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「よみがえる浮世絵-うるわしき大正新版画展」 江戸東京博物館

shinhanga

江戸東京博物館で開催中の「よみがえる浮世絵-うるわしき大正新版画展」もいよいよ会期末まで残り1週間を切りました。
会期は今度の日曜日11月8日までとなっています。
前期:9/19~10/12、後期:10/14~11/8までと2期に分かれ、日本初公開となる米国ムラー・コレクション以外の作品では一定展示替えがあります。

前期、後期両方に行って来ましたので、遅れ馳せながらの以下感想です。

本展は、江戸時代の浮世絵版画の伝統を引き継ぎつつ、新たに創造された大正から昭和初期に興隆した木版画<大正新版画>を一堂に展示し、合わせて近代東京文化を捉える機会とするもの。
また、本展の呼び物となっている米国スミソニアン協会アーサー・M・サックラー・ギャラリー所蔵のロバート・ムラー氏の新版画コレクションの中から選りすぐりの名品を日本初公開します。

<展覧会構成>
第1章 新版画の誕生
第2章 大正新版画と浮世絵
第3章 新版画とモダニスム
第4章 日米の懸け橋 ロバート・ムラー 新版画コレクションの形成
第5章 新版画の制作

以上で分かる通り、新版画の創世から制作に至るまでを概観できる内容となっています。

全体を通して、個人的に印象深かったのは外国人による新版画作品であった。
特に第1章に展示されていたヘレン・ハイド、バーサ・ラムの両名の作品は過去にも見ていて、最初見た時から大好きなのだが、今回も他の作品よりこの2人の温かみのある作風が好きで好きでたまらない。前期・後期を通じて各1点ずつしか展示されていないのが、悲しかった。
外国人による新版画展というのは開催されないのだろうか。企画展でなくとも特集展示くらいでも良いのだけれど。

更に外国人作家の版画は続く。
フリッツ・カペラリ、チャールズ・バートレット、エリザベス・キース、お馴染ノエル・ヌエットなどなど。
恐らく彼らは浮世絵に関心があり、それを学ぶもしくは自身もやってみたいと木版画を始めた。
そして、独自の味付けがされ個性ある新版画作品が出来上がって来る。
浮世絵の模倣などでは決してなく、全く別の魅力があるのだった。
明治・大正期の外国人による木版画はもっと評価されても良いのに。
神奈川近代美術館で今年企画展があった「アンリ・リビエール展」、アンリ・リビエールは新版画の範疇外かもしれないが、浮世絵愛好家でその影響を強く受けていた。

日本人作家は、お馴染の橋口五葉、川瀬巴水、吉田博、伊東深水らに交じって、鮮烈な印象を残した作家が、山村耕花、名取春仙、小早川清、笠松紫浪、小原古邨。
最後の笠松や小原は名前すらこれまで聞いた記憶がなかった。

前期は、過去に見た作品が多かったので本展の良さが自分の中で強く実感できなかったが、後期も足を運んだ所、今度は未見作も前期より増えており、2度以上見ている作品であってもなぜか、しみじみと良いなぁと感じた。

新版画は時代も明治~大正にかけてなので、損傷や色落ちはムラー・コレクションであろうがなかろうがあまり変わらず、どの作品も色の美しさ、グラデーション、取り合わせは見事。彫の技術も高く、例えば橋口五葉の「髪梳る女」(大正9年)で見られるように、髪の毛1本1本まで分かるような精緻な表現をしているものさえある。
つまり、所蔵先がどこであっても新版画の質は高く素晴らしかった。
ただしムラー・コレクションの川瀬巴水による肉筆画は、なかなかお目にかかれないのでちょっと別格。

展覧会企画者の企図は、ムラー・コレクションの質もさることながら、外国人ムラー氏を虜にした新版画の魅力と新版画を通じての日米開戦前の交流の軌跡を伝えることにあったのではないか。

それゆえ、ムラー氏関連の文献資料や写真類なども合わせて多数出展されている。
新版画だけでなく、当時の新版画を通じての交流も見て行くと面白い。

また、もう一つの見どころとして、新版画のモチーフに注目したい。
浮世絵の歌舞伎役者、美人、名所を扱っているのは同じだが、描かれているものは全て時代を的確に反映している。

当時の風俗や日本の様子を知ることもできる。
例えば、山村耕花「踊り上海ニューカルトン所見」(大正13年)では華やかなダンスホールの風景がモダンガールと共に描かれ、小早川清の美人画「近代時世粧ノ内 ほろ酔い」(昭和5年・チラシ表面右列真ん中)の女性は短髪にノースリーブワンピースを身に付け机の上にはさくらんぼ入りカクテルが置かれている。
当時、戦前はこんな洋服や髪形が流行していたのかなと思いを馳せた。


最後に、本展図録について触れておきたい。
改めて図録を見返してみると、図版の色、雲母の使用も分かるほど印刷が良い。
この質と内容であれば、本展をお気に召された方にはぜひ購入をおすすめします。

*11月8日まで開催中。前期だけでなく、後期もお見逃しなく!

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