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没後400年特別展 「長谷川等伯」  東京国立博物館

touhaku

東京国立博物館で開催中の「長谷川等伯」展に行って来ました。

もう、本当に待ちに待った等伯登場です。私は伊藤若冲、岩佐又兵衛、最近では池大雅も好きですが、等伯は若冲と並んで大好きな画家。
等伯がいなければ、日本美術を好きになっていなかったかもしれない、関心をもつきっかけを作ってくれたのは、かの有名な「松林図」(本展でも登場!)ですが、その前に智積院で彼と息子久蔵の「楓図」や「桜図」(本展出品なし)を観て感動のあまり30分はあの畳の部屋(当時)で陶酔し、心で泣いてました。

等伯の回顧展とあれば、いてもたってもいられません。初日に駆けつけました。
展示作品数は、前後期の入れ替えが4~5点あるだけの約70点。思ったより少なめですが、たっぷり二回会場内を回り結局2時間半はいたでしょう。

展覧会構成は次の通り。
本展を観る上で注目すべきはキャプションに描かれている印。信春時代の作品と等伯時代の作品とで印が分かれているので、およその制作時期が印を観れば分かる仕組みになっている。

第1章 能登の絵仏師・長谷川信春
ここでは等伯を名乗る前の長谷川信春時代の仏画の数々を軸物衷心に展観。昨年京博開催の「日蓮と法華の名宝」に出展されていた作品もあり。
仏画好きには堪らない第1章だった。26歳の最初期作品の「十二天像」世覚院蔵から始まり14点、とりわけ素晴らしいのは「釈迦多宝如来像」大法寺蔵などに見られる仏の表情の描き分けと優しい顔立ち。本展ベスト3作品のうち1点がこの第1章にあった。「善女龍王像」石川県七尾美術館蔵。成仏を願う法華の女性信者のために描かれたとされるこの小さな仏画に描かれているのは、龍を頭上に、右手に三鈷剣を持つ童子の立像である。少女のようにも見える顔立ちとよくよく見ると細かい衣紋特に袖口のあたりの細かさ、ほのかに立ち上る柔らかい感じが何とも癒されるのだった。
1点だけ持ち帰って良いなら、私はこの小さな「善女龍王像」が欲しい。

第2章 転機のとき-上洛、等伯の誕生-
息子久蔵を連れ、能登を後に上洛し、絵師として京都で身を立てる信治時代の作品から等伯と名乗り始めるまでの作品を展観。ここでも「十六羅漢図」霊泉寺蔵には後の等伯水墨画の息吹を感じさせる部分が随所に観られたり、「春耕図」京都国立博物館蔵では、狩野派技法も取り入れたか?という線描が観られ、派手さはないけれど、小品や「牧場図屏風」「山水図襖」、室町水墨画か南宋絵画研究の成果を感じる「「寒江渡舟図」「山水図」など観れば観るほど、面白い発見がある。
等伯の墨絵技法については『美術の窓』3月号の島尾新氏×板倉聖哲氏による対談に詳しいので、関心がおありの方はお手にとられることをオススメします。「等伯って、どんな人」という等伯初心者の方にも楽しめる好企画。

MADO

第3章 等伯をめぐる人々-肖像画-
等伯は敬虔な法華宗徒でした。その彼を取り巻く僧だけでなく、「千利休像」表千家・不審菴⇒この作品はよく利休と言えば出てくる肖像、「武田信玄像」成慶院蔵など戦国から桃山時代を生きる等伯の時代を映す鏡。「武田信玄像」については真筆問題も浮上しているようだが、損傷がかなり激しく、肝心の信玄像部分に至っては肉眼ではとらえにくい。

第4章 桃山謳歌-金壁画-
第4章からは屏風や障壁画が並ぶ。前期の智積院からは「楓図壁貼付」4面「末に秋草図屏風」2曲一双、「柳橋水車図屏風」香雪美術館、そして極めつけは「波濤図」禅林寺蔵。
第4章に出展されている作品は、同じく東博の「対決展」など過去に目にしている作品も多かったが「波濤図」は今回が初見。こんな作品があの永観堂で有名な禅林寺のどこに眠っていたのやら。横に長い長い波濤図は金雲が湧きおこり、波頭の動きはうねうねと。中心は渦を巻いているように見える。あの渦の中に巻き込まれてしまいそうな流れ。
優美というのとはちと違う。荒々しいのともまた違う。酒井抱一、尾形光琳の「波濤図屏風」も観て来たが、これまで私が観た中では最高の波濤図だった。金雲のチラシ方、流れもバランスが取れていて、派手すぎないギリギリの所で止まっている。本展のマイベスト作品。

第5章 信仰のあかし-本法寺と等伯-
ここでのハイライトは高さ10メートル、横6メートルにも及ぶという「仏涅槃図」。噂では聞いていたが、やはり大きさというのは実際に体感してみないと分からないものだ。何しろ一番高い天井部分から下げても下の方は折れて床に垂れ下がってしまっている。いっそ、外に出して等伯没後400年大法要を営んでいただけないものだろうか。
この涅槃図には等伯を遺し先に逝ってしまった息子久蔵をはじめとする長谷川家の人々の名を刻んでいる。
しかし、これほど大きな涅槃図を制作したのには、永遠のライバルとされる、狩野派のサラブレッド狩野永徳への対抗意識があったことも見過ごせない。ちょうど大きな仕事を永徳に邪魔され、取られた後のことだったようだ。

描表装されていたと後で知った。この時はあまりの大きさにどこを観て良いものやら、下の方の動物ばかり注視していた。次回は描表装もしっかり確認しよう。単眼鏡、双眼鏡お持ちの方は必携です。

巨大「仏涅槃図」とは別に、等伯作品として今回唯一出展されている「妙法尼像」の白描画が印象深かった。等伯の人物、特に仏画の多くに登場する仏や菩薩の顔、表情はとても優しく柔らかい。とりもなおさず私が等伯を愛する所以はこの表情にもある。妙法尼もやはり、良い優しいお顔をされていた。観る(ここでは等伯)人の気持ちが入った作品。

第6章 墨の魔術師-水墨画への傾倒-
本章では、墨の魔術師と題して、等伯の水墨画を展観していく。
「瀟湘八景図屏風」東京国立博物館蔵、「禅宗祖師図襖」天授庵、「竹鶴図屏風」出光美術館、「枯木猿猴図」龍泉庵
など、およそ15点の水墨屏風の名品が勢揃い。
息子久蔵亡き後、前章で見たような金壁画ではなく水墨画中心の画作となる。
古典の研究をよくしているなと撥墨技法や墨の濃淡の使い分けなど、非常に扱いが上手い。

第7章 松林図の世界
国宝「松林図屏風」は最後の最後に登場するが、出口間際ではちょっと落ち着かなかった。むしろ、その手前にあった「檜原図屏風」禅林寺(またしても禅林寺!)の近衛信尹和歌と等伯の檜原を背景にした書画合作の素晴らしさ。初見だが、これぞ日本美術の粋ではないだろうか。
無論「松林図屏風」については今更語るべくもないだろう。ただ、あの作品は何者かがあのような屏風に上手く仕立てたとのことで、最初からあれを意図して等伯は描いていないらしい。

智積院の久蔵の「桜図」をとても観たくなった。父の作品が傍らにないのでは、久蔵も寂しかろう。「桜図」の本展出品がなかったのは非常に残念。
今も京都に行ったら、摸本でない「桜図」に出会えるのだろうか。

*3月22日まで開催中。3月9日より一部作品が入れ替えられます。
混雑が予想されるため、お早目のご鑑賞をオススメします。図録は印刷も美しく(檜原図屏風はちょっと不満だけど)充実した内容で2500円。

注:2月24日夜追記。

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非公開コメント

せいな様

こんばんは。

> 私は等伯が久蔵を思う気持ちを想像しながら観たら
> 何度も泣きそうになってしまいました。
> お猿の可愛さに何度も助けてもらいました。

私もかつて智積院で「楓図」や久蔵の「桜図」を観た時、泣きそうに
なりましたが、等伯はもっとしたたかな人物ではなかったのかと
各種雑誌や講演を聞いて思い始めました。
京博での等伯展にも行くつもりなので、私が思う人物像はその時に
書いてみようと思います。

No title

行ってきました。平日午前は第一会場の混雑はすごかったです。
私は等伯が久蔵を思う気持ちを想像しながら観たら
何度も泣きそうになってしまいました。
お猿の可愛さに何度も助けてもらいました。

21世紀のxxx者さま

仰る通り、4章野流れは素晴らしかったです。
個人的には久蔵の桜図を一緒に観たかったですが、贅沢ですね。
特大涅槃図にも仰天しました。

はろるど様

等伯の人物像を私はちょっと勘違いしていたかなと芸新やら
美術手帳の記事を読んで感じています。
展覧会が年代順になっていないので、分かりづらいのですが
晩年の水墨画はイマイチだなと。
善女龍王図、波濤図、檜原図屏風に続く1点となると確かに難しいですね。

No title

私も土曜日に観てまいりました! 確かに掛け軸コーナーは人だかりが凄かったです^^;
本当に見応えがありますね。知らなかったことも多くて最近の中でもかなりのヒットでした。特に4章の波濤図、松に秋草図屏風、柳橋水車図屏風の流れは凄かった…。

No title

こんばんは。

善女龍王像は小画面ながらも力強さの伝わる作品でしたね。私も大好きです。

波濤図、檜原図屏風あたりがベスト2でしょうか。もう一つを挙げるとなると難しいところです。

というわけでまた行きます!

とら様

こんばんは。
「檜原図屏風」を本日再訪して改めてじっくり眺めてみました。
遠くから見ると、松林図のような遠近感がより明らかになります。
和歌の一部を絵で表現する、こんな素敵な水墨屏風は等伯ならではですね。

No title

「檜原図屏風」が良かったですね。
近衛信尹の和歌とのお洒落なコラボ!

21世紀のxxx者さま

こんばんは。
作品が制作年代順になっていないので、流れはつかみにくいですが
80点の割に見ごたえはあります。
混雑していたら、第2会場の屏風を観てから、閉館間際に小品の軸物を
第1会場でご覧になると良いです。
ただし、第1会場の最後にも屏風絵があるので、これとその前の部屋の
波濤図は必見です。

No title

私も今週末に行こうと思っています。
意外と点数は少なそうですが、いい作品が揃っていそうですね。楽しみです!

Minnet様

こんばんは。
本法寺では、やはり下まで吊るせたのですね。
あのように垂れてしまっているのは、やはり悲しいです。
仏涅槃図のような作品は、本来寺社で拝観すべきものだと
コメントを頂戴し改めて感じました。
個人的には久蔵の作品も出展していただきたかったです。

本法寺の「仏涅槃図」

こんにちは。
私も初日に行きました。
閉館前を狙って2時間見ましたが、とても時間が足りなかったです。
巨大な「仏涅槃図」は、本法寺では、二階の高い位置からも観られたので、
そのイメージがあって、東博では、会場の高さが足りないのが残念でした。
それから、表装は描き表装になっていますね。
本当にいい展覧会でした。

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