スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「‘文化’資源としての<炭鉱>展」 目黒区美術館

tankou

目黒区美術館で開催中の「‘文化’資源としての<炭鉱>展」に行って来ました。
展覧会の詳細は美術館HP掲載のプレス用資料が詳しいです⇒こちら

この展覧会は、最近新聞紙上で美術専門家が挙げる今年の展覧会「私の3点」に選ばれ、急に注目を浴び始めている。
事実、私が会場に行った際も、他の観客の方が「この展覧会は新聞で紹介されていて・・・」と同行者に説明されている姿も見かけた。

では、混んでいるかと言えばそうでもなく、いつもの目黒区美術館と変わりはない。
図録は先週完売(再版予定なし)してしまったというが、来館者の購入率が高かったのだろうか。何しろPart.1の<ヤマ>の美術・写真・グラフィックは、約60作家による炭鉱に関する400点もの作品(絵画、彫刻、写真、ポスター他)を展示しており、館内の階段通路まで使用して作品が展示されていた。
なお、図録は図版と文章(作家との対談など)がほぼ半々か文章の方が多い程で、資料性の価値が非常に高い。

Part.2は現代アート作家である「川俣正コールマイン・プロジェクト 筑豊、空知、ルールでの展開」が企画展で使用されたのを見たことがない目黒区美術館区民ギャラリーをまるっと利用して、新作インスタレーション(炭鉱町の再現だと思う)を見せる。

更にPart.3は特集上映<映像の中の炭坑>と題して、会場のポレポレ東中野にて炭鉱が登場する映画を中心に上映。
ところで、展覧会タイトルは「炭鉱」なのに、Part.3のサブタイトルだけ「炭坑」が使用されている。
紛らわしいので統一して欲しかった。炭坑と炭鉱は同義であれば、尚のこと。

そして、これらの展示に加え、スペシャル講座として<夜の美術館大学コールマイン・アート学科>が全15講座にわたり開催されていることも特筆すべき試み。*コールマインは英語で「炭鉱」の意。

Part.3の映画作品は見ていないが、Part.1、Part.2は見て来たが、残念なことにこの途方もなくスケールの大きな展覧会には作品リストがなかった。図録も完売、リストもなしで、あの作品群を如何にして紹介すれば良いのか。
やはり、作品リストはせっかくの貴重な展覧会なので作成していただきたかった。

とやや愚痴めいたことばかり書いてしまったが、炭鉱を視覚芸術による文化<資源>化しようとするかつてない規模の展覧会。更に旧炭鉱地ではなく、東京で開催された意義は非常に大きいと思った。
例えば、私のような炭鉱に関心のない人間であっても、本展に足を運び多数の作品に触れることで、考えさせられ、感じるものは十分過ぎる程にあった。
あまりにハードかつ重い、更にかつて見たことのない多数の作品に圧倒され、全作品を見終えるのに約2時間。

私がイメージする炭鉱は、今年読んだ本に起因する。
その本は既に何度かこのブログ上に書いているが「鈍翁・益田孝」白崎秀雄著。
益田孝は三井物産を興した人物で、三井グループを牽引した大実業家であるが、三井財閥と言えば三池炭鉱の存在あってこその繁栄。上記著書は益田孝の実業家としての側面、数奇者としての側面、いずれにも焦点を置いて書かれているが、益田孝の中でこの三池炭鉱の存在とそこで働く人々の問題は、彼が年を重ねるにつれ重くなり気にかけていたようだ。
文中に記載された炭鉱労働の実態は、私が今日美術館で見たものを遥かに超えたすさまじさがあった。
時代背景が明治期から大正あたりなので、尚更だろう。

そんな自分の中でのイメージを持つ中、展覧会タイトルやパンフレットを見ても、この展覧会の内容が私にはイメージできなかった。炭鉱と芸術が結びつかないのだ。しかし、行って漸くこういうことだったのかと理解できた。

もし、本展に行こうかどうしようかと迷われている方があるなら、ぜひとも足を運ばれることをお薦めする。
これだけの規模の展覧会は、もう2度と開催されないのではないだろうか。

Part.1で印象に残った作家を挙げる。
第1章、第2章 
・井上為次郎
・千田梅二
・上田博
・山本作兵衛
・菊畑茂久馬
・岡部昌生
・倉持吉之助
最後の倉持の日本画は非常に芸術性の高さを感じた。精細さと遠近感の取り方、構図のアンバランスさが不思議な印象を与える。菊畑の巨大壁画は山本作兵衛の1作1作を大画面におさめた、炭鉱曼荼羅のようで圧巻としか言いようがない。岡部昌生の巨大フロッタージュは、とても鉛筆とは思えない。真黒なコールタールを感じさせた。
・横山操
・野見山暁治
・立花重雄
・熊坂太郎
・風間完
・築山節生
・若松光一郎
・富山妙子
富山妙子は女性画家として、ただ一人(だった筈)炭鉱町にて制作を行っている。彼女の作品は今夏、越後妻有トリエンナーレで作品を見、感銘を受けた。数は少ないが、油彩より版画風の作品が印象深い。

第3章 写真
・奈良原一高
・佐藤時啓
炭鉱と言えばの土門拳の写真ももちろんあったけれど、この2人の写真は記録写真とは違う何かがあった。


書けば書くほど上滑りにな内容になり、私自身の浅薄さが露呈しそうなので、このあたりでやめておく。果たして「炭鉱」が日本の文化資源となりうるのか、大いなるテーマを追った本展は様々な疑問や感慨をもたらしたことは間違いない。

夜の美術館大学にも参加され、20年にもわたり炭鉱を追い続け、軍艦島にも行かれているテツ様のブログ「中年とオブジェ~魅惑のモノを求めて~」をご紹介します。
‘文化’資源としての<炭鉱>展
夜の美術館大学コールマイン・アート学科
炭鉱展 岡部昌生のユウバリマトリックス
炭鉱展 写真に見る炭鉱

更に目黒区美術館のブログ「黒スイーツ百科」で、夜間大学で供された炭鉱地のスイーツが紹介されている。ここまで黒にこだわればお見事!

*12月27日(日)まで開催中。

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「文化資源としての炭鉱展」 目黒区美術館

目黒区美術館(目黒区目黒2-4-36) 「文化資源としての炭鉱展」 11/4-12/27 目黒区美術館で開催中の「文化資源としての炭鉱展」へ行ってきました。 会期末が迫っているので今更ではありますが、まずは本展の概要などを簡潔にまとめてみます。 ・炭鉱を「視覚芸術」が...

目黒区美術館「‘文化’資源としての<炭鉱>展」を観てきました。

さてサッカーが出来る喜びを満喫しながら グランドで寒さに震えていたのですが ツイッターで 朝日の美術欄で山下裕二さんと北澤憲昭...

「‘文化’資源としての炭鉱」展への雑感

今日、っていうかもう昨日だけど表記の展覧会に行ってきた。

「‘文化’資源としての<炭鉱>展」

目黒区美術館にて開催中の 「‘文化’資源としての<炭鉱>展」に行って来ました。 Part.1 - <ヤマ>の美術・写真・グラフィック Part.2 - 川俣正コールマイン・プロジェクト~筑豊、空知、ルールでの展開 Part.3 - 映像の中の炭鉱  ※会場:ポレポレ東中野 ...

コメントの投稿

非公開コメント

テツ様

こんばんは。
今度は学芸員さんが、なぜこの企画展開催を思い立ったかを
知りたくなりました。
あの図録は読み物としても重量級の内容で、館内で10分20分で
読み切れる中身ではなかったです。
でも、次回行った時にでもじっくり読んで来ようかと。
夜間大学の皆様との交流楽しそうでしたね。

炭鉱祭

拙ブログのご紹介ありがとうございます。
学芸員さんによると、図録は各新聞が全国紙で展覧会評を掲載して以降
遠方からの取り寄せが続出し、完売となったそうです。

この展覧会への学芸員の熱い思い入れには本当に驚きました。
夜の美術館大学、映画の上映企画、黒スイーツ等
一企画展の限界をはるかに超えた、まさに「炭鉱祭」でした。
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。