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「鈴木一コレクション 古渡り更紗と名物裂展」 シルク博物館 はじめての美術館56

silk

横浜のシルク博物館で開催中の「鈴木一コレクション 古渡り更紗と名物裂展」に行って来ました。

シルク博物館は今回が初訪問。
展覧会に触れる前に、まずこの博物館のあらましを簡単にご紹介します。
場所は、山下公園の程近く大桟橋通りの角で、電車で行けば最寄駅はみなとみらい線の日本大通り駅から徒歩3分です。
こちらの歴史はなかなか古く、横浜開港100年記念事業として、昭和34年3月(ちょうど今から50年前)、開港当初英国商社ジャーディン・マセソン商会のあった所に、シルクセンター国際貿易観光会館が建設され、その一事業部門として開設されました。

今年は、くしくも横浜開港150周年。
結論から申し上げると、「古渡り更紗と名物裂展」は同館の記念すべき50年目を迎えるに相応しい内容でした。

本展では、京都の時代裂研究家であられる鈴木一(すずきはじめ)氏のコレクションより貴重な更紗や名物裂を約200点紹介し、小さな裂から広がる絹や木綿の染織世界を楽しみながら、布の断片も大切に慈しんできた日本人の心を振り返ります。
また、本展は日本とオランダが今年朱印状による通商関係をはじめてから400年を記念して開催されています。

展示は裂の種類ごとに並んでいましたが、名物裂や更紗の展覧会も今回初体験。
昨年だったか五島美術館他で開催された更紗の展覧会を見逃したため、この展覧会の価値を把握しようにも私自身の中にスタンダード(基準)がないので難しいところ。

鈴木氏の染織コレクションは、以下4つのジャンルに分かれています。
・染物である古渡り更紗 97点 
・織物である名物裂 →金襴、純子(どんす)、間道(かんどう)、雑載(ざっさい) 66点
 *雑載は更に、錦・モール・ビロード・印金に分けられる。
・刺繍である竹屋町 3点
・衣装である誰ヶ袖屏風 1点

なお、今回たまたま鈴木一氏のご子息である鈴木一弘氏による講演があり、1時間だけ(実際は14時から閉館までお話されるという熱心なものだった)参加しました。
鈴木氏のお話によれば、織った布を後で染めたものが染織<後染め>、先に染めた糸を使って織ったものが織物<先染め)なんだそうです。
改めて言われると、そうかと思いますが分かりやすい識別法。
すなわち、更紗は染織で、名物裂は後染めの織物という訳で、一見同じ布と思いがちですが、実は大きく違うことが分かります。

今回は個々の裂の名称は省略し、全体を通じての感想を書くに留めます。

1.紋様の美
時代裂の一番の魅力はその紋様にあった。ちょうどこの展覧会を見た二日後に奈良博で正倉院展を見たが、同様に染織品には紋様の美しさを感じたのと同じである。
遠くインドや中国、中にはヨーロッパから渡って来た更紗や金襴、純子、間道は、今見ても心惹かれるものがある。
とりわけ、古の日本人にとって、これら外来の布はさぞや感覚に訴えかける刺激的なものだったに違いない。だからこそ、どんなに小さくても珍重し、保存されてきたのだろう。

更に言えば、紋様に込めた願い、祈りの心を随所に感じた。
吉祥、厄除けなど意味がある紋様も存在する。
今回私が特に気に入った紋様は、笹蔓手金更紗。小花に金糸で縁取りされていて、布の地の色も美しいごく淡いピンク色。
この小花と花から伸びる笹蔓はハート型をかたどるという凝りよう。
ハート型は鈴木氏の解説で初めて確認できたのですが、確かにハートになっていた!
専門家によるお話というのは、これゆえ傾聴せねばならない。

2.色彩の美
紋様もさることながら、色彩の美しさも忘れてならない点。
間道(かんどう)は縞模様の裂のことですが、配色が絶妙で現代以上にお洒落な色使いではなかろうか。

3.茶の湯と時代裂
日本人がここまで時代裂を愛した背景には茶の湯の存在がある。
小さな布でも、懐紙入れ、棗袋、茶籠袋などに仕立て、その美を慈しんできたのだ。
もし、日本に茶の湯がなければ、現代にまで古渡り更紗は残らなかっただろう。
布は傷みも早い。
茶の湯を愛した人々の間で「更紗手鑑」「名物裂手鑑」が作られたおかげで、貴重な時代裂が保存され、現代の私達にその美しさを伝えてくれるのだ。
また、茶人は紋様の欠けさえも敢えて楽しむという遊び心が伺われる。
やはり、茶の湯の世界は深いと実感。

なお、布の時代測定は科学測定であっても信用できない面があるとのこと。
一度、布が水に晒されるだけで、年代判定結果は変わってくる。
更に、科学測定には一定の大きさの布地が必要。そこまでして、時代測定が必要かという問題もある。
この点は、更に科学が進歩し布を傷めたり切ったりすることなく時代測定が可能になるのを待つしかないのだろう。

本展で、非常に珍しい更紗を見ました。
雲母更紗。雲母を使用した更紗で、剥離が進んでいないものだとキラりと裂が輝く。

多数の貴重な更紗や名物裂を見ることができる貴重な機会です。

*11月8日(日)まで開催中。茶の湯の世界に興味のある方はぜひ。
シルク博物館
休館 :10月19 日(月)・26日(月)・11月2日(月)
午前9時~午後4時30分(入館は4時まで)
〒231-0023 横浜市中区山下町1番地 シルクセンター内
TEL : 045-641-0841 FAX : 045-671-0727
みなとみらい線 日本大通り駅下車3番出口

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