/13まで開催中。