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「北宋 汝窯 青磁 考古発掘成果展」 大阪市立東洋陶磁美術館

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大阪市立東洋陶磁美術館で開催中の「北宋 汝窯 青磁 考古発掘成果展」を見て来ました。
見に行ったのは、昨年12月のこと。
ちょうど、中之島一体で「OSAKA光のルネサンス」イベントまっただ中で、東洋陶磁美術館は夜9時まで開館していたのだった。周囲の喧騒をよそに、普段夜間開館していない美術館はひっそりして、貸し切り状態。
この展覧会を見に行った頃から、漠然と台湾の故宮博物院に行ってみたいと考え始めていたと思う。

念願かなって昨日初めて訪れた故宮博物院で見た汝窯(じょよう)青磁2点と本展をからめつつ感想を書いてみたい。

大阪市立東洋陶磁美術館は、世界でも71点しか現存しないという貴重な北宋時代の汝窯青磁を1点「青磁水仙盆」を所蔵している。
注目すべきは東洋陶磁美術館所蔵品は、水仙盆というこれまた世界では2つ(残る一つは台湾・故宮博物院蔵)しかないものの1点だということ。

北宋末、宮廷の命により宮廷用の青磁製品を製作した汝窯は「天青色」(てんせいしょく)と呼ばれる青みがかった独特の釉色と精緻な作りで知られ評価が非常に高い。
本展では、中国の河南省文物考古研究所が近年進めて来た河南省宝豊県清凉寺の北宋汝窯青磁窯址の考古発掘成果を日本で初めて紹介するもの。
北宋汝窯青磁窯址の出土資料約80点により、その謎と魅力に迫るとともに、近年汝州市内で発見され注目されている張公巷址の出土資料の一部も併せて紹介している。~展覧会チラシより抜粋~

出土資料であるから、当然完品はなく、かけらを繋ぎ合わせた修復したものや繋ぎあわせることもできず欠片そのものの展示なので、汝窯の「天青色」って結局どんな色なのかを知ることは、この展覧会を見ても分からず仕舞だった。
むしろ、見れば見るほど汝窯の「天青色」って何なのかが分からなくなってきた。

ひとつ思ったのは、汝窯の作品の形が実に様々だということ。
通り一片の輪花碗、文瓶、梅瓶だけでなく、「青磁鴛鴦形香炉蓋」(せいじ えんおうがたこうろふた)のような愛らしい形のものが作られているということが一番記憶に残った。

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しかもこの香炉蓋の類品は、現存伝世品にはなく、むしろ北宋景徳鎮窯の青白磁や高麗青磁に類例があるとのことで、特に高麗青磁との関連を示唆する発見として挙げられていた。
素人目ながら、私は青磁の中では高麗青磁が好きで、稀にこれが「天青色」というのでは?と思うこともあるのだが、結局よく分からない。
ただ、高麗青磁と汝窯青磁に関わりがあるとするならば、それはそれで納得できてしまうのだ。

本展展示品の中で、「青磁輪花碗」(せいじりんかわん)の類品が台北・故宮博物院にあるとされていたが、運良く今回訪問時にそれが展示されていた。
rinkawan

蓮の花びらをかたどった形で、本展出土品に比べ色も形も明らかに上を行っていて、薄いピンク色のような貫入が特に印象深い。
汝窯の最高峰と言われる作品には貫入が全く入っていないという奇跡的作品「北宋汝窯青磁無文水仙盆」(台北・故宮博物院)があるのだが、通常の汝窯青磁作品には貫入があり、貫入の入り具合もまた見どころの一つとされている。

そして、本展ではもう1つ新たな発見がある。
「青磁刻花龍門瓶」は胴部に刻花で龍文が表されており、龍は天空を駆け、口からは火焔珠(かえんじゅ)を噴き出す図様が描かれていた。これまた、汝窯の伝生品には類品がなく、汝窯には文様のある品はほとんどないという通説を覆す発見になったのだとか。


さて、台北の故宮博物院で見た残る1点の汝窯青磁は、小ぶりな瓶であった。こちらも色は美しかったけれど、貫入の入り具合は前述の「蓮華式碗」には劣る。

この汝窯青磁だけを扱う特別展覧会「北宋汝窯特展」が2006年12月から2007年3月にかけて台北・故宮博物院で行われた。このことは、台北に行くきっかけにもなった「台北 國立故宮博物院を極める」(とんぼの本・新潮社)の中で、伊藤郁太郎氏が書いておられ、ますます汝窯の作品を他にもこの目で見たくなったのだった。

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結局出土資料とわずか2点の汝窯作品を見ただけでは、その素晴らしさたるを知るには足りなかったが、もう少しゆっくり時間をかけて鑑賞してみようと思っている。
特に私の関心は高麗青磁との関連性にある。台北・故宮博物院で上記「北宋汝窯特展」図録を購入したが、同展でも比較として高麗青磁を展示していたようだ。

話を大阪市立東洋陶磁美術館の展覧会に戻す。

来る3月13日(土)14日(日)に、本展開催にちなんで国際シンポジウム「北宋汝窯青磁の謎にせまる」が開催される。中国、台湾、韓国、日本の研究者が汝窯に関する最新の研究成果を発表するというまたとない機会である。
参加費無料で先着250名まで。場所は大阪歴史博物館・講堂。詳細はこちら。発表者のお名前とその発表内容タイトルだけを見ても興味深い。

さらに、同時開催の平常展:李乗昌コレクション韓国陶磁や沖正一郎コレクション鼻煙壺や安宅コレクションもお楽しみいただけます。

*3月28日(日)まで開催中。

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「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」― 行けなかった展覧会

 大阪市立東洋陶磁美術館で開かれているこの国際交流特別展については自分のブログでも告知し、是非行きたいと思っていたのであるが、どうしても行けなくなってしまった。美術館にファックスして図録は送ってもらっている。また美術ブロガーのmemeさん(この展覧会記事は...

伊藤郁太郎: 「中国宋代の青磁」雑考 メモ

 最近、青磁が気になっている。そのきっかけは台北で汝窯青磁、龍泉窯青磁、高麗青磁をまとめてみたことである。  そこで東博東洋館の青磁を見直し、ギャラリートークも聞いた。  その後も焼物の展覧会をみる機会↓があるたびに、青磁に注目してきた。 ・板谷波...

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エカちゃん様

はじめまして。

そして、大変貴重な情報を有難うございます。
鹿児島には同期入社が4月1日付で異動したばかり。
指宿の温泉にでも浸りつつ、汝窯を見られたら最高です。

No title

先日、鹿児島県指宿市で個人所蔵の汝窯をみました。
館の説明で日本に2,3点しかないうちの1点ですとのことでした。
過去に京都高島屋で初めて汝窯の秘色青磁をみてから、素人ながら
そのとりこになりました。
鹿児島県指宿市にある旅館で薩摩伝承館に展示されています。
どうぞご参考にしてください

とら様

こんばんは。

少しでもお役に立てたなら幸いです。
結局謎は謎のまま。
それがまた魅力の一つなのかもしれません。

No title

こんにちは。

シンポジウム資料と図録の伊藤氏の解説のコピー有難うございました。
一気に通読しました。

この展覧会も今日が最終日ですね。
「行けなかった展覧会」というアマノジャク記事を書きました。

あべまつ様

こんばんは。
東洋陶磁は常設だけでもお腹一杯なのに、特別展もあってやや消化不良な
記事になってしまいました。

台北に出向いたのは、青磁もですが、むしろ中国絵画と書を渇望していたためです。
何しろ、東博の東洋館が休館状態になってからというもの、楽しみが激減。

青磁初心者に欠片や出土品はかなり手強く、まだまだ勉強不足のひよっこ。
いや、まだ手も足も出ない卵状態の方が正しいですね。
どうやら故宮では今年南宋の特別展が開催されるようで、北宋を見逃したので
これだけは逃したくないなぁと思っています。飽くなき欲望・・・。

とら様

こんばんは。
台北に行く前とこの展覧会に行った後、とら様のHPでもちろん
復習、予習をさせていただいています。
この展覧会は青磁初心者の私にとってかなり難度が高く、破片の中で
麗しい天青色と思ったのは2、3個です。
後は修復などで人の手が入ってしまっていて、最初からその色だったのかが
判然としませんでした。
3月のシンポジウム、いっそのこと代行受講してまいりましょうか?
知力眼力は全く足許どころか塵にも足りませんが、機動力だけはありますので
何とか聴講内容はご報告できるかと存じます。

No title

こんばんは。
汝窯を求めて故宮まで飛んで行ってしまうmemeさんに表彰状。
運良く15~6年前にの汝窯の水仙盆を見ています。
あのケースだけ特別な空気がありました。
さすがに玉の国だと思ったのでした。
芸新に故宮のリニューアル特集があって、羨ましく眺めましたが、
北宋のお宝は飛びぬけてますね。
伊藤郁太郎氏も芸新誌上で世界で一番のものと絶賛でした。

個人的には高麗青磁のほうが好き。
のどかでやわらかさがあるから。
東洋陶磁はやきものの至宝の玉手箱です。
すばらしい展覧をご覧になりましたね。

天青色

 この展覧会は、以前に自分のHP↓やブログ(TB)に書いた伊藤郁太郎先生の《「中国宋代の青磁」雑考》にも紹介されており、ひどく興味があったのですが、行けそうにありません。memeさんの記事をジックリ読ませてもらいました。
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Lecture.htm#090715
 この展覧会のチラシの色は私のイメージしている汝窯の天青色です。
 高麗青磁の翡色は越窯の秘色と同じく緑がかった色のように思っているのですが、汝窯青磁窯址からも緑がかった色のものが出土してきたということでしょうか。

まさぞう様

こんばんは。

日本の3つの汝窯と高麗青磁の名品などを集めた展示をぜひ
拝見したいものですね。
まだまだ、実物を見る数が少なすぎて語るに語れません。
欠片だけでも貴重な内容の展覧会です。

故宮博物院での汝窯の展覧会は図録を見ているだけでも
垂涎モノ。
この先開催されることは、もうないでしょう・・・(涙)。

汝窯にはまりましたか

こんにちは。

本展の図録に、世界にある汝窯の目録が載っていて、とても欲しかったのですが、高かったので止め、今若干後悔しています。

ご案内のとおり、汝窯は上海美術館に数点、北京にもかなりあり、ロンドンのデビッドコレクションには確か沢山(いい加減な記憶ですみません)ありますが、雨上がりの青空のような青色とされる色彩を出すのがいかに難しいかが、本展で良くわかりました。焼色を確かめる陶片も出品されていましたが、あれで色を確かめながら焼いていたとは、驚きました。今回の出展物でも天青色が良く出ていたのは、1、2点だけでしたが、それでも大変魅了されました。

日本にはあと2点あり、1点は旧川端康成所蔵品で、先日信楽のミホ美術館での展覧会に個人蔵として出品されていましたが、残りの1点はまだ見たことがありません。どなたがお持ちなんでしょう。日本にある3点の汝窯だけでも集めた展覧会を是非大阪でやってもらいたいなあ、と思いました。
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