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「野呂介石-紀州の豊かな山水を描く-」 和歌山県立博物館

赤富士
「富岳紅暾図」 野呂介石筆 文化13年(1816) 個人蔵
⇒ 日本最古の赤富士図

和歌山県立博物館で開催中の「野呂介石-紀州の豊かな山水を描く-」に行って来ました。

47年~1828年)は、江戸時代に紀州で活躍した文人画家で、21歳の時、京都で池大雅に師事し、その後昨日アップした「荻泉翁コレクション」にもあった大阪の木村蒹葭堂らをはじめとする関西の文人たちと交流。
その後47歳で町人の身分から紀州藩に採用され、その後藩士として勤めながら山水画を多く描き、更に、晩年画家としての名声が高まり、各地から教えを請う文人が多く訪れたといいます。

野呂介石の名は、私も過去にいくつかの展覧会や博物館で作品を拝見したことがあり、記憶に残っていました。
本展は、介石の画業を回顧する31年ぶりの展覧会。となれば、次に開催する時に見に行けるかどうか危ういってことだと会期開始早々向かった次第。

展示構成は次の通り。
Ⅰ 学画-鶴亭と池大雅
Ⅱ 開花-交友と遊歴
Ⅲ 出仕-藩士として父として
Ⅳ 東都-江戸と富士
Ⅴ 矮梅居-依頼多き日々
Ⅵ あこがれ-中国絵画の学習と詩意
Ⅶ 紀州を描く-真景と豊かな山水
Ⅷ 指導-次世代の文人画家や弟子たちとの交流
Ⅸ 晩年-藩主のお褒め「山色四時碧」
Ⅹ 没後-その評価と門流

以上の構成を見てお分かりいただけるかと思うが、野呂介石の全貌をつぶさに明らかにする重厚な内容。展示作品も非常に多く、前期(11月15日まで)後期(11月17日~12月6日)で相当数の作品展示替えを行い、前後期合わせて187点もの作品と関連資料が出展されている。
展示作品リストはこちら

また、展覧会のホームページの充実度が凄い。
分かりやすい展覧会みどころはこちら

元々京都から和歌山へ向かうという無謀な計画であったため、鑑賞時間が絶対的に不足し、最後はかなり駆け足の鑑賞になってしまったが、見終わった後に、介石その人の人生を見てきたような感慨を抱いた。

全般的に介石の作風は南画でもやや保守的な傾向にあり、師の池大雅が時折見せる破天荒な作品はない。むしろ中国山水画の影響を強く受けているように感じた。
ただ、どの作品も温かみのある穏やかな作風で、気持ちが和んでくる。

南画と一口に言っても、実に様々であることが徐々に分かりかけて来た今日、この「野呂介石」展を拝見したことで、私の南画についての引き出しが確実に増した。
例えば、介石と同じく紀州で活躍し紀州の三大文人画家と称される桑山玉州の作品も、今回記憶にとどめられたし、以前から気になっていた蒹葭堂の作品も見ることができた。

それに加えて、前半では大好きな池大雅の≪楓林停車図≫≪那智観瀑図≫≪瀟湘八景図屏風≫≪富士十二景図≫は出ていて、全く予備知識なしで出掛けたのでとても嬉しかった。

前述の桑山玉州の作品に続いて、初期から晩年までの介石作品と中国山水、特に≪渓亭秋色図≫倪瓉筆、≪離合山水図≫伊孚九筆(重文)など手本とした中国元~清時代の作品も数点出展されていた。

介石作品では、最も好きなのが≪歳寒三友図巻≫、≪擬米南宮意山水図≫(前期)は素晴らしかった。
この筆達者ぶりは当時著された「古今南画要覧」「現故漢画名家集鑑」など(当時流行していた南画の作家たちを番付したもの)に、池大雅、彰城百川に続いて三番目に名前が挙がり、もう一方では大雅と田能村竹田の間に名前があり、人気画家であったことが窺われる。

なるほど、介石の穏やかな山水や紀州の風景作品は手元に1幅置いておきたくなる、そんな作品なので人気ぶりも納得できる。

意外にも、絵画の仕事は掛軸や絵巻、屏風だけでなく、やきものの絵付けにまで及んでおり、やきもの用の絵は、素朴で単純な図柄が微笑ましい。
力の抜けた所が好感を持てる。

それにしても、和歌山県立博物館の企画展は今回でまだ2度目だが、いずれも丁寧で分かりやすい解説と展示方法が取られており、大変感心しまた担当学芸員の方の奮闘ぶりを随所に感じた。
昨今公立美術館でも作品リストを作成していないことが多い中、こちらでは必ずリストは用意され、更に今回はひらがなばかりの「出陳資料よみがま目録」まで用意されており、泣けた。
こんな心遣いができる博物館なら、遠くても足を運ぼうという気にさせられる。

図録(↓)は言わずもがなの充実した内容で、これ1冊で介石の全てはが分かるという貴重な内容。

図録

できれば、展示替えの後期も行きたいところだが、ちょっと予定が詰まっていて微妙。
関西方面の皆様、素晴らしい内容の展覧会です。
ぜひぜひ足をお運びください。
博物館には隣接して和歌山県立近代美術館があります。そちらでは現在「-世界遺産登録5周年記念-描かれた紀伊山地の霊場と参詣道」展が開催されており、合わせてお楽しみいただけます。

■「野呂介石展」関連イベント
・11月29日(日) 「野呂介石の画集と文人交流」 13:30~15:00
講師:安永拓世(和歌山県立博物館学芸員)
会場:県立近代美術館2階ホール
・12月5日(土) 13:30~14:30 学芸員による展示解説
会場:展示室内

野呂介石が見た紀州の自然を楽しめます。

*12月6日まで開催中。本展の巡回はありません。

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野呂介石―紀州の豊かな山水を描く―

和歌山県立博物館 2009年10月27日~12月6日  野呂介石30年ぶりの回顧展。こんなにたくさんあるのか・・・・・・。介石前史の鶴亭、大雅、お仲間の桑山玉洲、弟子たちと盛りだくさんです。よく調べてあるし。字も読んであるし。介石にとっての士分の意味とか気になりま

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