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「木田安彦の世界」 パナソニック電工 汐留ミュージアム

kida

パナソニック電工 汐留ミュージアムで3月22日(月)まで開催中の「木田安彦の世界」に行って来ました。
美術館HP ⇒ http://panasonic-denko.co.jp/corp/museum/exhibition/10/100116/index.html
この展覧会の評判は、twitter上の呟きでも何度か観ていて、更に芸術新潮3月号で「木田安彦 木版画巡礼のゴールから」を読むにつけ、早く行かねばと気は焦るばかり。やっと、今日の朝一番で観て来たが、芸新や同展チラシでは到底伝えきれていない凄みがあった。作家プロフィールを見るにつけ、キラ星のごとく並ぶ賞の数々。多くはデザインや広告での活動に対して授与されたものだが、2004年度には京都美術文化賞、2006年京都文化功労章を受賞しており、この展覧会まで木田安彦の名を知らなかったのか、わが身が情けなくなってきた。

京都市芸デザイン専攻卒業後、博報堂制作部勤務。
1975年に博報堂退社以後は、ガラス絵、板絵、水彩、油彩、書と活動領域を広げて来た。そして、1977年あの田中一光に見出され、セゾングループのクリエイティブ・スタッフになり、2002年に田中氏逝去まで公使に亘り薫陶を受ける。

本展では、木版画制作の大成として5年の歳月を費やし2009年春に完成させた「西国三十三所」36点の版木り版画、下刷り・本刷りと同年夏、最後の6点を描き挙げた5年シリーズのカレンダー「日本の心・名刹」のためのガラス絵を一挙に公開し、木田作品の神髄を紹介するもの。

とにかく、「西国三十三所」の木版からは彼のものなのか、はたまた描かれている仏像や寺社のものなのか、エネルギーがひしひしと伝わって来る。展覧会場もいつになく照明を落とし、壁は全て黒で統一。入った時は、汐留ミュージアムでないかのようだった。

彫り前後の状態の複製画、版木、刷り上がった版画とそれぞれ33枚セットで壁一面に展示されている。通常版画は下絵を描いた紙を裏返しにして板に貼り彫って行くが、木田は板に直接下絵を描く。引いた線が気に入らないと別の色で直す。この状態の複製画を展示。次に彫りあげた版木そのものを展示。彫り上がり後の摺りを展示。
これらは、縦3列に並んでいたので、一番上にあった作品はよく見えなかったのは残念。
完成された木版画だけは横一列に整然と並んでいるが、結局、版木と完成版画の間を何度も往復してしまう。そして、そんな観客は私だけでなく他の方も皆同じような行動を取っていたのが面白い。

木田の木版は、一本の線さえも無駄になっていない。全ての線が作品に必要な要素といえる。1点1点が、西国三十三所の見どころを四角い小さな画面に凝縮していて、詳しい方なら作品タイトルを見ずとも、どのお寺を描いたものなのかすぐに分かるのではないだろうか。
≪六波羅蜜寺≫や≪≫の口から仏像を吹き出す空也上人像のアップはグラフィック化の最たるものだと思った。
仏像。偶像、巡礼する人々すべてが、木田の手にかかるとある意味グラフィック化され、特徴を最大限に引き出される。木田の手にかかると仏像も人物も本物以上に本物らしく味がある顔立ちになる。

下絵制作や彫りだけでなく摺りまで全て木田が1枚1枚手がける。
1枚完成させるのに、時には30回くらい摺ることもあり、1枚摺るのに3時間~5時間、時には1日かかることもあるという。

完成作を観て行くと色の使い方が非常に巧みであることが分かる。多くて3色、基本は黒ともう1色(原色)をどこかにアクセントとして使用しているが、色の選択、奥位置、ぼかし具合どれもが木田のセンスの良さを現している。
特に黒をベースに赤を使用した作品では、赤い部分だけ浮きあがって見えた。平面作品が立体に見える不思議さ。

木版画制作の細かく緻密な作業のため、ついに木田は眼を悪くし失明の危機に陥る。周囲からは「版画制作をやめた方がいい」と言われながらも決してあきらめず、病を乗り越え、この版画シリーズを見事に完成させた。

ガラス絵シリーズでは黒一色の世界から抜けて、カラフルな色彩世界へと移る。着彩に金箔を使用している作品はキラキラと金の部分の輝き神々しい。仏像だから神々しいという表現は相応しくないとしたら、極楽を示す黄金色とでも言おうか。法隆寺の救世観音のアップはそっくりだった。一体一体の仏像や建物の形態の捉え方が非常に上手い。
個人的には、木版画シリーズの方が好み。

図録はコンパクトだが、印刷は抜群。これでお値段1300円はお手頃だと思い、迷わず購入した。図録の装丁も木田作品を使用して作家名をお札にして貼り付けてあるのがしゃれている。かっこいいと思ったら、図録の編集・装丁も木田安彦本人が手がけていた。この図録が作品ではないか!

チラシは既に終了した京都展の方が好きかな。こちらは清水寺の木版画作品を使用。

kida2


*3月22日まで開催中。オススメです。

コメントの投稿

非公開コメント

aiko様

こんばんは。
コメント有難うございます。
最終日、間に合って良かったですね。
やはり、実際の作品に触れると、制作時の作家の魂にふれたような
あの版木を見ていると特にそんな気持ちになりますよね。

No title

本日最終日、行ってまいりました。
素晴らしい。
心の安まる作品という印象でした。

Tak様

本当に天晴な展示でした。

しかし、すごい作家ですね、木田さんは。
芸新のインタビュー読んでなければ、制作過程が
分かりづらかったかもしれません。
解説パネルってあったのでしょうか?記憶がないです。

No title

こんばんは。

限られたスペースであれだけ
「魅せる」とは天晴れです。

作品力も勿論素晴らしかったです。
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