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「近代の東アジアイメージ」 豊田市美術館

asia

本日12月8日の朝日新聞朝刊紙上において、今年の展覧会「私の3点」として北澤憲昭氏が豊田市美術館で開催中の本展「近代の東アジアイメージ」を挙げられていらっしゃるそうだ。
前期・後期と2回見て来た私は、この結果を聞いてあり得るなと思った。

何がすごいかと言えば、
第1にボリュームと展示作品の質 ⇒総展示作品数は約300点、しかも107作家を網羅 
第2に展覧会主旨が明確で展示内容から主旨が観賞者によく伝わって来たこと
第3に近代日本画、近代洋画、写真家と広範囲に日本近代美術を網羅していること
が挙げられる。

本展主旨はチラシ記載の「日本近代美術はどうアジアを描いてきたか」が端的に表現している。
日本近代の日本画家、洋画家、さらには写真家たちが、どのようにアジアをイメージしていたかを広く紹介する。

本展の担当は、馬喰町のムサビ主催の「gallery αM」でもキュレーターをされている豊田市美チーフキュレーターの天野一夫氏である。
本年度は豊田市美も潤沢な税制収入が激減し、予算的にも厳しかったと思われるが、総力を全て本展に結集したのか、前後期と大幅な作品展示替えを行い、上記のような作品数、作家数は市立美術館の単独開催として通常考えられないような内容になっている。

本展は巡回なし。豊田市美術館単独開催です!

これだけ展覧会に行っていても見たことのない作品が非常に多く出展されていて、この作家でこんな作品があったのかの連続であり、作品の所蔵先は宮内庁三の丸尚蔵館から個人蔵まで図録の協力先一覧に記載されている数は非常に多い。

展覧会は次の8章から構成されている。
1章 明治期段階-文人画・歴史画から現実へ
2章 エキゾチシズムの諸相
3章 アジアの女性像
4章 中国で開花した「日本美術」
5章 カメラアイを通して
6章 場末への眼差し
7章 内的荒野・大地からの幻影
8章 現代にて

特に印象に残った作品のみご紹介。

1章では、前期に展示されていた高橋由一の「上海日誌」(東京藝大)-これぞまさしくこんなものがあったのかの好例!-、西郷狐月「台湾風景」(松本市美)、山本芳翠「唐家屯月下歩哨図」後期展示(宮内庁)。

2章では、前期展示の山本蓬春「市場」(東京藝大)、朝井閑右衛門「上海バンド」(個人蔵)通期展示。朝井は、本展を見て一気に気になる作家になった。

3章では、藤島武二「花籠」(チラシ表紙掲載)京近美・通期、津田正太郎「妓生」京都市芸術大学資料館・通期、島成園「上海にて」大阪市美・後期展示。

4章では、川島理一郎「広東大観」足利市美・通期、前期展示の竹内栖鳳「南支風色」前田育徳会。

5章は写真作品が並ぶ。大好きな福原信三「西湖風景 中国杭州」日大芸術学部・通期、小石川清、淵上白陽、そして極めつけは、恩地孝四郎「中国にて、九江」横浜美・通期と木版画の代表作「円波」とを並べた両者の比較だった。

6章は、柳瀬正夢の一連の作品群。柳瀬は「日本漫画史」を読んでから気になって仕方のない作家。治安維持法違反で投獄され、保釈後に一年に及ぶ満鉄北支事務所招聘時のプライベートな旅で撮影した写真は、本当にすごい。
画家、漫画家としてだけでなくそのカメラワークからは天性の才能を感じた。他にスケッチや油彩、水彩といずれを見てもただただ感動。
なお、前述の恩地の写真も私の好みで、これらの展示作品を手元に残しておきたいがため、図録購入を決意した。

猪熊源一郎「長江埠の子供達」丸亀市猪熊源一郎美術館・通期や後期展示の藤田嗣治「北平の兵士」平野政吉美術館も印象深い。

7章は特に清水登之ファン必見。彼の作品が栃木県美中心に出ている。ただし、清水の作品は2章にも栃木県美およびそれ以外の所蔵品も含め出展されている。

8章は現代アートにまで目を向け、会田誠、高嶺格の両名作品が取り上げられている。

全体を通じて、東アジアのイメージが日本人作家にどのように捉えられ、作品に表現されていったかを見ることで、私自身が当時の東アジアを旅しているような感じを受けた。
それほどまでに、どっぷりとアジアの景色や風俗に浸ることになる。
留学や旅を通し、日本の異文化、異風景に接することでアーティストとして飛躍した作家も大勢いたのだ。
その影響の大きさを壮大な展示で呈示してくれた稀有な展覧会だった。

なお、図録はこのボリュームで2300円です。お得感あり。

*12月27日まで開催中。同時開催で高橋節郎館「天球局」も鑑賞できます。

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