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「モノ学・感覚価値研究会 展覧会」 京都大学総合博物館

2010モノ

京都大学総合博物館で1月31日(日)まで、「モノ」の世界を多角的に考える展覧会が開催されている。
展覧会HPはこちら
主催は2006年に発足した「モノ学・感覚価値研究会」(代表・鎌田東二・京大教授)。

展覧会を見るまでは、内容がピンと来なかったが行ってみて納得。
本展では、同研究会のアート部会に参画したアーティスト(芸術家、工芸家、デザイナーなど)が、京都大学総合博物館所蔵品(岩石、鉱物、化石など)から「美しい」と感じる「物」を選び、そこから触発され、様々な素材を用いて作り出した作品を選ばれた所蔵品と合わせて展示するもの。

その制作と展示過程で、彼らが展示物「モノ」を多面的にとらえることを同研究会に参加する美学者、宗教学者、地質学者が関与し手助けしている。

なお、同研究会のアート部会は30数名のアート関係者が結集し、「混迷する時代の中、従来の西洋のアートや現代美術の価値概念と制度にとらわれることなく、日本の『モノ』という概念とこれにまつわる感覚価値を投じて、地球美術的価値を再発見すること」を目的としている。~京都造形芸術大学教授 原田憲一氏「モノ学・感覚価値研究会 展覧会の意義 地球が生み出した美と人間が生み出す美」より一部引用。

鏡リュウジが選んだ1659年発刊の占星術の本「CHIRISTIAN ASR|TROLOGY」と家具で作られた「HOROSCOPE TABLE」で天文学的アプローチが導入部分。
かと重えば、次には小紋型紙の道具よ大西宏志「KATAGAMI 64」2010年の映像作品がコラボされている。
大西は型紙と映像は似ているような気がすると言っている。
型紙とその型紙の映像作品は、確かにあまり違和感がなく見ることができた。不思議だった。

私が気になったのは原田憲一が選んだ鉱物群(所蔵品)と原田憲一×矢鳴裕美雄の「zone-plate photo」2009年(写真)とのコラボや狩野智宏「amorphous」2009年(ガラス造形)や坪 文子の樟脳、銀を使用したジュエリー「モノノアハレ」2009年、佐藤ミチヒロの木や画鋲、カシューを使用した同じくジュエリー「変わらないもの、変わりゆくもの」2009年。
化石とジュエリーとのコラボレーションは人間が手を加える前の自然鉱物そのものの美しさと、別の材料を使用して鉱物美の再生に取り組んだ各作家の作品とが一緒にガラスケースに置かれていた時、悠久の時の流れを感じずにはいられなかった。
鉱物の美しさの前に、屈服しなければならないのか?
冒頭の論文タイトル「地球が生み出した美と人間が生み出す美」の対比である。

しかし、両者はここで寄り添っていて違和感がなく感じられたことが不思議。

大舩真言が選んだのは化石のアンモナイト(これがかなり大きい!)。
岩絵具は文字通り岩石を砕いた粒子で作られた絵具で、岩石そのものが地球の産物であることを感じ、同時にその粒に自己投影し、作品は自己と粒子である「モノ」との対話の痕跡だと言っている。
普段何気なく目にする日本画も、そんな視点で見てみると、芸術作品は自然界が生み出した「モノ」とのコラボレーションの結果なのだ。無意識から意識的にその視点で作品を捉えて行く感覚が楽しくなってくる。

スティーブン・ギル「Stone Medicine」は石、鳥の羽根、木皮、水で<生け石と詩>の世界を作り出していた。
箱庭ではないのだが、作品解説はないので感じたままを書くと、とても美しい作品だった。タイトルから考えると石が薬であったことからインスパイアされた作品ではないかと思うが、ただ美しく並べるだけで韻律を奏でている。

岡田修二の作品も忘れられない。本展中もっとも「モノ」を意識させられた。
絵画作品「水辺51」2009年は対象を大きくクローズアップした作品、「物質の折目と魂の襞」はデッサンだが、こちらも強く語りかけられる何かがあった。

最奥のコーナーのガラスケースは空っぽ。
作品がない。
どこに?目を凝らすが何も見えない。
するとどこからともなく、音が聞こえてくる。不思議な音。何?耳をすますと消える。
最初ガラスに近づいたり離れると音がするのかと思い、いろいろ試してみたがそうではないことが分かった。
作品は「モノ音の気配」そのまんまのタイトル。
渡邉淳司×荒木優光×大西宏志、鎌田東二のコラボ作品。

音はどこから聞こえてくる?
場所はおよそ分かった。
でも、嫌な音ではない。不思議な音、懐かしい感じ。
ガラス、チベットのホラ貝、エフェクタが素材とあった。
静かに耳をすます時間、時間が止まったような、感覚が研ぎ澄まされたような。
不思議な体験だった。

最後に冒頭にご紹介した原田教授の文章から再び引用させていただいて、終りとする。
「46億年の歴史をもつ地球の特徴を一言で説明するなら『美しくなってきた星』だと言える。しかしこの地球は人間によって大きく傷つけられ、熱帯雨林の乱伐、海洋汚染など人間さえ消滅すれば地球は再び美しさを取り戻すはずという声も聞こえてくる。人間の特徴は意識的に美を表現できること。現代の危機を克服するには、生命史上初の芸術家として登場した人間がなぜ地球の美しさを損ねているのかについて、本展覧会を通じて考えるきっかけになることを望んでいる。」

地球が生み出した美と人間が生み出す美は決して相容れない訳ではないと私は感じた。
むしろ寄り添って行くべきなのではないか。
そんなことを考えさせ気付かせてくれた稀有な展覧会だった。
一人でも多くの方に感じ、考えていただく機会になればと思う。

*1月31日(日)まで開催中。 休館日:月曜日・火曜日 
開館時間:9:30~16:30
なお、京都大学総合博物館で同時開催されている「ツイン・タイム・トラベル イザベラ・バードの旅の世界写真展」も合わせてお楽しみいただけます。こちらは3月28日(日)まで。
入場料は二つ合わせて一般/400円。

<お詫び>
昨夜、記事をアップした際にタイトル(展覧会名・開催場所)を付け忘れました。追記して再アップしました。

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