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「山口 英紀展」 新生堂

hidenori

表参道にある新生堂
にて2月19日(金)まで開催中の「山口英紀展」(やまぐち・ひでのり)に行って来ました。
今回は水墨画作品だけで勝負です。

私が山口英紀さんを知ったのは、昨年6月に開催された同じく新生堂での個展から。
その時の感想はこちら

全く一目ぼれというのは、このことだと思った。
私は水墨画、とりわけ目下の所は中国山水画と室町時代の山水画がもっとも好みで、ゆえに先日たまらず故宮博物院まで出かけた。東博の東洋館が長期休館になってから、常時一定数の中国絵画や書を堪能できる場所がなくなってしまったのは非常につらい。

大好きな中国山水や書の影響や勉強をされていた山口英紀さんの作品は、そんな私にとって現代アートとして昇華されているが、やはりどこか中国山水の香漂うのが魅力。

土曜日にお伺いしたら、山口さんご本人が前回同様在廊されており、直接ご説明を伺うことができました。
山口さん6月にお目にかかった時より痩せられていて、ちょっとビックリ。
「山口さん、痩せられませんか?」と私。
「最後の追い込みが厳しくって~。でも、もう無事完成したので大丈夫です」山口さんはにっこり。

どうやら超大作、キャンバス9枚?だったかの連作で京葉工業地帯を描ききった作品で精魂使い果たしたご様子。
睡眠は、職場(画家活動とは別に国語の先生でもいらっしゃる)に通うバスの中での仮眠が続いたなどというお話を伺うと、これだけ精緻なものを描いたら、そんなことにもなるだろうとひたすら感心する私。

一見セピア色の写真に見える(実作を見なければ、写真でないと信じがたいほど)作品は、そのセピアの下色付けから始まっています。
特別に選んでいる和紙(上記感想ご参照ください)を染めてこの色を作りだされているのだとか。
更に紙本の良い点は、染織した状態のものを更にちょっと表面を削ったりしてニュアンスを付けられること。これによって、「中国水墨作品のような古びた感じを出した」とおっしゃっていました。

個展案内状の「追憶より淡く」紙本墨画(トップ画像)は、渋谷のスクランブル交差点を描いた作品。上下各1点で1つの作品になっている。上にある作品が水たまり(?)に反射し、しかもその水たまりにぽちゃりと雨か何かの滴が落ちて水面へ反響している様子が見事に描かれている。

歪んだ人物、陽炎のような背景のビル。
どうやってこの陰影を表現するのか。

元ネタの写真はあって、それをパソコンなどで処理した画像を参考にしつつ、最終的には山口さんのオリジナルで作品モチーフは決定される。例えば元ネタにはない軍艦を加えてみたりとか。写真を元にはしているが、決して単に写しているのではない。
お伺いしたところ、さすがに鉛筆で下絵は描くとのこと。
技法については、雑誌「美術の窓」2009年10月号に掲載されていたので、もし気になる方はバックナンバーをお買い求めください。
また、Tak様の「弐代目青い日記帳」にて本展に関する詳細な記事と個展の画像がアップされています。そちらも是非ご参照ください。

横連作の工業地帯作品の一番最後の部分の左下隅に小さな小さな刻印が。
この印も、もちろん山口さんのお手製。印刻も書を学ぶ上での一課程で、そちらの方の作品は山口さんご自身のHP「思索室」で拝見できます。

さて、超大作も素晴らしいけれど、私は円形の作品も気に入った。
現在高島屋横浜店に巡回中の「美の予感 2010 -新たなるカオスへ-」展でも山口さんの作品が1点展示されているが、そちらは今回展示されている作品より大きく直径70センチのものだとか。作品集を見せていただいたが、魚眼レンズで見た時のような歪みが描かれていた。
6月の個展と違って、ストレートに見たものを描くだけでなく、歪曲した状態、波紋が広がった状態など、より対象を描く条件を高度にしていることに注目したい。

しかし、それらの大作や円形作品とは別に、階段を上がった小部屋(6月の個展はこの小部屋だった)に展示されていた風景画。私の本展マイベストはこの1枚である。
作品名は「にはたづみ」。

nihatadumi

「にはたづみ」は比喩的に「流るる」「川」「水」「行方知らぬ」などにかかる枕詞と山口先生(ここでは国語の先生のようだった)に解説いただく。
そう言えば、今回展示されている作品は全て水(海だったり、川だったり、水たまりだったり)をモチーフにしているのも共通。展覧会サブタイトルは「にはたづみ」っていうのも格好良かったんではないでしょうか。

「にはたづみ流るる涙止めそかねつる」万葉集178。
こんな歌も似合います。

場所は、中国の蘇州。東洋のベニスと言われる水の都として名高い。
山口さんが杭州に留学されていた頃に行かれた蘇洲の一風景で、「右側の余白部分には実は超高層ビル群があったのです。水上生活者の住まいと船を描いたが、もう今はなくなっているかもしれません。」

時間が止まったかのような1枚。
絶妙なバランスと構図の取り方。写真を凌駕した墨絵と言っても過言ではありません。
この作品は肌理の細かい絹本です。
私は絹本作品の方が好みですが、こちらは失敗したら最後。やり直しがきかない一本勝負。

山口さんの作家活動はますます順調なご様子。
更にプライベートでも素敵な奥様と昨年ご結婚された由。本当におめでとうございます!
今回展示はありませんでしたが、作品集にあった「うちひさす...」絹本水墨のような人物画も素敵でした。

うちひさす宮道を人は満ち行けど
           我が思ふ君はただひとりのみ  万葉集11巻ー2382

次回の個展では人物画などの小品も拝見したいと希望を書いてみたりして・・・。
高島屋の作品もしっかり追っかけて拝見します。

*2月19日(金)まで開催中。日曜・祝日休廊。11:00~18:00(最終日は17時まで)
新生堂地下1階展示室 東京都港区南青山5-4-30

<高島屋 「美の予感 2010 -新たなるカオスへ-」へ巡回情報>
横浜展   2010.2.3~2.9     高島屋横浜店七階美術画廊
名古屋展  2010.2.17~2.23     ジェイアール名古屋高島屋十階美術画廊
新宿展   2010.3.10~3.16    高島屋新宿店十階美術画廊

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コニー様

JR名古屋高島屋には1点ですが、割と大きめ
しかも、作品集を見た限りでは私の好みでした。

ぜひぜひ、実際の作品をご覧いただくことをお薦めします。

Tak様

こんばんは。
ゾッコン!同じくです。
次回は、万葉シリーズとかやっていただきたいです。
作品名も素敵。

素敵~

おはようございます。
先日はメッセージありがとうございます。
でも、私の感じとしては、松〇屋美術館の展示はイマイチの感触でした・・・。
買い物に時間取られてざざっとしか観れなかったからかな?
シスレーの絵はやっぱり好きだけど。

水墨画、いいですね。
セピア色とか、モノトーンの作品って惹かれます。
名古屋の高島屋に来るなら、是非観に行きたいです!

No title

こんばんは。

もう彼にぞっこんです。
今度アトリエお邪魔したい!!

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