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「特集 狩野派の世界2009」 静岡県立美術館

kanou

東京以西遠征を締めくくるに相応しい展覧会を本日見て来た。
静岡県立美術館で開催中の「特集-狩野派の世界-2009」である。

狩野派と言えば、少しでも誰でも一度はその名を聞いたことがあるのではないだろうか?
私など、狩野派の系譜をひく画家があまりにも多いため、その名をなかなか覚えられず、江戸狩野、
京狩野等々「あれれ?」という体たらく。
現在板橋区立美術館で開催中の英一蝶も、元は狩野派で学んだ画家であった。

さて、狩野派の先祖が伊豆出身であるという言い伝えをご存知だろうか?
本展チラシによれば狩野派と静岡とは様々な縁で結ばれているらしい。江戸時代を通じて幕府の直轄地であった駿府(現静岡市)の主要な絵画制作を担当したことなど、静岡とのゆかりが大変深く、ゆえに同館では開館前から狩野派の作品を系統的に収集し、その数今では40件を超えるそう。
狩野派作品40点も所有している公立(国立の東博、京博は除く)の美術館、博物館は他にないだろう。
本展では、同館所蔵コレクションを中心としつつ、個人所蔵家の近年発見、新発見の初公開作品も併せて展示し、400年に及ぶ狩野派の変遷をたどるもの。
なお、同館では1999年に初の「狩野派の世界」を開催、2003年に「特集 狩野派の世界-2003」が開催され、今回6年ぶりの「狩野派の世界-2009-」開催となった。

過去2回の展覧会開催すら知らず、今回はどんな作品が出てるのだろう?と期待半ばで向かったが、素晴らしいコレクションと新出品の数々にただただ、感動するばかり。
ゆったりとした空間で狩野派の美と技術を目いっぱい楽しませていただいた。
しかも、系統だったコレクションをされているおかげで、狩野派の流れをおよそ実作品を通して知ることができる。
古美術絵画系では、私が今もっともお薦めできる展覧会である。

展覧会の構成とともに、特に印象に残った作品は以下の通り。所蔵先の記載がないものは静岡県美所蔵。主な作品画像は美術館HPをご覧ください→こちら

1.室町から桃山
・「四季花鳥図屏風 室町時代 初期狩野派
花鳥図のタイトルだが山水図と花鳥図の中間に位置する絵画。元信様式学習時期の永徳作品の可能性も伺われる。誰が描いたかは分からないが、とにかく素晴らしい室町初期の狩野派屏風絵。

・「富士参詣曼荼羅図」 重文 元信印 室町時代 富士山本宮浅間大社蔵 注:9/27まで展示
やはり、静岡と言えば富士。数ある富士参詣曼荼羅の中でも名品中の名品。富士に登る人々の姿がしっかりと描かれていて描写が細かい。一体何人の参詣者が登場しているのだろうか?
つい先日和歌山で拝見した「那智滝曼荼羅図」にも見られたように、左右に月と日が描かれ中央山の
中に阿弥陀を中心とした三尊もしっかと描かれていた。

・「西湖図襖」 狩野山楽 重要美術品 桃山時代 初公開
8面の襖絵。墨彩。余白が上手く活かされている。

・「松に鳥・柳に白鷺図屏風」 「八景図」 狩野永徳 個人蔵
松に鳥図は、対決展だったか永徳展で拝見したが、今回は至極ゆったりと椅子に腰掛け十二分に堪能させていただいた。これまで見たどのシチュエーションより作品が素晴らしく見えた。
何という贅沢な空間であろうか。
改めて見ると、やはり絵からオーラが立ち上るような力強さが感じられた。
「八景図」は初見。水墨画であっさりと仕上がっている。

他、思わず引き込まれる作品多数。
宗徳、意精、玄也など狩野派の系譜につながる桃山から江戸初期の画家の作品(いずれも個人蔵)が出ていた。

2.狩野探幽とその周辺
・「市ノ谷合戦・二度之懸図屏風」 狩野探幽
元々一双だったものが片方失われてしまい、一隻となっている。数少ない探幽の金地屏風。
探幽作品は上記以外にも図鑑、「七賢九老図屏風」など他にも名品あり。

・「唐子図巻」 狩野常信 個人蔵
唐子好きには堪らない絵巻物。至るところ唐子だらけ。しかも、皆様々な動作や仕草欲しい。

・「牛馬図」 狩野探幽、常信・安信他狩野36画家合作。
牛と馬がそれぞれ、狩野派36名により思い思いに描かれている。同じ一派の団結を示すために描かれたとか。
どれも似ているようで微妙に違う。

・「蘭亭曲水図屏風」六曲一双 久隅守景
これも素晴らしかった。本展ベスト作品のひとつ。
久隅守景の作品にはなかなかお目にかかれないが、改めてこの屏風を見ていると、極めて人物描写の優れた作家だ。他にも蘭亭曲水図屏風(狩野永納筆)が出展されているが、同じ主題でもかなり違うことが素人でも分かった。
解説によれば、守景初期の作品とのこと。静岡県美新収蔵品。

3.京狩野の系譜
・「四季花鳥図屏風」 六曲一双 狩野山雪 個人蔵
・「富士三保松原図屏風」 六曲一双 狩野山雪
山雪の屏風2点見られただけでも、足を運んだ甲斐があった。いや、前述の久隅守景で相当ハイテンションになっていたが、このあたりで頂点に達した。

更に、京狩野の永納、永良、永岳らの作品が続く。
・「四季耕作図屏風」 六曲一双 狩野永岳
これには驚いた。今回もっとも驚いた一作。19世紀と江戸後期の作品で、過去類例の屏風を永岳が独自に
リメイクした作品と言われている。それにしてもそのリメイクぶりは素晴らしい。
登場人物などが漢人、漢画風であるけれど農耕風景と山水図とのマッチング、画面構成が絶妙であった。同じく新収蔵品。

永岳の作品では他に「富士山登龍図」「三十六歌仙歌意図屏風」などう~むと唸らせる作品が多かった。

なお、1点ガラスケースなしで直に見られる屏風があった。狩野永祥「離合山水図屏風」もとは六曲一双だが、展示スペースの関係で一隻ずつの展示。

4.江戸狩野の展開、そして近代へ
最終章では、江戸狩野の狩野典信から芳崖、橋本雅邦で締めくくられる。

・「百猿図」 1幅 狩野栄信
愛らしさNO.1の作品。京狩野の狩野永良の「親子犬図」もかなりキュートだったが、この百猿図には負ける。
しかも、ガラスケースの向こうでなく、これはかなり近寄れる展示方法にされていたので、猿の一匹一匹をつぶさに、しかも真近で見ることができた。
 
・「竹雀図屏風」六曲一双 狩野養信
・「花見遊楽図屏風」 二曲一双 狩野養信 個人蔵
元信、永徳、山雪、探幽も素晴らしいが、江戸後期の狩野派絵師による作品も、もっと評価されても良いのではないか、そんな風に感じた上記2作品。
構図、描法ともに優れている。

・「江山春色図」 1幅 狩野芳崖 個人蔵
芳崖の未見の大幅。やはり、上手いっ。

・「瀑布図」 1幅 橋本雅邦 個人蔵
応挙の「瀑布図」とはまた違ったシンプルかつ迫力ある作品。橋本雅邦はやはり、私の好み。素晴らしかった。


本展を見るまで、私は狩野派の作品はどれも似通っていて面白みがない、などと腑抜けたことを思っていた。
しかしながら、この展覧会で時代を追って、狩野派絵師の作品を見ていくと、作家それぞれの個性があり、時代性、京都狩野と江戸狩野の違いなども感じられ「狩野派って面白い!」と見方が全く変わってしまった。
それほどまでに、強烈に心に残る内容で、それなのに、入館料は600円。
この内容で600円で良いんですか?と申し訳ないほど。
9/29~の後期展示替えもできれば見に行って、再度感動に耽りたいと思っている。
その前に、もっと狩野派の予習をせねば!

そして、忘れてはならない重要な見所がもうひとつ。
同時開催の収蔵品展の「ランドスケープペインティング西洋編」も素晴らしい。企画展で日本画一辺倒で来て、収蔵品でがらりと西洋画のみで構成。この展開、静岡県美だからこそできる内容でしょう。
しかも、展示作品がまたすごい。
別記事にしたいところだが、主な出展作家のみご紹介する。
ヤン・ファン・ホイネン
クロード・ロラン
ヤコブ・ファン・ロイスダール
クロード=ジョゼフ・ヴェルネ
ジョン・ロバート・カズンズ
ウィリアム・ターナー
ジョン・コンスタブル
後はおなじみのコロー、テオドール・ルソー、クールベ、ピサロ、シニャック、モネ、ヴラマンク、スーチンら。
いやはや、恐れ入りました。

*10月18日まで開催中。
前期:9/27まで 後期:9/29~10/18  
なお、お出かけの際はできれば単眼鏡などあった方が良いです。
美術館でも単眼鏡の貸し出しはありますが、数に限りがあります。

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アイレ様

こちらこそ、ご訪問とコメントが遅くなり申し訳ございません。
静岡県立美術館は素晴らしいコレクションをお持ちですね。
後期展示も楽しみにしています。

来年は若冲展!
リニューアルオープン記念ですね。
どんな内容なのかワクワクします。

ご無沙汰しておりました。

meme様
拙ブログへのコメントありがとうございました。
ブログ引越しの連絡もなしに移転したにも関わらず、コメントいただけたこと
感謝しております。
地元の美術館ながら、見ごたえのある展覧会をやっていることに大変嬉しく思いました。
改めて狩野派の凄さを知った次第です。流石に室町から江戸まで画壇の主流であった規模の大きさ、また画題の多様さを知りました。
来年には若冲もやるようですので、また静岡にお越しくださいませ。

アーサー・アッシュ様

はじめまして。
仰る通り、図録の図版が小さいのが難ですね。
でも、どうしても記録として欲しかったので、購入してしまいましたが。

> ところで横浜三溪園で10月31日から「原三溪の美術」展が始まるそうですが、出品予定にこの屏風も出ていました。この展覧会は原氏の旧蔵品を集めたもので、この屏風をはじめ、国宝の絵画も多数出るようなので、今から楽しみです。http://www.sankeien.or.jp/

⇒ その情報全く知りませんでした。教えていただいて感謝感謝です。
  とっても気になります。三渓園には一度も行ったことがありません。
  そして、原三渓は個人的に気になる人物でもあり、絶対行きます!
  

行って来ました

私も。静岡県美は初めてだったのですが、やーお金をかけてますねー。その規模の大きさにびっくり。周辺環境も抜群ですね。狩野派の世界も初登場を含めて見ごたえ十分で、とても満足いくものでした。残念だったのは図録です。出品作品がすべて出ているわけではなく、かなり薄ーいのはなんともいただけません。永徳の「松にはは鳥・柳に白鷺図屏風」は私も東博で観ましたが、久々の対面で更に感激しました。
ところで横浜三溪園で10月31日から「原三溪の美術」展が始まるそうですが、出品予定にこの屏風も出ていました。この展覧会は原氏の旧蔵品を集めたもので、この屏風をはじめ、国宝の絵画も多数出るようなので、今から楽しみです。http://www.sankeien.or.jp/

ogawama様

お薦めして良かったぁ~。
ゆったりした空間で見る狩野派っていいですよね。

> 「百猿図」に萌えました。
⇒ 同じく、あれ間違いなく100匹いそうです。数えてないけど。

> 後期も行きますよ!
⇒ 同じく、後に続きます。

行ってよかった!

おかげさまで、素晴らしい展覧会を見ることができました。
名古屋遠征を切り上げて行く価値、大ありでした。
古美術はいつも何となく眺めているのですが、今回は「おっ」と身を乗り出してしまう、素人目にも面白みの多い作品ばかり。
「百猿図」に萌えました。
後期も行きますよ!
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