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「アンリ・リヴィエール展」 神奈川県立近代美術館 葉山

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神奈川県立近代美術館 葉山にて開催中のフランスの浮世絵師「アンリ・リヴィエール展」に行って来た。
さすがに、今日は遠出はやめようと昨夜まで思っていたのに、目覚めたら勝手に身体が動き出して駅に向かっていた。習慣って怖い。

そして、やはり行って良かったこの展覧会。昨土曜日の夜間開館で江戸東京博物館で開催中の「新版画展」も見たのだが、今日の「アンリ・リヴィエール展」の方がインパクトは大きかった。何しろ、初めて見る作品ばかり。しかも影絵という素晴らしい映像作品まであるではないか。
ここ葉山での開催メリットは、計り知れない。
なぜなら、展覧会のチラシに使用されている≪海の夜≫と全く同じ風景が美術館から臨めるのだ。
版画と現実がないまぜになる不思議さ。
今日の葉山は天気が良く、ヨットの白い帆が青い海に映えていた。まぶしいくらいの海景。

<展覧会概要とリヴィエールについて>美術館HPより。
アンリ・リヴィエール(1864-1951)は、19世紀末フランス美術界でブームになったジャポニスムに深い影響を受けた画家・版画か。北斎、広重らの浮世絵に心酔し、その影響を受けつつリヴィエールは、フランスの自然や都市の光景を見つめ、木版やリトグラフを中心に、多くの作品を生み出しました。

これまで日本では、リヴィエールと言えば、北斎の「富嶽三十六景」にちなんで作られた「エッフェル塔三十六景」シリーズがよく紹介されてきましたが、それ以外の作品はあまり知られていません。実際、リヴィエールの作品の全貌は、本国フランスでもなかなか見ることができないでいたのです。

2006年にリヴィエールの遺産を管理するヌフラール家が、フランス国家に多くのリヴィエールの作品と、リヴィエールが集めた日本の浮世絵版画などのコレクションを、遺産相続の物納という形で納めたことをきっかけに、その全貌を研究・公開することができるようになりました。そしてその浮世絵版画コレクションの研究に日本側が協力したことがきっかけで、この展覧会の企画が実現したのです。今回の展覧会は、リヴィエールの初めての本格的な回顧展です。


エッフェル塔シリーズも見たような見てないような私なので、それはそれはリヴィエールの版画は新鮮だった。日本に来ることが一度もなかったからこそ、独自の世界観を作り上げることができたのかなと
感じる。それが同じフランス人で浮世絵を手がけたヌエット氏との違いかもしれない。

<展覧会の構成>
第一部 カフェ「シャ・ノワール」 初期作品と影絵劇
第二部 ブルターニュ 自然の風景
第三部 世紀末パリ 近代化する都市の風景
第四部 リヴィエールと日本
第五部 近代日本絵画とリヴィエール

第一部
冒頭、リヴィエールの木版画が並ぶ。素朴だけど、日本の版画家では見られないような色使いと彫り。一目で気に入る。
そして、この第一部の目玉は影絵の再現。
展覧会の最後の部屋で実際にオルセー美術館でリヴィエールの影絵劇の再現とメイキングの映像(約29分)を流していたが、そちらと合わせて見ると尚良し。
カラフルなライトに照らされて、彼が作った影絵の切り抜き亜鉛盤が影として浮かび上がる様は、まさに1890年前後のパリ。
上映されたカフェ・シャノワールのポスターは、どこかロートレック調でもある。

彼が手がけた版画のモチーフには、波・海が非常に多い。波の表現と色に要注目。浮世絵の模倣というより、浮世絵に影響を受けて自身の世界観を最初から出していることに感心する。
見ていると和んでくるような版画作品ばかりだった。

第二部 ブルターニュ 自然の風景
リヴィエールは、木版画からリトグラフへ制作方法を移行していく。これによって、大量生産が可能になり、分業制作も始まる。
彼はブルターニュの地を愛し、別荘を建て、ブルターニュの風景画シリーズを開始する。
ここでも、目を引くのは日本の浮世絵では見られないような色づかいである。
また、影の表現が非常に上手い。

第三部 世紀末パリ 近代化する都市の風景
第三部ではのどかなブルターニュや海の風景から離れ、エッフェル塔を中心としたパリの街を描いた作品群が紹介されている。
「エッフェル塔三十六景」の扉絵は木蓮?大胆なデザインは広重それとも北斎譲りだろうか。

日本の浮世絵との対比と写真の版画化を試みた実証として、元ネタになっている両者が作品と揃いで展示されている。

≪塔の配管工≫≪セーヌ川のパリ祭、7月14日≫など、ここでも気になる作品がいくつもあった。

第四部では、リヴィエールと日本を結びつけた画商の林忠正との交流資料および、リヴィエールがコレクションしていた日本の浮世絵が出展されている。
公開されることがないのか、非常に美しい発色であった。
広重の「名所江戸百景 堀切の花菖蒲」は象徴的作品。リヴィエールは菖蒲が大好きで自身の印にも菖蒲をモチーフとしイニシャル「HR」を刻んだものがある。
刻印は上記菖蒲入り以外にも何点か作成しており、使用印も実物が何点も出展されている。

第五部では、リヴィエール作品に触れた日本人画家、作家への影響について紹介している。
ここで、杉浦悲水が登場する。私は非水のデザイン画が大好きだが、彼はリヴィエールに影響を受けていたのか、通りでリヴィエールが気に入ったわけだ。自身で納得する。

富本憲吉の≪雲≫木版も良い。
富本はイギリスのV&A博物館でリヴィエールの木版画を見て、帰国後自身で彫って刷るまで行った。
確かにリヴィエール作品にどこか似ている。
この他、昨日見たばかりの川瀬巴水、石井柏亭、伊東深水、吉田博などの新版画作家による風景画が展観される。
こちらの方が、なぜか昨日よりしっくり来る。
漆原木虫の木版が紹介されていた。彼は1910年に木版画の摺り師としてロンドンに渡った。そしてロンドンでブラングィン、パリではジャポニスム作家たちと共同で仕事を行ったが、自身作の版画も制作していた。ストーンヘンジの昼と夜を描いた木版画を1910年代に日本人が行っていたなんて、驚いた。しかも、完成度は高い。

驚きの連続、柔らかな色彩と陰影の魅力に溢れるリヴィエール展、非常に良い内容だった。
残念なのは作品リストの用意がないこと。

神奈川県立近代美術館には友の会やパスポート制度もないので、これも不満。
これだけ規模の大きい公立美術館なのだから、友の会制度をいち早く創設して欲しい。

なお、すぐ目の前の山口蓬春記念館では「琳派に魅せられたモダニスト」展を開催中。リヴィエール展チケットとの相互割引があります。
蓬春記念館では今回、尾形光琳≪飛鴨図≫、俵屋宗達≪伊勢物語色紙≫「梓弓」、≪狗子図≫などの琳派作品と蓬春の作品両方を楽しめます。
素敵なお庭もセットになっているので、のんびりくつろげます。

*10月12日(月・祝)まで開催中。オススメの展覧会です。

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「フランスの浮世絵師 アンリ・リヴィエール展」 神奈川県立近代美術館葉山館

神奈川県立近代美術館葉山館(神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1) 「オルセー美術館・フランス国立図書館所蔵 フランスの浮世絵師 アンリ・リヴィエール展」 9/5-10/12 19世紀末のジャポニスムに影響を受け、木版やリトグラフにて主に自然を描いたフランスの『浮世絵師...

『アンリ・リヴィエール展』@神奈川近美 葉山

シルバーウィークの日曜日。 葉山へのドライブ&アートを愉しみました。

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21世紀のxxx者さま

朝一番で葉山に入るのがポイント。
そこまで来れば午前中に13時までには戻れるかも。
葉山館のレストランは座席数が少ないです。
もし、レストランで食事をされるなら一旦出て、11時頃早めに食事を
とられることをオススメします。
再入場も可能です。

でも、外でお弁当たべてらっしゃる方もいましたよ!

No title

この展示は気になります。。。 都内で一気に展覧が始まったおかげで周りきれないかもしれないけど、葉山も含めて行ってみたいです(><)

はろるど様

新版画展は過去に見た作品が多かったのです。

しかし、葉山館は今回は「リストがない」ではなく「今回もリストがない」の間違い。
いつ行っても、作品リストはありません。

愛知県美も同じです。
恐らくそういう主義なのでしょう。図録購入させるためでしょうか?
友の会さえないのが驚きです。

もか様

コメントありがとうございます。
「新版画」展は過去に見た作品が多かったので、私にとって新鮮味が薄かったのです。
その点、リヴィエールは未知の作家。
しかも、記事も書きましたが影絵劇のメイキングと再演が良かった。

蓬春記念館は、葉山館から徒歩5分もかかりません。
ぜひ、次回お運びくださいませ。

No title

こんばんは。新版画展超えでしたか!(江戸博はまだなので…。)影絵の上映がまた良かったですよね。セットのようなものまであって気分も高まりました。版画シリーズではブリュターニュあたりがやはり一番好きです。

>残念なのは作品リストの用意がないこと

「今回は作っておりませんで…、すみません。」とのことでしたが、
この作品数でないのは痛いですね。とりあえずリストは基本なので…。

No title

こんにちは、TBをさせていただきました。
私も「新版画展」と比べて見たいと思っていました。
これから観に行くつもりですけれど、こちらの方がインパクトが大きかったようですね?

山口蓬春記念館は知りませんでした。すぐ近くなのですね~、割引もあったとは…
見逃して残念でした。
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