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「麗しのうつわ-日本やきもの名品選」 出光美術館

uruwasinoutuwa

出光美術館で開催中の「麗しのうつわ-日本やきもの名品選」を見て来ました。

やっぱり、出光美術館は素晴らしい展覧会をして下さるなぁと毎回思うのだけれど、今回も全く期待を裏切らない内容で満足してしまった。
作品の質の高さもさることながら、何よりも好きなのは作品解説や章単位、ポイントごとに出てくる解説パネルの文章たち。長すぎず短すぎず、しかもひとつ間違えば専門的になりすぎて難解になってしまいがちな解説を初心者にも分かるように噛み砕いて説明して下さる。

本展では、猿投(さなげ)、志野、織部、唐津、楽、京焼、伊万里、そして近代に及ぶ日本陶磁の名品を一堂に展示し、時を超えて人々を魅了した美の源泉を探るというもの。展覧会チラシの最後に書かれていた「古く麗しいうつわを振りかえり、感性と対話する時間をご堪能ください。」というのが、上手いなぁとまたしても感心してしまうのだった。
感性と対話する時間・・・確かに展覧会を見ている小1時間は、実際そんな気持ちにさせられた。

展覧会の構成は次の通り。
Ⅰ 京の美-艶やかなる宴
Ⅱ 幽玄の美-ゆれうごく、釉と肌
Ⅲ うるおいの美-磁器のまばゆさと彩り
Ⅳ いつくしむ美-掌中の茶碗

冒頭「京の美-艶やかなる宴」は野々村仁清の艶やかな京焼で幕を開く。
既に見た作品もいくつかあるが、≪色絵尺八香合≫や≪色絵熨斗文茶碗≫など、何度見てもじわじわ愛おしさがわく。
熨斗文の大胆なデザイン性など見ると、単に華麗なだけでないセンスの良さを感じるのだった。
≪色絵梅花紋四方香炉≫のてっぺんにいる小さな兎が実に愛らしい。

次は京のやきものと言えば、やはりこの人、尾形乾山が登場。
色絵角皿も何度も様々な展覧会で見ているが、今回は≪色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿≫十二客に驚いた。
こんなの見たことないかも・・・。
乾山でも初期の作品とされていただろうか。
私が今まで見てきた角皿より絵付けが賑やかな印象。これをうるさいと感じるかどうかは人それぞれだと思う。
肝心なのは定家詠の十二ヶ月和歌に合わせた絵柄で、お皿で四季や和歌を詠むとは何とも風流なことこの上ない。

同じく角皿で目を奪われたものがある。≪色絵百人一種和歌角皿≫十客。こちらも百人一首の場面を角皿に描いたもので、各皿に盛りつけられた料理を食べて行くと徐々に更に描かれた絵が見えて来て、何の歌のお皿であるかを当てっこする風流人のお遊びにも使用できる。お皿でカルタとりなのだった。
食べて良し、愛でて良し。

やきものの展示としつつも、しっかり伝尾形光琳≪紅白梅図屏風≫左隻(2/14まで展示)や蒔絵硯箱、更には琳派の境抱一の≪紅白梅図屏風≫六曲一双(2/14まで展示)をしっかり展示して下さるのだから眼福極まりなし。
どっかり椅子に座って、抱一の≪紅白梅図屏風≫を堪能した。これも何度見ても良い。気に入った作品というものは何回見ても飽きることなどないと思う。

Ⅱ幽玄の美-ゆれうごく、釉と肌は、本展で私がもっともツボにはまったところ。
ここで、冒頭を飾っていたのは≪灰釉短頚壺≫奈良時代・猿投窯である。
猿投(さなげ)がどこにあるのかをご存知の方はどの程度おられるのだろうか?
答えは、愛知県豊田市で豊田市は広く、位置的には瀬戸市に近い場所である。

猿投窯は猿投山の西南に広がる低丘陵地に形成された日本最大級の古窯跡で、古墳時代から室町時代まで須恵器に始まるやきものが焼かれていたという(Wikipediaより引用)。
私は幼少の頃から、初詣だけでなく何か祈願する時には、猿投山にある猿投神社に通っていた。
霊験あらたかな感じを受ける神社だが、あの猿投に古窯があったとは、まるで知らなかった。
最初にそれを知ったのは、忘れもしない奈良国立博物館で猿投窯の古陶磁を見た時である。

本展冒頭に置かれていたのも奈良博で最初に見た猿投窯のやきものに勝るとも劣らない灰釉壺だった。
奈良時代のやきものが時を超えて残り、しかも土器でもなく桃山時代のやきものでもない、やきもの本来の素朴さと力強さを秘めつつ釉薬の美を見せる名品。
美術館の解説で初めて知ったが、元々やきものは金属器の形を写して展開した。「えっ、そうだったのか」まさに目からうろこが落ちるような驚きを覚え、比較できるように形のよく似ている≪金銅香水壺≫奈良時代を展示しているのが心憎いが、これがまた頭だけでなく目で見て分かる好例の展示。
このあたりが、出光美術館の凄い所なのである。

更に解説には香水壺に刻印された生命の樹すなわち生命の意図を、一筋の釉流れにより写し取ろうとしたのではないかと書かれていた。
深い、深すぎる・・・。
一筋の釉から生命の流れを表現しようと当時の陶工は考えたのだろうか。
ロマンを感じてしまうような解説だった。

猿投窯でKOされた私に、黄瀬戸、志野の名品が続く。
そして、唐津が現れ再び足を止める。
絵唐津でも桃山時代の古唐津の数々。う~ん。思わず唸ってしまった。
唐津焼も色々あるのだが、私が好きなのは陶肌が薄いベージュっぽい色をしたもの。
≪絵唐津柿文三耳壺≫桃山時代を筆頭に、≪絵唐津松文大皿≫、≪絵唐津葦文角形掛花生≫、≪絵唐津葦文四方口向付≫。。。

素晴らしい。もう感性との対話も飽和状態でアップアップ。
絵唐津の素晴らしい作品がこんなに・・・。ある所にはあるのだ。

この後、染付や鍋島、古九谷、柿右衛門など磁器が続くが、絵唐津が頭から離れない。
最終章は茶碗の名品を集め、初代長次郎から道入(ノンコウ)らの楽茶碗、織部や天目茶碗を楽しむが、やはり絵唐津が脳裏から離れず。
楽茶碗ではノンコウの≪黒楽茶碗 銘 此花≫、慶入≪黒楽不二茶碗 銘餘光≫、長次郎≪黒楽茶碗 銘 黒面翁≫。
しかし、これらの茶碗で実際にお茶をいただく、そこまでいかずとも手で触れらなければ、本当の茶碗の良さは分からないのかもしれない。
是真の対談で、山下裕二先生が楽家で長次郎の茶碗でお茶をいただいて、初めてその素晴らしさ精神を感じることができたと仰っておられたのだ。

絵唐津に話を戻す。
少し前に、私はとある古書店で新潮社とんぼの本シリーズ「唐津 やきものルネサンス」を購入した。

ekaratsu

どうも表紙の絵唐津が気になったのだった。
本展鑑賞後、早速自宅で同著を引っ張り出し、中身を見てみたら今自分が堪能して来た出光美術館の唐津焼の名品達がオールカラーで掲載されているではないか。
共著なのであるが、4名の執筆者のうちお一人が荒川正明氏(当時出光美術館の主任学芸員)だった。

そして、私が唐津焼に惹かれたのは忘れもしない世田谷美術館の「青山二郎の目」展、これが私にとって記念すべきやきものルネサンス展だった。
ここで見たぐい呑み「銘 虫歯」の衝撃は、今でも忘れられない。

しっかり本で復習をして、気持ちを落ち着かせ再訪しよう。あの唐津と猿投窯に会うために。

*3月22日(月・休)まで開催中。

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 ありがとうございます。

 探してみます。

 

@家麿様
図録は、今回中身をチェックしませんでした。
出光美術館の図録はちょっとお高いのです。
いっそ、過去の陶芸名品展の図録をネットで探した方が
お得かもしれません。

@よし様
銘「白袴」、李朝白磁ですね。
李朝と唐津の縁も興味深い所です。

@jchz様
こちらこそ、本年も宜しくお願いいたします。
過去の記事のTB有難うございました。
確かに、梅干しが似合いそうな風情、そこも古唐津の気取らぬ
良い所かなと思います。

楽美術館の手に触れる観賞会は過去に1度体験したので、
来月の特別観賞会を奮発予約してしまいました。

絵唐津柿文三耳壺

こんばんは。今年もよろしくお願いいたします。

私も絵唐津と黄瀬戸が大好きです。
梅文…じゃなかった、柿文三耳壺は名品ですね。
あえて古い展覧会の記事からTBを送らせていただきました。
出光美術館(当時)の荒川正明さんが『月刊やきものねっと』2004年3月号で「柿の木か、梅の木か、本当は分からないのですよ」とおっしゃっているのが微笑ましいです。

楽茶碗は、ぜひ一度手に持ってみることをおすすめします。
楽美術館の「手にふれる楽茶碗観賞会」がいいですよ。

jiro-

「白袴」もいいらしいですよ!

 
 素晴らしい展覧会のようですね。

 図録だけでも入手して、見てみたいと思います。

 いつもありがとうございます。

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