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「水彩画のパイオニア 大下藤次郎の世界展」 郡山市立美術館 はじめての美術館53

OSHITA

郡山市立美術館で開催中の「水彩画のパイオニア 大下藤次郎の世界展」に行って来ました。
私が大下藤次郎を知ったのは、今年の夏、神奈川県近代美術館葉山で開催された「画家の眼差し、レンズの眼 近代日本の写真と絵画」でのこと。
参考:「画家の眼差し、レンズの眼 近代日本の写真と絵画」過去記事

見ていて心地よい水彩画だなと思ったら、それが明治期に活躍した水彩画家である大下藤次郎の作品。
実に都合よく、福島県の郡山市立美術館で大下藤次郎の展覧会が開催されるのを知り、すぐに計画を練り始め、今回の初訪問となったもの。
郡山市美と言えば、今春都美開催の「日本美術館名品展」で鮮烈な印象を残したE.バーンジョーンズの≪フローラ≫を出展し、私自身の行ってみたい美術館のトップでもあった。

郡山駅からは1時間に1本しか美術館行きのバスがない。
東北や北関東ではどこも同じような状況で、やはり車は欠かせないが、今回は昨日アップした馬頭広重美術館へ向かうため、那須塩原で借りたかったので、バスの時刻に合わせ、新幹線に乗った。

で、到着した美術館。
門から美術館の眺めは実に壮観。いくつもの美術館をまわったが、郡山市美のようなアプローチと外観は他に見たことがない。

そこは、「石だらけの美術館」だった。
建物外観もかなりインパクトのある形で、中に入って更にその広さにびっくり。
市立の美術館の中では、私が過去行った中でも最大級クラス。名古屋市立美術館などは、到底足許にも及ばない立派さ。
このタダものでない建築はどなたの設計かと思ったら、柳澤孝彦+TAK建築・都市計画研究所で、第35回BCS建築賞(1994年)、1995年度日本芸術院賞を受賞。既に15年を経過しているが、全くその年月を感じさせない。昨日の隈さんの建築と対照的である。
柳澤孝彦と言えば、東京都現代美術館、真鶴町中川一政美術館が他にあるが、私は郡山市美に一番好感を持った。
1階の受付+ミュージアムショップの広く吹き抜けの空間はとても気持ち良く開放的。
展示室は1階に企画展示室、2階に常設展示室が配置されている。
平面概要はこちら

前置きが長くなりました。

まずは、企画展の方から。
今回は島根県立石見美術館コレクションから、80点の優品と、絵葉書など多彩な資料を一堂に展示している。

企画展入口には作品リスト(近頃は公立美術館でも作成されていないことが多いのに、ちゃんと用意されていた)だけでなく、立派な色刷り小冊子「大下藤次郎と福島」も無料配布されていて、感動した。この冊子いただけただけでも、行った甲斐があったというもの。

明治30年代半ば、日本に空前の水彩画ブームが起き、大下は水彩画家としての制作活動だけでなく、1901(明治34)年に著書『水彩画之栞』を発表し、ブームの一翼を担っています。
「水彩画へのめざめ」「オーストラリアへ」「流れる雲、ゆれる水」「大下藤次郎と福島」「日本各地へ」他、絵日記、スケッチブック、写真、森鴎外が大下宛に送った書簡、旅に使用したトランクなどなど文字通り彼の活躍ぶりを伺うことができる多彩な展示です。

水彩画の中では、サイズの大きめな作品≪多摩川岬≫と≪猪苗代≫≪桧原湖の秋≫など福島の風景画や≪夕日≫≪暮景≫など情緒あふれる夕暮れ時を描いた作品が印象に残っている。

大下藤次郎の作品は様々な表情を見せる緑と湖や空の青この2色が多く使われている。風景水彩画家なのだから当たり前なのかもしれないが、彼が愛したのは山や湖、川の水景だったのだと思う。
唯一、緑がほとんど使用されていなかったのが、≪磐梯山噴火口≫2点。
火山口では、さすがに緑はなかったようで、ここでは赤や土色が、逆に新鮮に感じた。

面白かったのは絵日記。風景画では見られない人物が沢山登場している。
人物の方は、ユーモラスなタッチで、風景画とは違った魅力がある。

実に筆まめな方だったようで、スケッチ旅行先からご家族に宛てたハガキも何点か出展されていた。
私信だけでなく、大下デザインの絵葉書、これは1900年の私製絵はがき、1902年には官製絵はがきが発行され、絵はがきブームが日本に起こったことによる制作で、このデザインが実に素敵で、こじゃれている。どこか新版画風でもあった。

*10月18日(日)まで開催中。

この後、2階常設展に入ったが、続きを読みたい方はクリックをお願いします。
2階常設展示。
これが期待以上の素晴らしい内容。やはり常設で良い作品を所蔵している美術館には何度も足を運びたくなる。
今回は10月12日までの平成21年度第2期展示。
展示室1は、企画展に合わせて「英国水彩画特集」を開催していて、これがもう感動もの。

印象に残った作家名と作品名を以下に列挙します。
・A.カズンズ ≪川岸に神殿のある風景≫
・ピーター・デ・ヴィント ≪ウィットピー≫
・デイヴィッド・コックス ≪川辺の旗手と人物≫
・T・M・リチャードソン・ジュニア ≪コンウェイ城の日没≫
・サー・アルフレッド・イースト ≪荒れ模様≫

他に有名どころとしては、英国水彩画と言えばこの人ターナーの≪サン・ゴダール峠の下り道≫他1点あり。

そして、水彩画だけでなく冒頭のバーン=ジョーンズの≪フローラ≫と同タイトルで、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの≪フローラ≫いずれも油彩画が横並びされていた。
英国肖像画家でお馴染のジョシュア・レイノルズやターナーの油彩もあり。
英国美術の所蔵品はなかなか他館ではお目にかかれない。

展示室2は日本水彩画特集
ワーグマンから始まり、ラグーザ玉・五百城文哉などの面々に加わって、ここでも大下藤次郎作品が6点≪蓮池≫(下)は特に良かった。
HASU

知らない作家さんで好みだったのは、中川八郎。
≪秋邨≫≪おぼろ月夜≫2点のみ展示だったが、後者は特に好印象。ポストカード売ってたのだろうか、チェックを忘れた。
吉田博の2点もやはり良い。
最後にラッキーだったのは、古賀春江≪九月の郊外≫を見られたこと。水彩であろうが、古賀春江作品は1枚でも多く見たい。

展示室3は美術とドキュメンタリー ここは割愛。
展示室4は画家と版画
ここでは安井曾太郎の版画作品が沢山出ていた。安井の油彩ならぬ版画をまとめて見たのは初めて。私は安井作品なら油彩より版画の方が色の美しさとすっきりとした線が気に入った。

同じ展示室にご当地出身のガラス作家・佐藤潤四郎のガラス作品が多数演じされている。
ガラス・レリーフ≪赤いガラスの神様≫とガラス作品も良いのだが、むしろ淡彩のデザインスケッチの方が気になった。

この常設を見るだけでも行く価値があると思います。
次回企画展はBunkamuraで開催された「忘れえぬロシア」展の巡回。ロシア絵画との再会も良いかなと早くも再訪したくなっています。

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あべまつ様

いつも、コメント有難うございます。
こちらは、美術館前が礫石だらけになっている点が特徴的。
川原にいるようでした。

仰るとおり、素晴らしい建物と展示作品が共鳴すると、より作品が
素晴らしく見えます。
東博の法隆寺宝物館然りですね。

No title

おはようございます。

この建物、魅力ありますね。
日本の建物から、情緒が無くなってどのくらいたつでしょうか?
クール&スタイリッシュから離れて、情緒が欲しいと思うのです。

その建物と展示物の共鳴するとき、その展覧は一層輝き出します。
こういう紹介はうれしいです。
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