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「湖都大津社寺の名宝」前期 大津市歴史博物館

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大津市歴史博物館で開催中の「湖都大津社寺の名宝」展に行って来ました。

大津市では、1947年秋に、観光資源の活用、地域振興などを目的として、延暦寺・園城寺・石山寺・近江神宮・日吉大社の賛同を得て、「二社三寺」連絡協議会が設立。
更に1958年に、西教寺と岩間山正法寺が加わり、加盟社寺が7団体に増える際、体制を新たに「湖信会」が結成され、その活動により大津観光の礎が築かれました。その後、満月寺や建部大社、立木山安養寺(立木観音)が加わり、現在加盟寺社は10社寺となっています。

本展はこの「湖信会」創設50周年を記念し企画されたもの。
加盟している十社寺を中心に市内の仏像・神像などの名宝を展示し、合わせて十社寺についてパネルや境内図・地図などの関連資料を展示し各社寺についての理解を深めてもらおうという内容です。

<私が感じた本展の見どころ>

1.仏像・神像初心者でも分かりやすい尊像別の展示になっている。

2.展覧会を1周すれば、ほぼ全ての種類の尊像と神像を見ることができる。
  ⇒ 一見何でもないように思えるが、これは実に凄いこと!
    通常ひとつの展覧会で全種類の仏像を見られることはまずない。

3.解説に仏像キャラクターが使用されていて、とても分かりやすい。
  ⇒取っつき難い内容でもかわいいキャラ仏が説明してくれると、頭に入りやすかった。
   イラストで各尊像の見分け方、特徴が図説されている。
  *この愛らしい仏像キャラクターはミュージアムショップ担当の博物館職員(美大を卒業されたお
   若い女性二人)の方が生み出したもの。博物館のお手製キャラなので、要注目!

4.「湖信会」加盟寺社の通常非公開の仏像を多数見ることができる。
  ・10もの社寺を全て回るのは大変。行っても拝観できない仏像や展示物が多く出展されている。
  ・展示作品の約半数は重要文化財+国宝1点の質が高い内容。   
  ・博物館への出陳は初めてという貴重な作品も多数。

5.仏像入門書として最適な図録(下)を読んで本展を回ればますます仏像知識が身につく。
  ⇒ハンディタイプのオールカラーで手に取るのが楽しくなる図録。こちらにも仏キャラ使用。
zuroku

次に展示構成と共に、印象に残った仏像・神像をご紹介します。

展示作品リストはこちら。作品画像の一部は博物館HPよりご覧いただけます。⇒こちら
*私が行った時には作品リストは用意されていなかったので、必要な方は事前に印刷し持参した方が良いかもしれません。

一.尊像別でみる大津の仏像・神像
0.釈迦・舎利  
Ⅰ.如来
最初はやはり誕生仏でお馴染の釈迦から展示が始まる。

・「金銅釈迦誕生仏立像」 聖衆来迎寺
白鳳時代から奈良時代の作例と思われる誕生仏。そのお姿はやはり白鳳時代の仏に見られる渡来風である。

・「仏涅槃図」 重文 園城寺
今回もっとも衝撃を受けた作品。仏涅槃図は過去数え切れないほど見て来たが、本作品のような素朴で戯画風のものは初めて。室町時代の作と言われるが状態もまずまずで、見ていてとても面白い。

・「舎利容器」(崇福寺出土) 近江神宮 国宝
国宝登場。白鳳時代の出土品。その様子より年代的・歴史的に貴重な出土品としての価値が高いのだろう。しかし、近江神宮は絵画から舎利まで様々なものを所蔵していると今更に驚いた。

・「絹本著色釈迦如来像」(持鉢釈迦如来) 西教寺 重文 前期のみ
仏像だけでなく仏画の良い物も多数出展されている。こちらもその一つ。ちょっとお辞儀をするような姿の釈迦如来像を描いた仏画。よって持鉢釈迦として親しまれる。珍しい。
西教寺所蔵の仏画では「絹本著色当麻曼荼羅図」(前期のみ)も精緻な筆使いで美しい鎌倉時代の仏画であった。

・「木造阿弥陀如来坐像」(宝冠) 泉湧寺悲田院 鎌倉時代 (10/25まで)
快慶の作例と言われる阿弥陀如来。黒の衣紋線があり。優美である。

Ⅱ.菩薩

・「木造聖観音坐像」 満月寺 平安時代 重文
まぶたが重そう。ふくよかな頬の膨らみが印象的。

・「木造十一面観音立像」 園城寺 平安時代 重文
特徴的なのは頭が大きく、寸足らずでいわゆるずんぐりむっくり系の仏像にも関わらず、バランスは崩れていないこと。ふっくらしたお顔とぼよんとした体形が愛らしい。今回一推し。

・「木造千手観音立像」 延暦寺 平安時代 重文
一木作りで作られた千手観音としては屈指の古さ。脇手は後補。エキゾチックな顔立ち。小・さいが素晴らしい仏像だった。

・「木造如意輪観音坐像」 理性院 鎌倉時代 
理知的なきりっとした顔立ちの如意輪観音。通常非公開。

・「金銅弥勒菩薩坐像」 延暦寺 朝鮮三国時代
大陸で作られたものと推測される。

・「木造地蔵菩薩立像」 松禅院 平安時代
重文指定はされていないが、4点あった中で、この地蔵菩薩が一番好きだった。大腿部の肉付きの良さ、ちょっと突き出たお腹が良い感じ。

⑧普賢、⑨虚空蔵、⑩日光・月光、⑪地蔵、など

Ⅲ.明王
・「木造不動明王坐像」 平安時代 園城寺
園城寺の不動明王と言えば、先日「三井寺展」で貴重な秘仏「黄不動」を見たばかり。こちらは木造の不動明王坐像。小さいけれど整っていた。

・「木造不動明王二童子像」 岩間山正法寺 平安時代
二童子付きの三体そろい踏み。笑っているこんがら童子。

Ⅳ.天部

・「絹本著色毘沙門天像」 延暦寺(実蔵坊) 鎌倉時代 前期のみ
着彩や描線が非常に美しい仏画

・「木造兜跋毘沙門天立像」 平安時代 石山寺 重文
またも重文の平安時代仏像。ブログを書いていて感じたがやはり平安時代の仏像が多く揃っている。
この兜跋は足許に注目。何と地上から湧きだした地天女が毘沙門を支えて持ちあげているのだった。
こんなの見たことない。

・「木造三面大黒天立像」 立木山安養寺 江戸時代 非公開
大黒と弁財天、毘沙門が一木で一体となって彫りだされている。同じ作風のものが他寺にも伝わる。

Ⅴ.神像
・「木造女神坐像」 建部大社 重文 3体 平安時代
うち1体は袖で顔を隠す非常に珍しい神像。これは以前安土城考古博物館で拝見しているので、2度目。また再会できて嬉しい。

・「絹本著色新羅明神像」 大津市歴史博物館 前期のみ
新羅明神と言えば、前述の「三井寺展」で新羅明神像の強烈な神像が記憶に新しい。こちらはもう少し太った新羅明神の一幅。状態は良かった。


他にも面白い作品が目白押し。たっぷりじっくり堪能した。博物館の皆さんで作り上げた展覧会だということがひしひしと伝わる好企画だった。後期も行く予定。
滋賀県の仏教美術は奈良・京都に劣らぬ素晴らしいものが遺されているが、それを公開・研究・守る県の機関がないのは非常に残念。過去に当ブログでも記事にさせていただいた滋賀県琵琶湖文化館は休館でなく廃止案まで県議会で出されていると聞く。
詳細は「観仏三昧的生活」様が書いておられます⇒こちら

県として滋賀県の貴重な文化財に対する今後の姿勢を明確に打ち出していただきたい。

今回の大津市歴史博物館のように官と寺社が一致協力して、公開保存研究機能を担っていただきたいと強く願うばかりである。

*前期展示は11月1日まで。後期:11月3日~11月23日(月・祝)まで。

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noelさま

滋賀県が本気出せば、このくらいの展覧会は朝飯前かもしれません。
本当にもったいないどころか、危機的な状況です。
県はもっと文化保存、研究、公開をちゃんと考える必要があると
県外在住者が横から言いたくなってしまいます。

No title

これも行きたいなあ...白洲正子さんも書かれたように滋賀県の仏教美術は素晴らしいのに、なんだかもったいない状態ですよねえ...うーん。
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