スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「躍動する魂のきらめき・日本の表現主義」 名古屋市美術館

hyougen

名古屋市美術館で開催中の「躍動する魂のきらめき・日本の表現主義」を見て来ました。

展覧会名からすると、「どんな展覧会?何を見ることができる?」と思われる方も多いのでは?
名古屋市美の展覧会チラシは、A4二つ折りの豪華版。
このチラシによれば、
「20世紀の初頭にドイツで生まれた『表現主義』は、何かを宣言したというのでなく、だからこそ、人々の時代に対する共感を表象し、やがて国・地域を越えて拡がってゆきました。本展では、『表現主義』
を西洋美術の受容や模倣ではなく、日本固有の表現の発露と捉え、美術の前衛から、一般の生活にまで拡がって行った造形活動を検証・紹介します」とあります。

展覧会の構成は以下。
序章:予兆
第1章:表現Ⅰ-生命主義
第2章:表現Ⅱ-影響と呼応
第3章:表現Ⅲ-生活と造形
これだけ見ると、あっさりした印象を受けるが、実際は全く逆。本展覧会で紹介されている分野は非常に広範囲。

冒頭、序章では明治期の洋画家、黒田清輝・藤島武二などの絵画があり、かと思えば石井柏亭の北原白秋『邪宗門』の挿絵・口絵の類が展示されている。
純文学とこの時代の絵画が好きな人にとっては堪らない導入部であった。

第1章、ここからは一気に1910年代の絵画作品が、ずらりと並ぶ。
中でも、気になったのは山脇信徳の作品。まず、作家の山脇信徳の名前を聞いたことがない。どうやら高知県出身の東京美術学校西洋画科を卒業。
バーナード・リーチをして、モネに匹敵すると激賞されたとか。
印象派の影響をもろに受けたその画風は、1910年代にこんな絵を描く画家がいたという驚きとなった。
この時代の画家はみな好きなので、私にとってはこれだけでかなり満足感があった。
秦テルヲや木村荘八、椿貞雄、村山槐太、関根正二、岸田劉生などなど。
・村山槐太「差木地村ポンプ庫」1916年 本間美術館寄託個人蔵
・椿貞雄 「道」 山形美術館 1915年
が中でも良かった。

絵画の次には陶芸作品が。民芸運動の作家たち、富本憲吉、リーチのものがちょっとだけ展示されている。
そう、この展覧会、あまりに広範囲な分野を扱っているため、全部つまみ食い感覚なのである。
陶芸の次は版画、1910年代の版画家と言えば、恩地孝四郎、長谷川潔、藤森静雄らの作品が出展されている。

あとは、もう怒涛のごとく、今和次郎(大ファン)の工芸各種図案やら、平櫛田中、佐藤朝山の木彫、そして忘れてならないのは、名古屋市美の写真コレクション。
1920年代の写真として、淵上白陽のモダンプリント作品が。
1920年代の写真は神奈川近美で見た「画家の眼、レンズの眼差し」でも沢山見て、絵画と写真の境界線にあるような作品群に魅入られて、今回もまたやはり良いなぁとつくづく感じる。

第2章では、主に岩手県立美術館所蔵の萬鉄五郎の作品が印象に残る。特に「風船を持つ女」岩手県立美術館蔵や「ガス灯」横須賀美術館蔵が萬らしくて良い。

もう一人ずっと見たかった柳瀬正夢の油彩作品「川と橋」「崖と草」愛媛県美術館などを見られたのがとても嬉しい。この展覧会を見に行った時、ちょうど「日本漫画史」石子順著を読んでいて、柳瀬正夢は当時としては前衛的な漫画を描いた作家として、私の中に巣くっていた。そこに、油彩作品である。
彼の才能は油彩を見てもよく分かった。

第2章でも絵画の後、版画作品が並ぶが、今度はカンディンスキーはともかく、ローゼンクランツなどというめったとお目にかかれないような木版手彩色の貴重な作品があったり。
なぜか、再び恩地孝四郎や長谷川潔の作品が並ぶが、これは雑誌の中に入った挿絵としての紹介。
ここでは、出版に関しての展示が増えてくる。
村山知義の「マヴォ」があったかと思えば、デザイン、建築の分野へ続く。

雑誌(出版)と建築の展示に挟まれるようにして、第一部で僅かにあった写真が大量に展示されていた。名古屋市美術館がこんなにも1910、1920年代の写真を所蔵しているとは知らなかった。
もっと、常設展示で見せてくれればよいものを。
何度も行っているが、この時代の写真を常設で見た記憶は1度あったかどうか。
写真で一番良かったのは、小関庄太郎のゼラチンシルバープリント。福島県立美術館所蔵または寄託作品だが「一人歩む」1929年「堤の上の散歩」1930年など買えるものなら欲しいと思った。

最後の建築関連の展示はお好きな方にはたまらないだろう。
かの村野藤吾の「あやめ池温泉」の青焼図面、完成写真、岩元禄の旧西陣電話局のスケッチ、写真、今井兼次、川喜田煉七郎などなど、図面、模型がぞろぞろと。

建築やデザイン関連の展示では映像で当時の建築物など

第3章は、ご当地(愛知県)の藤井達吉や斎藤佳三、高村豊周など日本のアーツ&クラフツを紹介する展示内容。

本展の出品作品は350点以上!
このため、名古屋市美では3期に分けて展示(私が行ったのは最終の3期)していたが、それでも会場の都合でリスト順に作品が並んでおらず、ちょっと見づらい感じはあった。
この時代の表現を広範囲な分野で紹介する意気込みは素晴らしいが、あまりに対象が広すぎて、ちょっとまとまりのなさはあったかもしれない。
図録の出来がすこぶるよく、電話帳並の厚さで、さすがに名古屋から持ち帰れないと、今回は見送ったが、この展覧会はこの後松戸市博物館に巡回予定なので、そちらで購入し、自宅で図録を読み込むのも楽しそう。

*10月12日まで開催中。

コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。