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「皇室の名宝-日本美の華 1期」 東京国立博物館

meihou

東京国立博物館で開催中の「皇室の名宝展 第1期:永徳、若冲から大観、松園まで」に行って来ました。

今年の日本古美術関連で、もっとも注目される展覧会と言っていいでしょう。混雑必至とブロガー対象のプレビューに応募するも、見事落選。しからばと、休みをからめて平日の午前中に見て来た次第。珍しく元NHKアナの加賀美幸子さんに惹かれて、二順目音声ガイドを借りてみた。加賀美さんと皇室のイメージはピタリと来るし、何より聞きやすい。

展覧会の概要は、タイトルそのもの。
平成天皇の御即位20年を記念し、皇室が所蔵する名宝中の名宝を集め、Ⅰ期、Ⅱ期と分けて展観します。特にⅡ期には、あの奈良博まで行かないと見ることの叶わない正倉院宝物が登場。
前置きはその位にして、早速感想に入ります。展示内容、画像その他は既に多くのブロガーの皆様がご紹介されていますので、ここでは割愛いたします。

第1章 近世絵画の名品

・≪唐獅子図屏風≫ 狩野永徳・狩野常信筆
永徳の唐獅子図屏風は2007年京博開催の「狩野永徳展」以来の対面。しかし、狩野常信筆の方は初見。ちょっと、やんちゃな唐獅子ちゃん。並べると、迫力不足は否めないが、不釣り合いという訳でもない、こわ~い永徳唐獅子に擦り寄る常信唐獅子。
既にアップした現在京博で開催中の「日蓮と法華の名宝」展にも、これと等大と思われる狩野山楽の「唐獅子図屏風」を見た。こちらの方が永徳作に近い気がしたが、これは寂光寺が所蔵しているので、本展への出展はなし。3点並べたら、さぞかし壮観だろう。

・≪萬国絵図屏風≫ 
17世紀初期作と思われる作者不明の8曲1双屏風。左右に世界各国の民俗衣装?をまとった男女が描かれる。まさに世界の風俗図。更に中央には世界地図。かつて、サントリー美術館、大阪市美へ巡回した「BIOMBO展」に出展されたらしい(今、知った)が記憶にない。

海北友松の「浜松図屏風」も名品だが、私に対するインパクトには欠け、他狩野永徳派の屏風類も省略。

次の部屋が若冲ワールド。

本展の目玉である動植綵絵30幅がズラリと並ぶ。これで、4度目の拝見ですが、何度見ても鮮やかな色彩と緻密は線、若冲の技と発想が光る名品であることは言うまでもなし。
見るたびに良いと思う作品は違うと思いきや、またも自分のブログで過去記事を検索した所、直近の2007年相国寺での「若冲展」2回目で≪芦雁図≫(下)が良いと書いていた。今回も≪芦雁図≫に惹かれたのだ。あの緊張感漂う画面、氷裂の入った池めがけて下降する雁。
rogan

先日行った石川県立美術館の常設展で、伝雪舟(雪舟周辺絵師)筆「四季花鳥図屏風」右隻に若冲≪芦雁図≫と同じように地面?に向かって下降する雁が描かれていて驚いた。雁は、こういった動きをするらしい。

更にこの絵をよく見ると、右側の枝にとまる鳥の顔が雪で消されている。何とも不自然な感じ。どうして、顔を隠したかったのか?など何とも気になる。

1幅ずつ、こんな風に感想を書きだすと、きりがないので他は略。ただ、相国寺所蔵の釈迦三尊像がないので、あの展示を知っていると、何かもの寂しい。≪旭日鳳凰図≫(2006年に三の丸尚蔵館での展示で拝見した。)も大作ではあるが、残念ながら釈迦三尊像の代わりは厳しかろう。

次の部屋へ移動。
ここは、大変な状態になっていた。前2室のしわ寄せが来てしまったのだろうか?
何しろ、円山応挙筆≪旭日猛虎図≫が、後ろに下がって見られない。ちょうど部屋の真ん中に衝立のように、ガラスケースが配置されていたからである。
この部屋は混雑の元凶となってしまうに違いない。おまけに最奥には、呉春筆≪秋草図衝立≫が本当に衝立となっているではないか。
部屋が狭すぎる~。いや展示作品が多すぎて、無理しちゃったという方が正しいのか。

印象に残ったのは、上記応挙の猛虎というにはあまりに愛らしい≪旭日猛虎図≫、両面楽しめる呉春≪秋草図衝立≫、谷文晁の水のみ虎を描いた≪虎図≫、ラブリーな中に上手さが光る長澤蘆雪≪唐子睡眠図≫と山口素絢≪朝顔狗子図≫。

そして、この部屋の私的ベストは岩佐又兵衛≪小栗半官絵巻≫巻1・11・13と葛飾北斎≪西爪図≫。≪西瓜図≫は昨年の板橋で見逃し、いつかは必ず!とどうしても見たかった作品たち。
小栗判官は、全15巻のうち3巻だけではストーリーが分からないので、復習してから再訪しようと思うが、果たして展示ケースに近寄れるのだろうか。。。又兵衛とその工房による極彩色の絵巻である。
この先、それこそいつ出会えるか。三の丸尚蔵館で、若冲のように全15巻を5期くらいに分けて、最初から順次公開していただけないものだろうか。

北斎≪西瓜図≫は、画像その他では何度も見ているが、実作は素晴らしかった。透けるように薄い西瓜の皮。西瓜を盥、干した西瓜の皮は七夕飾り。黒刃上の二つの光は織姫と彦星とが七夕に出会う星合い図として表現した、いわゆる見立絵。
包丁の根元にご注目。「應需」とあるが、これは求め(恐らく天皇)に応じて描いたの意。
とら様のブログを、昨年板橋区立美術館で小林忠先生が同内容のお話をされており、とら様のブログに詳しいのでご紹介します。

酒井抱一の≪花鳥十二ヶ月図≫は、最後のお口直しのデザートのように思えた。
以上で、第1章は終り。

第2章 近代の宮殿装飾と帝室技芸員
ここでは、帝室技芸員作家による作品が並ぶ。*帝室技芸員制度についてはこちら

この第2章でかなり疲弊した。その原因は展示作品の多くは皇室が依頼した作品であったから。明治、大正と戦前まで、天皇は人に非ず神であった。
その神から依頼されたとあっては、気合いも入る。その気合いが作品全部から沸き立っていて、見ているこちらが気疲れしたんだと思っている。

印象に残ったのは、以下。

≪旭日双鶴松竹梅図≫ 3幅 荒木寛畝・野口小蘋
これは、作品というより上下両脇の銀地の表装に仰天した。確か銀婚祝いの品だったような。

下村観山 ≪光明皇后≫、川合玉堂≪雨後≫、橋本雅邦は好きなのだが、今回の≪夏冬山水図≫≪春秋山水図≫はやや大人し過ぎた。

≪讃春≫ 鏑木清方 6曲1双
気合いが入る作品が続く中、安らげる一陣の春の風のような作品だった。向かって左に川で生活する母子、右には良家の子女と思われる女子学生が2人。いずれも春の到来を楽しんでいる図。旭日とか、孔雀とか鳳凰、富士山、虎はもうお腹一杯と思っていた最後の最後で登場。

上記絵画より、個人的にこの部屋の見どころは工芸だと思う。

とりわけ、今回私が注目したのは海野勝の置物2点であった。
先に展示されていた≪太平楽置物≫の方が、ベルトにメドゥーサのような飾りがついていて、インパクトが大きく、≪蘭陵王置物≫はかつてどこかで一度見たような記憶あり。
見事な調金細工である。この他、海野の技が密かに冴える展示品≪菊蒔絵螺鈿棚≫である。
同じく帝室技芸員の川之邊一朝(蒔絵)他との共作。この棚で、海野は金具を担当しているが、金具ひとつとっても素晴らしい技術を見て取れる。

自身の感心分野でいけば、七宝の並河靖之や濤川惣助らの作品も忘れられない。

そして、牙彫なるものを本展で初めて認識した。これまでも見たことはあるかもしれないが、ここまで強い印象は残らなかった。
≪官女置物≫旭玉山作。
旭玉山は独学で牙調を学んだ人。よくぞ、独学でこれだけのものを作ったものと俄かに信じがたい。牙を一体どれだけ使用したのか、接合技術も素晴らしい。
彫刻関連では、高村光雲≪矮鶏置物≫、1対の鶏はまるで生きているかのようだった。

陶芸では、装飾過多な菊満載の薩摩焼≪色絵金彩菊貼付香炉≫(好き嫌いを超越したデコラティブ)、清風與平(三代)作≪旭彩山桜図花瓶≫のうっとりするような淡い桃色、宮川香山(初代)作≪青華氷梅文花瓶≫(デコラティブ時代になる前の名品)などを挙げたい。

壁面一杯を飾る渾身の作品、川島甚兵衛(三代)作≪春郊鷹狩・秋庭観楓図壁掛≫や藤井浩祐作
≪狩猟犬の仔≫も忘れられない。

とても長くなってしまいました。最後まで読んでいただいた方に厚く御礼申し上げます。

*1期の展示は11月3日(火・祝)まで開催中。

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あおひー様

小栗判官絵巻が巻数替えされていることを知り
やはり行かねばならないと決意しましたが、混んでるだろうなぁ。
びびります。

No title

書くべきことが多すぎて、なかなかうまくまとめるのが難しいですよね。
1期にはあともう一回は行きたいところです。

せいな様

混雑がひどくなくて、本当に良かったですね。
若冲作品は、細部まで見て行くといろいろな発見があり
何度見ても楽しめます。
ぜひ、二度目を。

No title

本日行ってきました。
若沖ワールドのお部屋は圧巻でした。
1つ1つの動植物が今にも「コミカルに」動きそうな感じがしました。

No title

早く行かねば!と気持ちがあせります~
小栗判官、私も近藤ようこのマンガで予習しました(笑) 又兵衛が描くのに相応しい?トンデモ話でしたので、見るのが楽しみ~~頑張って近づかねば!

@21世紀のxxx者さま
確かに1回で記事をあげるのは大変ですよね。
私も気付いたら、こんなに長くなってました。
土日はやはり混雑ですか。
会期末近くなったら、とんでもないことになりそうですね。

@あべまつ様
帝室技芸員制度が今の人間国宝制度につながり、伝統工芸
の伝承に果たした役割は非常に大きかったと感じました。
あの蒔絵棚にはしびれがきました。

@遊行七恵様
東洋文庫「説経節」+マンガで自己学習いたします。
マンガの方が手に取りやすそう~。
教えて下さってありがとうございます。

尚蔵館での展示を心待ちにするばかりです。

こんにちは
あの図解を思い出します。それとやっぱり獅子は顔を背けてるんやわ、と。
>初から順次公開していただけないものだろうか

何年か前にありました。そのときに、道に迷ってたどり着けなかったことが虎馬になりましたよ。あれからだいぶ経ったので、ぜひお願いしたいところです。
それとヲグリですが、物語そのものは東洋文庫「説経節」に入ってるので、図書館にありますよ~

No title

こんにちは。

一つ一つがものすごい力作なので、丁寧に付き合っていたら、
こちらがダウンしそうなくらいのすご技集合展でした。
工芸は日本を背負って立ってきたのだと実感でした。
帝室技芸員、天晴れ!!でした。

No title

詳細な感想でとても参考になりました! 私は土曜日に観にいってきましたが、入場制限はないもののかなりの混雑でした。
とはいえ、この展覧内容の濃さから言えば混雑必至かもしれませんね。
唐獅子と若冲の部屋で驚いていたら、2章の最後のほうまでどれも驚嘆の内容でした。 

私もこれから書きますが1回では書ききれなそうですw
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