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「画家としての藤井達吉-創作の原点を求めて-」 碧南市藤井達吉現代美術館 

hujiiomote
ura

碧南市藤井達吉現代美術館で開催中の「画家としての藤井達吉-創作の原点を求めて-」に行って来ました。

本展は11月3日(火・祝)から開催されており、私はとて開催早々に訪れていたにも関わらず、すっかり感想のアップが遅くなってしまった。
結論から申し上げれば、本展は非常に素晴らしい内容でますます藤井達吉作品の魅力、総合芸術に魅了されることになった。こんなに素晴らしい芸術家の存在を碧南市や愛知県だけにとどめておくのは惜しいので、ぜひ東近美あたりで展覧会を開催していただけないものかと切に願っている。

碧南市碧南市藤井達吉現代美術館(下画像)の館長は、愛知県美術館学芸員のご出身でその頃より藤井達吉研究をされていた方。
何しろ、郷土の偉人藤井達吉の名前が美術館名に入っている位だから、美術館のオープニングももちろん藤井達吉だった。

hekinanmuseum

しかし、本展では特に藤井達吉の画家としての側面をピックアップし取り上げていることに大きな価値がある。
展覧会の構成は次の通り3つの章からなり、作品点数は約60点。前期・後期(12/8~1/11)で6点が入れ替わる。

第1章 初期の絵画 大正4年頃 大正時代前半
達吉の油彩画というのは非常に珍しい。キャンバスでなく紙に描いた油彩「風景(日の出)」は印象的。
この他初期作品では二曲一双の「山草図」(絹本、著色)、「「静物・花」などが良かった。後者「静物・花」はルドンを思い出させるような幻想的な雰囲気を持った日本画。
彼の画家としての力量はここから既に伺われるのだった。

第2章 伝統技法への取り組み 大正後期
ここから、藤井らしさが作品にいよいよ発揮されてくる。
・「山芍薬」岡崎市美術館蔵 溢れんばかりの緑。
・「草花図」
・「立葵」 
など、草花を題材にした作品が非常に多いのも特徴的。
その真骨頂と言えるのが「日光」シリーズ(朝)(昼)(晩)や「四季草花図」シリーズ(春)(夏)(秋)(冬)であろう。
「日光」シリーズは第2章のベスト。幽玄な景色とそこに屹立する樹木の様子が素晴らしい。
また、「四季草花図」はこの頃から琳派の影響が感じられる作品である。

第3章 独自の境地へ
「相模灘波上旭日」「アルプス山上の弦月」「線場ケ原の明星」などは当時のフュウザン会主宰岸田劉生の影響が色濃く出ている。

また、一転して「夕映」では印象派風の日本画で別の一面を見せる。
総じて草花を描く場合、琳派に近い画風になっていることが多く、後年昭和に入るとますます拍車がかかる。
しかし、単なる琳派の模倣ではない所が藤井達吉の素晴らしい点であろう。
今回のマイベスト「紅白梅図」は明らかに光琳の「紅白梅図屏風」を意識したであろうと思われるが、全く別物。むしろ水墨画に近い。
達吉の水墨画がこれまた素晴らしい出来栄えで「行雲流水」は南画風だし、この器用さは天性のものなのか。
古今東西様々な筆法を自身のものにしている。

「水・火」は各169.5×363.0の大作である六曲一双屏風。
この作品に見られるような天地・天体宇宙を意識したような作品も手がけている。左隻の炎、右隻の波、炎には金箔を、波には銀箔をうねるように二つを描き、箔を散らすことで単なる絵画におさまらずやはり工芸的な香(コラージュに近いか)を感じる。

藤井達吉は本阿弥光悦を尊敬していたようで、「扇面流し」や前述の「水・火」は晩年の大作、代表作である。
「扇面流し」は、三河湾とそこに浮かぶ島々のイメージを扇面に描いて、継色紙の技法を使い装飾性豊かな画面を作り出した傑作。これを見た時、その場を離れられないほどの衝撃を受けた。

藤井達吉が作り出した継色紙の美しさは、紙・布・螺鈿まで使用し、まさに藤井が目指した総合芸術のひとつの到達点と言えるだろう。昭和の30年代にこんな美しい物を作り出した作家がいたとは。

好きな作品だらけで、見る作品見る作品、それぞれ良さがある。
最後に速水御舟を彷彿とさせるような「炎」この宗教的な美しさ、そしてやはり天体が描かれ、藤井達吉の思想を表現した作品として心に残っている。

図録の図版は美しいが、作品個々の解説が不足しているのが残念。でもお値段は1200円はお値打ち!今も取り出して眺めているが、やはり美しいし、癒される作品たちである。
藤井達吉、本当に尊敬すべき芸術家だと思う。今回は絵画がメインだが工芸での彼の作品群がまた素晴らしい。天賦の才があったのだろう。
開館記念展も良かったけれど、今回は藤井達吉作品だけに的を絞り非常に充実した内容で、驚きの連続だった。画家としての藤井達吉の才能を再認識できた。

惜しむらくは展覧会チラシ。「水・火」や「扇面流し」のような大作をチラシ表に採用した方が良かったのではないだろうか。「山芍薬」も素敵な作品だが、チラシにするにはちょっと地味な感じを受けるので、勿体ない。

*来年1月11日(月・祝)まで開催中です。ぜひご鑑賞ください。お薦めいたします。

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humi様

館長もご存知ないとすると、もはや謎は包まれたままかも。
天国の達吉しか分からないかもしれませんね。

達吉の描いたうさぎ島

ご返事ありがとうございます。
館長もわからないようでした。
一度、湯元温泉に行って聞いてみたいですね。
ありがとうございました。

humi様

こんばんは。
うさぎ島がどこなのか、達吉が宿泊したかどうかは
私では分かりかねます。
申し訳ございません。
恐らく館長が達吉研究のご専門でいらっしゃるので
ご存知ではないかと存じます。
一度お尋ねされてはいかがでしょうか?
来館者の質問には答えていただけるはずです。

達吉の描いたうさぎ島

No titleとして投稿したものです。
ご返事ありがとうございました。
この作品の中に「うさぎ島」という
小さい掛け軸がありましたが、この
うさぎ島は日光の湯の湖のうさぎ島では
ないかと思われます。
何かそちらで昔、達吉が宿泊したというような
お話はないでしょうか?

seiha様

はじめまして。
コメントありがとうございます!

私も見ることだけが好きな素人です。
藤井達吉をこの碧南市の美術館で昨年知った時の驚きと
感動は今でも忘れることができません。

今年また素晴らしい内容の展覧会を開催して下さって
本当に感謝しています。
琳派風絵画だけでなく、水墨画にも工芸にも多彩な活躍を
見せる天才ですね。

どなたか分かりませぬが

コメントありがとうございます。

> 1Fの水墨画、漆絵、絶筆の山10点(5点ずつ入れ替え)は
> 見られましたか。
> 四国遍路の水墨画はすばらしいものです。

⇒ ご指摘ありがとうございます。
  もちろん拝見しています。
  髭で作った筆で描いた絶筆について、記載していないのは拙かったですね。
  作品リストと図録を見比べたら5点ずつ入替なのに、わずか2点しか
  掲載されていませんでした。
  仰る通り、素晴らしい水墨画。
  図録は記録に残るものなので、全点しっかり掲載して欲しかったです。
  展示作品が素晴らしいだけに、図録だけが残念でなりません。

ファンになりました♪

始めまして。
拝見することが好きなだけのまったく素人ですが
藤井達吉さんの作品には自分でも不思議な程
大きく心が動きました。
本当にすばらしかったです。
もっともっと拝見したくなりました。

とてもすばらしいブログに出会えたことに感謝です。
また、お邪魔させていただきたいと思います。
ありがとうございました。

No title

1Fの水墨画、漆絵、絶筆の山10点(5点ずつ入れ替え)は
見られましたか。
四国遍路の水墨画はすばらしいものです。
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