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「生誕130年記念 菊池契月展」 三重県立美術館 

三重県立美術館で開催中の「生誕130年記念 菊池契月展」に行って来ました。

明治時代後期から昭和前期にかけて京都を拠点に活躍した菊池契月は、現在の長野県中野市に生まれ郷里で児玉果亭に師事し、南画を学んだ後1896年に上洛、菊池芳文に入門し四条派を貴調とした本格的な絵画修業を始めました。
その後、文展などで受賞を重ね、欧州視察を経た契月は、西洋絵画と大和絵とを融合した作品を次々発表し、その名を不動のものとします。その一方、京都市立絵画専門学校で、宇田萩邨、梶原緋佐子らの後進を育て、指導者としても大きな業績を残しています。

本展は、契月生誕130年を記念し、初期から晩年までの代表作に加え、新出作品、滞欧期の模写、写生帖などを通し、契月の芸術世界に迫ります。

展覧会チラシの表面に使用されている《散策》1934年(京都市美蔵)(下)の清澄な画風を見た時から行こうと思っていた展覧会。
sansaku

期待通りの契月の日本画の数々にメロメロになってしまった。
しかし、この展覧会には残念ながら作品リストが用意されていない。

よって、印象に残った作品を章だて抜きで挙げていく。展示の流れは初期から晩年へと基本的に
制作年代順になっていた。
会場の都合せいか、各章の説明パネルが中途半端な場所に貼られているので、どこから第2章、第3章なのかが分からなかったのは残念。

・《悪者の童》 1909年 個人蔵
・《ゆふべ》 1914年 京都近代美術館蔵
・《少女》 1920年 京都近代美術館蔵
子供や少女を対象とする作品が多かった。たまたまなのか、子供が好きだったのか?
初期の作風は日本人というより西洋の香漂う描き方で、とろけるような画風である。どちらかと言うと
画面構成は濃密。

・《垓下別離》 中野市蔵
項羽と虞美人の別れの場面を描く大作。歴史画は他にもあったが、この作品は素晴らしい。

・《紫式部》 ギャラリー鉄斎堂蔵
・《交歓》 1938年 京都市美蔵
白描は初期の《紫式部》から、後年の《交歓》まで多色のものとは別のすっきりした画面が良い。
特徴的なのは、人物の顔に塗られた頬紅。ほんのりとした赤が白と黒の画面にハイライトとなって
柔らかさを出している。

・《蓮華》 個人蔵の特別出品作品 六曲一双屏風
この作品は他の作品とはかなり違って個性的。
大胆な構図と蓮のデザインが奇抜。あでやかさ、華やかさ、大胆さを兼ね備えていた。
本日のランチは三重県美のレストランで「契月ランチ」をいただいたが、最後のデザートに本作の蓮を
模したものが出てきて、これが絶品であった。

・《立女》 1924年 長野県信濃美術館蔵
ritujyo

欧州視察で、ジョットの作品など模写したスケッチが展示されていたが、その成果とされているのが
本作品。天平美術と西洋美術の融合を見事に果たした傑作と言えるだろう。
今回、《蓮華》とともに、もっとも印象が強かった作品。
背景の青、どこか聖女を思わせる天女2人の姿。画面下には小花や鳥が描かれ、西洋の宗教絵画の影響が伺われ、この作品を契機として、徐々に個性が際立ってくる。

・《南波照間》 1928年 京都市美蔵 → 以前京都市美で見て、それから契月が好きになった。
・《朱唇》 1931年 京都国立近代美術館蔵
徐々に、初期の密度の濃かった画面構成がすっきると洗練されてくるのが分かる。
格調高く美しい日本女性。
《朱唇》でも使用されているが、女性の着物の色に黄色や緑、えび茶色などを度々使用していて、この色合わせが好ましかった。

晩年、契月の線は更に伸びやかに自由になっていく。
きっちりとした画風が更に変わって行き、いかなる線も描ける日本画家の遊び心を感じた。
 
三重県美では、本展に合わせ郷土の画家で契月門下の宇田萩邨の特集展示が開催されている。
やはり、私は師の契月作品が好みであるが、宇田作品では《竹生島》《簗》《祇園の雨》が良かった。
ことに、《簗》1933年(松阪市立第一小学校蔵)は、大胆な構図がかつての師匠の作品譲りで、
ダイナミックさと清廉な雰囲気が気に入った。


さて、三重県美は常設展のお楽しみも大きい。
特に素晴らしいのが江戸絵画。
今回も曽我蕭白3点、池大雅、月遷など見所ある作品群で楽しませてくれた。
とりわけ、蕭白の《寒翁飼馬・簫史吹簫図屏風》は六曲一双の大作。そして、蕭白らしさ満載の奇妙
テキレツな作品であった。これを見ることができて良かった。
蕭白残り2点は《太公望図》《双鶴図》。
月遷は《王義之蘭亭之図》《赤壁図》いずれも、なかなか他では見られぬ月遷の作品で、これも満足できた。

洋画では、木村荘八《戯画ダンスホール》1930年、古賀春江《煙火》1927年、松本竣介《駅の裏》1942年、野田英夫《風景》1936年が印象に残る。

*「菊池契月展」は10月12日(日)まで開催中。
長野、京都へ巡回予定です。
常設展示は12月27日(日)まで上記作品が展示されています。

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