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「杉本博司 光の自然」 IZU PHOTO MUESEUM はじめての美術館66

izuphoto

掛川の茶会へ向かう途中、最初に立ち寄ったのは三島の「クレマチスの丘」にあるIZU PHOTO MUESEUM
昨年10月に開館したばかりのこの美術館は、あの杉本博司自身が手がけた初の美術館空間としても話題を呼んだ。
開館オープニングの様子は、フクヘンさんのブログでご覧いただけます。⇒ コチラ

開館記念は、やはり「杉本博司 光の自然」(ひかりのじねん)。

自然(じねん)とは、万物が現在あるがままに存在しているものであり、因果によって生じたのではないとする無因論のこと。仏教の因果論を否定する。外道の思想のひとつである。
また外からの影響なしに本来的に持っている性質から一定の状態が生じること(自然法爾)という意味や、「偶然」「たまたま」といった意味も持つ。
 -Wikipediaからの引用

「じねん」の意味を今頃分かったが、これでやっと全部がつながった。やはり、タイトルと展示の内容が首尾一貫、コンセプトの明快さが見事に展覧会を通じて伝わって来た。
やはり、杉本御大は稀有なアーティストだ。

美術館自体は思ったほど広くない。

izu2

それでも、展示を観終わった時の満足感は十分ある。

天井から床まで1枚の自動ドアは、まるで壁のようだが、そこを入ると中はかなり薄暗くなっている。
この薄暗い縦長の空間に置かれているのは2つの作品。
1つはこの展示のために誂えたとしか考えられない≪放電日月山水図≫2009年(六曲一双)である。
ついに、写真で屏風を作り上げてしまった。

過去に発表されてきた≪放電場≫シリーズの応用編。全部で6枚の≪放電場≫作品をつなげて屏風のように見せている。
さすがに表装はされてないが、逆に表装するなどという考えは端からなかっただろう。

離れて観て、また近づいて観る。
≪放電場:ライトニングフィールド≫はカメラもレンズも使用せず、案室内でフィルムに直接電流を流すことで、光の軌跡を焼き付けた、偶然のたまもの。
この偶然の集積をうまく並べて、日月山水図と見立てるあたり、茶の湯の見立て精神に通ずる。

私は昨年立教大学で杉本の講演を聞いて以来、彼を現代の数奇者だと思っている。
今回も見事に数奇者らしく見立て現代版:日月山水図を作り上げたのだ。

そして、入口から対角線上の奥のコーナーにあるのは、杉本博司「歴史の歴史」展でも展示されていた≪雷神像≫1体。

この展示の後、外庭に大きく開口部が広がっている空間に檜の1枚板の長椅子がある。
椅子の脚(実は椅子じゃなかったらどうしよう。座って良かったのか)は、昨年アクシスギャラリーで「三保谷硝子店―101年の試作展」で拝見した三保谷硝子と思われる立方体?の透明硝子。
この透明度の高いクリアガラスを見ていると、否が応でも直島の誤王神社を思い出す。

窓の外には石で囲まれた苔むした中庭があり、そこに石製の棺かと思うような空間が石で作られている。
御大好み。
この中庭を臨むスペースもギャラリー2とされている。

さて、最初の展示室の壁の向こう側に縦に細長い展示室3がある。
こちらで展示されているのは、写真術のパイオニアであるウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットへのオマージュと言える新作≪光子的素描:フォトジェニック・ドローイング≫シリーズ全11点(2008年~2009年)である。

ある日、杉本はタルボットのネガを入手(購入)する。
焼きつけてみると、これが実に素晴らしい。
科学者でもあったタルボットはどことしようとするか杉本に通じる所があると思うのだが、タルボットは絵画表現の主役である絵にとって代わる写真制作に挑戦していた。

このネガが杉本の手にかかると、見事に写真なのか素描なのか判断つきかねる絵画表現が結実する。

着彩されているのだと思うが、このネガに焼かれたモチーフ1点1点も選りすぐられている上に、着彩、色の表現が絶妙。
何点か見ていると、ロスコー絵画のような「赤」の作品があったり、どす黒い作品があったり。
濃紫色にはすっかりまいってしまった。
美し過ぎる。

この作品群を見ていると、絵画と写真の境界線なんてあるのだろうか。
ノーボーダーライン。

建築それ自体(外観上はすっきりした箱)よりも完成され完璧を求める杉本イズムの美意識が随所に現れる展示室の構成と照明、作品にまたしても魅了されてしまった。

一見されることをオススメします。

*3月16日(火)まで開催中。

<参考情報1>
同じクレマチスの丘にあるヴァンジ彫刻庭園美術館では2月20日(土)~5月9日(日)まで「アイラン・カン-内なる本棚」展も開催されます。
アイラン・カンは昨年越後妻有トリエンナーレで作品を拝見し、色彩あふれる光の本で満たされた空間インスタレーションが印象的。こちらも楽しみです。

<参考情報2>
冬の晴れた日に行くと、富士山がとても美しく、最高の景色が楽しめます。

<参考情報3>
クレマチスの丘にあるイタリアンレストランは人気のようで、土日のお昼時は予約していないと食事は難しそう。

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