スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「小村雪岱とその時代」 埼玉県立近代美術館

雪岱

埼玉県立近代美術館で開催中の「小村雪岱とその時代」に行って来ました。
展覧会HPはこちら。お得な情報あり。

先月まで資生堂アートハウスで開催していた「小村雪岱展 遥かな江戸の面影」を見て後、日を置かずして本展に足を運んだ。
(ご参考)資生堂アートハウス「小村雪岱展 遥かな江戸の面影」感想

埼玉近美の本展の構成もほぼ資生堂アートハウスでの展覧会と同じであったが、展示作品数は圧倒的に多い。
展示作品数は各章単位に次の通り。
第1章 粋でモダンな東京で-資生堂意匠部時代 22点
第2章 『日本橋』-装幀家・小村雪岱の誕生 84点
第3章 白と黒の美学-「雪岱調」、挿絵界に新風」 180点!
第4章 檜舞台の立役者-名優の信頼をあつめて 37点

上記各章単位の出品数からも分かるように、本展の特徴は第3章「白と黒の美学-「雪岱調」、挿絵界に新風」で雪岱だけでなく同時代の挿絵画家達の装幀本や挿絵原画を展示していることにある。
思わず、弥生美術館かと思った程。
事実、作品所蔵先に弥生美術館の名前が何点かあった。

同時代の挿絵画家の中には鏑木清方も含まれている。
雪岱と鏑木清方は小説家の泉鏡花の信奉者の会「九九九会」を通じて交流ができたようで、清方は雪岱の挿絵を最も評価していた1人として重要な存在だったと分かる。
清方は挿絵でなく日本画の道を自ら選び、切り拓いて行ったが、雪岱は現在のアートディレクターのような仕事を生涯続け54歳で亡くなる。

本展では、雪岱の挿絵の変遷についても注目したい。
挿絵を始めた頃から、小説「おせん」のようなきりりとした日本画調の線描だった訳ではなかったことがよく分かる。
挿絵は小説があってこそのもの。
小説によって、挿絵も描きわけねばならない。
新聞小説などは、まさに小説家と挿絵画家の二人三脚によって成果が生まれると言って良い。
お互い良きパートナーに恵まれてこそ、購読者も増え人気を得るのだ。

雪岱作品ではないが、泉鏡花の『婦景図』口絵を清方や鰭崎英邦(1月3日より東京の弥生美術館で展覧会が始まったばかり)との合作も展示されているのでこれも要注目である。

挿絵や舞台装置原画はこれまで何度か川越市立美術館、埼玉県立近代美術館などの特集展示で拝見しているので、驚きはなかったが、雪岱デザインの雪兎模様、紅梅、蚊帳吊草に桔梗図などの着物や帯(花柳章太郎使用 胡蝶や雪兎)は良かった。
雪兎模様は照明器具のホロに描かれて会場内の数カ所に置かれていたり、展示方法も工夫されている。

個人的に一番興味があるのは雪岱の日本画で、これらはなかなかお目にかかれない。
今回は個人蔵作品なども展示されていて、見たことのない絹本の日本画(以下)が何点かあった。
「星祭り」 Collection by Kuniyoshi Kaneko
「茄子」 同上
「巴御前」 個人蔵
「蓮上童子」 個人蔵
「如意輪観音」 川越市立美術館

と、ここまでは良いのだが問題は図録であった。
作品リストに◎が付されているので何かと思ったら、図録に図版が掲載されている作品に付けられているマークで、リストを見ると◎が付されていない作品、すなわち図録掲載の作品がないものも結構あった。
特に雪岱初期の貴重な紙本・彩色「六曲屏風」(個人蔵)「蓮華」(川越市立美術館)、「打刀図」(弥生美術館蔵)など私のお気に入りの作品が図録掲載されていないのにはがっかりさせられた。
冒頭で、そんな具合だったのでこの失望感が最後まで離れなかったのが本当に残念。
個人蔵はともかく、川越市美や弥生美術館の他の作品は掲載されているものもあるし、なぜ展示作品全てを図録に掲載していないのかが疑問。
更に、掲載論文も担当学芸員の方によるもの1本というのは寂しい。
裏表の表紙だけ厚くて、肝心の中身は図版は美しいが、量的には127頁とそれ程でもない。これで2300円は高い気がした。

面白そうな関連イベントもあり、これをセットして見に行くのも良さそう。
しかし、山下裕二先生は、清方、是真と続き最後に雪岱を応援されるとは。お忙しそう!
●講演会「昭和の春信・小村雪岱を応援する」
と き: 1月31日(日) 15:00~16:30 (開場:14:30)
会 場: 講堂(2階)
講 師: 山下裕二(美術史家・明治学院大学教授)
費 用: 無料
定 員: 100席(当日先着順)

●ミュージアム・コンサート「邦楽演奏会~春を寿ぐ調べ~」
協力:洗足学園音楽大学 現代邦楽研究所、コーディネイト:恩地元子
と き: 1月10日(日)13:00~13:40、15:00~15:40 (開場は各回30分前)
会 場: センターコート(地階)
出演者: 山口賢治(尺八、洗足学園音楽大学講師)
ならびに洗足学園音楽大学現代邦楽コース学生
曲 目: 宮城道雄「春の海」、杵屋正邦「太鼓の曲」ほか
費 用: 無料(「小村雪岱とその時代」展観覧券の半券をご提示必要。)
定 員: 60席(当日先着順)

●映写会「お琴と佐助-春琴抄-」
と き: 1月24日(日) 11:00~、14:00~ (開場は各回30分前)
会 場: 講堂(2階)
費 用: 無料
定 員: 100席(当日先着順)
監督:島津保次郎、原作:谷崎潤一郎、美術考証:小村雪岱
出演:田中絹代、高田浩吉ほか 昭和10年、松竹、110分、白黒

●ギャラリートーク
学芸員が展覧会の見どころについてお話しします。
と き: 1月9日(土)、2月6日(土) 15:00~ (30分程度)
会 場: 企画展示室(2階)
費 用: 企画展観覧料が必要。

*2月14日(日)まで開催中。

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

小村雪岱 / 埼玉県立近代美術館

東京国立博物館の鈴木春信に満足した後は、埼玉県立近代美術館(さいたま市)へ移動。「昭和の春信」と言われた、小村雪岱(こむら せったい、1887~1940)の世界へ。  小村雪岱とその時代 会期:12/15~2/14 美術系ブログで取り上げられているのを見て、こ

小村雪岱とその時代

埼玉近代美術館で小村雪岱の展覧会が開かれている。 雪岱は川越の生まれの人で、その随筆「日本橋檜物町」にも川越から水路で東京へ入ったこ...

「小村雪岱とその時代」

埼玉県立近代美術館で開催中の 「小村雪岱とその時代-粋でモダンで繊細で-」展に行って来ました。 この美術館の常設展で、作品を目にするとこの上ないやさしい幸せ感に包まれる画家さんがいます。彼の名は小村雪岱(こむら・せったい)。主に大正から昭和初期に...

コメントの投稿

非公開コメント

遊行七恵さま

さすが、七先生。
雪岱展記事も拝見し、さすが私の記事とは中身の濃さが違うと
感心しきりでした。
興味津波って凄いですけど、本日現在何も情報はございません。
今しばらくお待ちを。

興味深々どころか興味津波です。

こんばんは
横レスになりますが、「お琴と佐助」については彼の随筆「日本橋檜物町」に割りと詳述されてまして、なんとほぼ全面的に関わったそうです。
田中絹代のメーキャップまで指示したようですし。
そしてセットを組むためにわざわざ大阪へ飛んできてロケハンもしたそうです。

Tak様

こんばんは。

> 今度、お会いした時に直接お話ししたい
> 雪岱ネタがあります。お楽しみに。
> (ブログに書けないので)

→このコメントをご覧になられた遊行七恵様より
 伺ったら教えて欲しいとメールがありました。
 両名ともに興味津々です。

こんばんは。

清方、雪岱と泉鏡花がこれだけ
関係してくると読まないといけないのですが
どうも苦手なんですよね。。。鏡花。

今度、お会いした時に直接お話ししたい
雪岱ネタがあります。お楽しみに。
(ブログにか書けないので)

panda様

映画「春琴抄」の美術考証というのは、どの程度の
関わり方をしたのでしょうね。
舞台美術のように形として現れているのでしょうか。
「卓上芸術」とは上手いたとえですね。
挿絵、口絵は侮れない存在でした。

挿絵画家が正当評価される時代に

 「卓上芸術」たる手元で愛でる挿絵にもっと評価されるべきですよね。山下教授 一年前の大山崎デュオトークでイチオシしていた展覧会です。学芸員さんと共に「昭和の春信・小村雪岱を応援する」理由もご尤もゆえ。
映画「春琴抄」美術考証に登場とはサスガの眼の付け所。面白そう♪
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
ブログ内検索
twitter
最近のエントリ
カテゴリー
最近のコメント
最近のトラックバック
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。