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2011年4月1日 鑑賞記録

2011年4月1日の鑑賞記録です。

・行商   スパイラル
お目当ての作家さんが出展されるので、行ってみることにした。save tohoku の@heimaさんが主催されていたブースが私好みの作家さんが多く楽しめた。
lower akihabaraで、山口英紀さんの新作を拝見。今回は、モチーフのクローズアップ、彩色で支持体は紙本だったと思う。これまでとは違った新しい試みだが、成功している。
斉藤ちさとさんの写真、西澤さん、そしてもう1人名前を失念したが、三名の方の写真に足が止まる。

・レンブラント展    国立西洋美術館
平日の昼間だし空いているかと思いきや結構混んでいて焦る。版画作品中心の構成なので、必然的に列ができ並ぶ。これから先、土曜日曜はますます混雑しそう。
油彩も思ったより出展されていたので、この時期西洋美術の展覧会が観られただけでも有難い。ただし、版画は名古屋ボストン美術館で開催されたレンブラント版画展の方が出展数は多かったように思う。

・シュテーデル美術館所蔵フェルメール<地理学者>オランダ・フランドル絵画展   文化村ミュージアム
これは、大当たりだった。フェルメールの地理学者も、無論良いけれど、それ以外のフランドル絵画も粒揃い。静物画、肖像画、風景画とジャンル別に名画を堪能。

・ここではないどこかへ   文化村ギャラリー
グループ展。冒頭にあった青焼きのような廣瀬遙果さんの写真作品がとても良かった。後で、扱いギャラリーなど調べねば。

神楽坂アートコンプレックスへ

・橋爪 彩 イムラアートギャラリー
名前とDMを観た時には気付かなかったが、ギャラリーで赤い靴の作品群を観て、所沢の引込線で拝見した事のある作家さんだと思い出した。
今回の大作、油彩もさることながら、鉛筆画の妊婦の女性像も素晴らしく、技術の高さに目を見張る。

・小沢さかえ展    モリユウギャラリー
先日行ったばかりのVOCA展に入選されていた小沢さかえさんの個展。
いつもの小沢さんワールドの作品の中に、写実的な女性の顔の新作が2点。新しい試みとのことだが、表情までしっかり描かれている人物像は力強く魅力的だった。

・yuka comtemporary
笠井麻衣子さんの個展は既に終了していたが、明日チャリティーがあるとのことで、オーナーが在廊されていたので、笠井さんや安田悠さんの作品を観ることができた。このギャラリーは前々から行きたかったが、なかなか行けず漸く今日が初訪問。場所はフォーシーズンホテルの近くで川沿い。
これを機に足を運ぼう。なぜか、愛知県出身の作家さんを多く取り扱っていらっしゃる。


私には珍しくスーツにパンプスでの美術館・ギャラリー巡りで脚が痛くて泣きたくなった。パンプス厳禁。

2011年3月5日・6日 鑑賞記録

3月5日午前0時新宿発の深夜バスにて名古屋へ向かう。帰名するのにバスを利用したのは初めてだが、今回利用したバスは足元もシートも広めでなかなか快適だったが、唯一の難点は暖房の効きが悪く、窓際の私は非常に寒かった。
毛布は備え付けがあったのだけれど、ダウンをかぶっても寒い。
次回は別のバスを予約済なので、当分乗り比べしてみるつもりです。

さて、この土日は岐阜県美+愛知県内の美術館+ギャラリーひとつを回りました。
以下簡単な鑑賞記録です。今回はどれも充実した内容だったので、美術館の展覧会は別記事をアップします。

1.愛知県美術館「レンバッハハウス美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士展」+常設展
カンディンスキーと青騎士展は三菱一号館美術館で既に観ていたので、今回は時間がないこともあり気になる作品のみじっくりと。
しかし、やはり箱が広いのに作品が小さいため、寂しい感じと無駄な動線が多すぎると思った。もっと企画展示室をしぼるか仕切るかした方が良いのではないか。天井高が三菱よりかなり高いので、絵が一層小さく感じる。

常設、これがまた素晴らしかった。
一番のツボは、木村定三コレクションの「朝鮮陶磁特集」。
少女の陶製彫像に加え、青磁に白磁、とどめは井戸茶碗に熊川茶碗。高麗茶碗や三国時代の土器は大好物なので、嬉々として観て回る。

そして、テーマ展は大西康明「体積の裏側」。
大西さんの作品は以前、大阪の「Art Court Frontier 2010 #8」@アートコートギャラリーで拝見した作品と同じ手法を使ったもの。
今回は空間が広かった分、作品も大きくなっていたが印象は前回とそれほど変わらない。ただ、素材となっているシートがあまりに薄く動くたびにカサカサと音を立て、それも狙いなら良いのだけれど、そうでないならもう少し、厚みのある材料の方が良いのではないか。材料によって、せっかくの作品が安っぽくなってしまうのは残念。

新収蔵作品では、岡崎乾二郎「あなたがたのかんがえは・・・」「天使は翼があるから・・・」「野には(この世界では見えぬ・・・」の黄金比を使用した3部作に吸い寄せられる。この3部作、大きさもかなりのもの。
若手の坂本夏子「Painters」2009年もしっかり入っていた。
他に岸田劉生、正宗徳三郎らの作品が新収蔵、寄贈されていた。

・愛知県立芸術大学卒業・修了制作展
愛知県芸の卒展は今回初めて拝見した(と思う)。無駄にパンフレットが厚い紙を使用しているのが他大学と違うが、作家とタイトルがきちんと書かれているので、観る側としては非常に観やすい。
日本画:小柴一浩、辻恵、山岡佳澄、油画:石井貴紀、木全佑輔(彼は既にギャラリーが付いていたような、要確認)、横野明日香、江上真織、東条香澄、彫刻:葉栗里、上村文香、里村英昭、本田篤志、デザインは各学生さんみな個性的で良かった。高柳佑真、安東哲 以上が目に留まった学生さん。

・松坂屋コレクション 技を極め、美を装う 4/10まで
巡回なしで松坂屋創業400周年+松坂屋美術館20周年記念となれば、力が入っているに違いないと予想していたが、案の定素晴らしかった。以前、大阪市美他で松坂屋京都染織参考館の名品を展示する「小袖」展が開催されたが、今回はそこで展示されていない更なる秘蔵品を一堂に展示。約150点は非常に見ごたえがある。「小袖」展が気に入られた方は是非とも足を運んでいただきたい内容。

・「ビートルズとその時代 SWINGING LONDON 50's-60's」 岡崎市美術博物館 3/21まで
開館30分後に到着したのに、既にお客様はかなり入っていて、年配のご夫婦やいかにも60年代に青春時代を迎えていたのでは?と思われる方々など幅広い年齢に人気のようだった。
予想外に面白い内容で、特にビートルズのレコード・ジャケット「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の謎を新たに解明した発見に感心しきり。
福助とソニーのポータブルテレビ。
こちらも、是非とも足を運んでいただきたい内容。ジミヘンのギターや衣装、ベスパにミニ・ヒーリー・カブリオレがあるかと思えば、北欧デザインもあり、府中美術館で昨年企画展があったディーター・ラムスなど(これ観ておいて良かった)、岡崎市美博の企画展もまずハズレたことがない。

・豊田市制「Art in an Office-印象派・近代日本画から現代絵画まで」3/27まで
・「柴田是真 伝統から創造へ」4/3まで
・「浮船」 4/3まで
・「アイチ・ジーン」 3/6で終了
以上すべて豊田市美術館

以上4つ、うち「アイチ・ジーン」は愛知県立芸術大学芸術資料館のアウトリーチ活動の第3回目として、会場を美術館内展示室、レストラン、又日亭と使用したものなので、主催は別。
それでも他3つの展示を全て観ても鑑賞料一般300円は他館では考えられないコストパフォーマンスの良さ。
いずれも秀逸であるが、柴田是真は、三井記念美術館・承天閣美術館他に巡回した是真天を補って余りある内容。3月20日、藤井達吉と絡めた講演があると知り、うずうずする。藤井達吉はとても好きで気になっているのに、是真とどこかで関わりがあるのだろうか?分身したい。

「Art in an Office」は、これを逃したら次に観られるのはいつのことやら・・・という普段企業内で展示されている作品が公開されている。非常に珍しい作品が何点か、そして噂のトヨタコレクション(トヨタ自動車のコレクション)の現代美術作品が勢ぞろい。すべてコミッションワークというから凄い。
杉戸洋さんの「センチュリー」は完全にツボだった。欲しい。。。

「アイチ・ジーン」は愛知県立芸術大学史料館、はるひ美術館、そして最後の会場が豊田市美術館での展示。
何といっても、贔屓目なしで、山田純嗣さんの展示が抜群に良かったです。
個人的にはレストランの展示が特に良かった。外のダニエルビュレンの鏡を利用することも考慮の上での作品配置。あれは、ずっとあのままレストランに展示してあると楽しいのに。
又日亭の和室を利用した展示も、めったと見られない内容。昨年、東京ユマニテで個展を拝見した城戸保さんの写真、今回はスナップショットが畳に置かれているのが面白い。牛だと思っていたら馬の鼻で、奥の床の間を使った1点も良かった。書きだすと長くなりそうなので、ひとまずさわりだけ。

・手塚愛子 展  透明な果実 1
・小柳裕 展 温室育ち Hothouse Plants ケンジタキギャラリー名古屋 いずれも4/23まで
手塚愛子さんは、いつものタペストリーの糸をほどいてほどいて・・・そこからイメージを創出させる作品だが、小品と他に1点これまでとはちょっと違った見せ方をする作品があり、大山崎山荘美術館での展覧会が楽しみになった。

小柳裕の作品は初見。ジュートを支持体に使用して、その上から油彩で静物もしくは花などを描く、高島野十郎のろうそく作品の模倣かと思うようなモチーフの作品が2点あった。


この他、藤原えりみさんの講座『西洋絵画を視る』も受講でき、内容の濃い2日間でした。

2月のギャラリー鑑賞記録 書いていないもの編

なんだか、日増しに労働状況が悪化してきた今日この頃。
2月も気が付けば今日で終わり。
書いていない展覧会が山のようにあることに気付く。TOKYO FRONTLINEや恵比寿映像祭にも行ったのに感想まだ書いていない。そして猛烈に本が読みたいのに読めていない。

と愚痴愚痴言ってる時間があったら、少しでも記事を書こう。
今回は書いていないギャラリーの展示の感想です。ほぼ全て既に終了しているため、まさに記録のための記録。

・福永大介展 「何かを味方にすること」 小山登美夫ギャラリー 2/26に終了
ギャラリーサイト→ http://www.tomiokoyamagallery.com/exhibitions/daisuke-fukunaga-exhibition-2011/

福永大介は1981年生まれ。何でも村上隆のGEISAIで小山氏がスカウトしたそうだ。2009年のVOCA展にも出展。

今回展示されていたのは、約10点の新作ペインティング。
人物と日常生活の一端を捉えた作品なのだが、なぜか落ち着かない気持ちにさせられる。
私が一番気になったのは色の使い方と形態の把握。
前述の通り、人物も日常で使用される道具も不安定な感じだが、背景の描き込みは丁寧でしかも美しい。
人物や物の色の配し方が、また独特で一瞬ゴーギャンの作品をなぜか思い出したのだが、決して似ている訳ではない。
そうした不安定さや落ち着かなさがありながらも、どこか惹かれるものがあるのは福永の大きな魅力だろう。大画面でもやや小さめの画面でも、作品の完成度のブレはないように感じた。

・松井亜希子 -冬の水 うつろう光影-展 INAXギャラリー2 2/24終了
ギャラリーサイトhttp://www.inax.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001794.html

同ギャラリーでは久々の版画作家の展示。モノクロの写真のような銅版画。
今回の作品モチーフは「水」たゆたう水。水の表情を銅版画でいかに創出しているかが鍵。横200cmの大阪の水景をモチーフにした新作は圧巻だが、非常に上手いし版画とは思えないような線描に魅せられる反面、版画でしかできない表現が作品に見えるかと言えば、それは見えてこなかった。
上手いだけの版画作家さんは卒展などを拝見していると非常に多い。
問題はその先で、版画特有の、版画でしかできない表現って何だろうと彼女の作品を観ながら改めて感じた。

・村岡佐知子 「weather report」AI KOWADA GALLERY 2/26で終了。
1983年生まれ。
天候をペインティングで表現。全部で作品は5点あったが、何か物足りない。絵から感じられる力や感情が伝わって来なかった。画面上に散らばる色が、星空のように見えたが、そこから天候というテーマへの結びつきは私には感じられず残念。

・関口 正浩 「反転・回転・反復」 児玉画廊京都 3/26まで開催中
彼の作品はG-tokyo2011にも同画廊で出展されていた。
幾何学な色彩面で構成されているが、キャンバスにじかに描いているのではなく、カッティングシートもしくは紙のようなものに色を塗り、それを貼り付けて画面構成をしているようだ。

この貼り付けの色面構成と貼り付け方法により、表情は様々に変わる。特に敢えて、しわがよるような貼り付け方をすると画面が歪んで、見えたりと面白い。絵具では難しそうな皺表現が、作品の表情にニュアンスを追加する。

・ロンドンギャラリー
今期は、昨年福井県立美術館で同ギャラリーオーナー田島氏のコレクションにより「シルクロードと東アジアの仏教美術」展が開催された。その中からごく一部の作品を展示している。
東博の「平山郁夫と文化財保護」展と合わせて観るのも楽しいと思う。
最奥の床の間のお軸が、鎌倉時代の錐金の美しい仏画であった。北魏の仏塔はやはり素敵な微笑みをいつもたたえている。

・アイ・ウェイ・ウェイ展 終了 SHIN MISA GALLERY
これはオープンしてすぐに観に行ったが、狭い会場内で作品とくっつくような距離でしか鑑賞できず、昼間だったので、シャンデリアの輝きがいまひとつだった。
作品は一見シンプル。巨大な2階まである天井まであるシャンデリアが下がっている。
光は中から当てているのか、ガラス?の飾りが光を乱反射していたのだが、お昼に行ったため、その光がよく見えなかった。最終日だったのか、特別にギャラリーの入口の重い重いドアを全面開放して下さって、日没後に作品から引いた位置で、鑑賞するのは以前観たのとは別の作品化?と思うほど美しかった。

・渡辺豪「lightedge - 境面 II -」2/26で終了
昨年愛知県美術館で、「現代美術の発見VI 渡辺豪 白い話 黒い話」を拝見したばかりだったので、今回の展示作品もうち2つがかぶっていたと思う。

本が上からゆっくりとゆっくりと落ちて来るかぶさってくる、いや流れて来ると言った方が分かりやすいか。音はほとんどなく、ひたすら時間がここではゆっくりと流れるのだ。

大型の書籍がゆっくりと落ちる作品の正面には、未見作が1点。アパートの一室が歪んでくるという不思議な映像。
奥のスタッフルームにも作品が数点あった。
詳細はex-chamberさんのブログにアップされています。

・「田幡浩一 trace of images」 ギャラリー小柳 3/11まで
ギャラリー小柳さんの好きそうな作家だなというのが第一印象。映像と平面作品が何点か出ているが、線の細い、マンガと絵画のちょうど中間に位置するような作品だった。(←これは寝ぼけて書いていたようです。全くそのような作品ではありません。謹んでお詫び申し上げます。)アニメーション的な見せ方を映像で見せると面白いと思ったのだけれど、今回の映像作品は個性的ではあったけれど、あまり魅力は感じず、むしろ絵画の方が良かった。
虫や花のモチーフ作品は、平面から抜け出て動きだしそうな予感あり。まだまだ、これから変化し益々新しい表現をして下さる印象を持った。
*田端浩一さんの感想について3月1日に修正しています。

他にもまだあるような気もしますが、とりあえず今日はこの辺で。

20世紀のポスター[タイポグラフィー] 東京都庭園美術館

ポスター

東京都庭園美術館で開催中の「20世紀のポスター[タイポグラフィー]-デザインのちから・文字のちから-」に行って来ました。

昨年、大阪のサントリー美術館の最後の展覧会となったポスター展を観たばかりだったので、ポスター展が続くな~とやや足取りは重かった。しかし、重複した作品も僅かにあったものの未見のポスターも多く、なかなか楽しめました。。本展では、特に「文字による表現」に焦点を絞ったポスターを紹介しています。
出展されているポスターは用紙メーカーの竹尾株式会社が所蔵する3200点もの「竹尾ポスターコレクション」から、文字による表現<タイポグラフィー>に焦点を当て絞り込んだ110点が展示されています。

庭園美術館の建築と20世紀のポスターはマッチするのだろうか?という不安は杞憂で、特に違和感なく鑑賞できました。
展覧会は4部構成になっています。
庭園美術館での展覧会には作品リストが用意されていないことが多いのですが、本展ではリストが作成されておりとても嬉しかったです。

第1部 1900s-1930s 読む文字から見る文字へ:タイポグラフィーの革新

やっぱりカッサンドルのデザインが大好きなので、まず目に飛び込んで来たのが、彼の≪キナ入り食前酒デュボネ≫。
リトグラフによる印刷。これは初見。先日古書店でカッサンドルの作品集(洋書)があり、思わず手にとって食い入るように眺めてしまった。よく「買ってしまえ!」という誘惑に打ち勝てたものだ。
文字を配してもカッサンドルのデザインと分かる。

・ホードラーのオーストリア造形芸術協会第19回分離派展:ヴェール・サクルム(聖なる春)
スイスのホードラーのポスター作品。ウィンタートゥールコレクション展で彼の作品を観て好きになってしまった。
ポスターもやはり絵画同様、私の好み。
他に、マックス・エルンストの「シュルレアリスム国際展」やルツィアン・ベルンハルトの「ドイツ工作連盟ケルン展」のポスターが印象に残る。

第2部 1940s/1950s タイポグラフィの国際化:モダンデザインの展開と商業広告の拡大

ここで、注目したのはベン・シャーン「我々フランス人労働者は警告する。敗北は奴隷になり、飢え、死ぬことだ。」オフセット。
ベン・シャーンの回顧展は来年度に神奈川県立近代美術館葉山で開催される予定になっている。彼のポスターは文字よりやはりデザイン全体にその特徴が強くあらわれている。
本展に出展されているポスターの中には、文字表現に焦点?とやや首をひねりたくなるような絵画やデザイン要素が強いポスターもあったように思う。

他にマックス・ビル、ヘルベルト・ロイピン、レイモン・サヴィニャック、カルロ・ヴィヴァレリ、リヒャルト・パウル・ローゼらの作品が良かった。特にサヴィニャックのダンロップ社の企業広告は秀逸。
第1部では企業広告はまだ一部で、政治的、または展覧会告知を伝えるポスターが主体だったが、第2部では商業広告が徐々に盛んになっていく様子が伝わってくる。

第3部 1960s/1970s 躍動する文字と図像 大衆社会とタイポグラフィーの連結

第3部では、杉浦康平のポスター「第八回東京国際版画ビエンナーレ展」、横尾忠則「大山デブコの犯罪」、アンドレ・フランソワ、アンディ・ウォーホルの「ニューヨーク映画祭」のポスターが目立つ。
ただ、文字のチカラに焦点を当てた内容という展覧会主旨は既に頭から抜け出て、漫然とポスターデザインを見始めていた。文字は確かにポスターにおいて重要だし、そのデザインにおいても注目すべきものだが、やはりポスターは総体的なデザインの方が重要なのではないかと思う。
カッコいい書体、実に様々な書体が印刷世界にあり、表現したいこと、伝えたいことに最も適した書体は何であるのか、それをデザイナーは常に考慮し作品制作を行っているのだろう。
しかし、その力作を甘受する方としては、果たしてポスターにおける文字デザインにどれだけ注意を払っているのだろう。
ポスターを観て、この文字デザインかっこいい~と思うことは個人的にはあまりないのが率直な感想。

第4部 1980s/1990s 電子時代のタイポグラフィ:ポストモダンとDTP革命

ここでいきなり、DTPという耳慣れない言葉が登場する。
DTPは「Desktop publishing」の略で、日本語で卓上出版を意味し、書籍、新聞などの編集に際して行う割り付けなどの作業をコンピュータ上で行い、プリンターで出力を行うことだと知った。~Wikipediaより引用。
詳細はこちら(Wikipediaへ)。

第4部では、木村恒久、私は常々彼の作品を観たいと思っていて漸く出会えた。「シネマ・プラセット 1980 (映画:ツィゴイネルワイゼン)。想像以上に濃厚なデザインだったような記憶が。。。観に行ったのがかなり前で図録を買わなかったので確かめられず。

文字デザインという側面でいえば、作者不詳のk「ポスター、印刷物、図書館展」のものが目をひいた。
その点では、アラン・フレッチャーは2点出ていたが、いずれも目立っていたし、斬新だったのはウィリィ・クンツのコロンビア大学の秋季・春季レクチャーのポスターは忘れられない。

本展ではデザインや文字のちからに焦点を当てつつ、印刷技法についても分かりやすく解説された「印刷技法解説」がある。
普段専門的で分かりづらい凸版印刷、平版印刷(リトグラフ・オフセット印刷)、凹版印刷(グラビア印刷)、孔版印刷(シルクスクリーン)の違いが説明されている。ポスターに限らず、版画作品を鑑賞する上でも役に立ちそう。
です。
ただ、気になるのはタイポグラフィーやデザインをメインにした展覧会なのに、チラシは地味でインパクトないなぁというのが残念。手に取った時、その展覧会に行こうと思わせるものは表面には感じられず、裏面の展示作品を観てじゃぁ行ってみようかと思った次第。
展覧会に行こうかどうかと思う時に、そのチラシはかなり重要なのに、ちょっと残念な気がしました。


*3月27日まで開催中。

2011年2月11日 鑑賞記録

夜行バスで東京から早朝に京都到着。短い旅の始まり。朝食はやっぱり、イノダコーヒー三条本店、朝7時からオープンしていますが、七時前でも寒いからと中で待たせていただけたのは有難い。しかも、既にかなりの来客があり、人気なんだなぁーと改めて思う。

さて、京都での鑑賞記録です。

・京都市立芸術大学作品展   京都市立芸術大学&京都市美術館
朝一番で向かったのは、京都市立芸術大学。桂は前の晩から降った雪が積もり、到着した時もまだ降り続いていた。
大学の会場では院生、博士課程の方の作品が多い。
黒宮菜菜さんの三点は、INAXで拝見した作品とまた作風が変化している。
八木良太さんのボーリングのような球形に磁気テープを巻き付け、機材の上に置くと不定期にノイズを立てる仕組み。これは、MOTアニュアルにヴァージョンアップして展示されるそうです。
八木さんと同室で展示されていた水木塁さんの写真がとても良かった。単に写真を置くだけでなく撮影時点を鑑賞者が追体験できるような舞台づくりがされている。例えば池に浮かぶボートの写真では船着場が作られ、そこに写真が一枚。デジタルではなくフィルムで写真を撮影することを重視されている。

他に伊藤彩さんのはじけた展示、尾家杏奈、彫刻では池田精堂さんの「見えない壁」に強い力を感じる。中島彩さんのフォトエッセイ集も丁寧な作りと何げない日常の中のものを被写体にした写真の美しさが印象に残る。

京都市美術館では私自身の集中力が不足していたこともあり、今一つ楽しめず。
日本画科の院生、四年生の方の作品がいくつか気になる。

・「山荘美学」日高理恵子とさわひらき アサヒビール大山崎山荘美術館
別記事にしますが、さわひらきさんのファンにはお薦め。新作一点含めた作品八点だが未見作が多く山荘での見せ方も工夫されている。

・TRANS COMPLEX   情報技術時代の絵画   京都芸術センター
村山悟郎による自身の作品展示とキュレーション。参加作家のもう一名は彦坂敏昭。展覧会の狙いと作品は合っていると思うが、京都芸術センターの展示室は南北二つは離れている。両者の作品を一つの展示室に一緒に展示した方が違いや共通点が見出しやすかったのではないか。特に彦坂の作品は展示室全部を使用しておらず、一つの壁だけでものたり無さを感じた。これは東京のギャラリーAISHO MIURAに巡回するが、東京の会場の方が今回の展示には適しているように思う。

・三瀬夏之介  だから僕はこの一瞬を永遠のものにしてみせる    @KCUA
三瀬さんの個展は昨年から追いかけ続け、今回の個展タイトルになっている巨大な屏風絵も何度か拝見しているが、やはり行って良かった。
「奇景」も昨年から取り組まれている長い作品だが、倍近く長さが延びているではないか。あまりに長いため、壁に上下二段で展示されている。
日本を超え世界いや宇宙を時空を旅する景色。
様々なモチーフが破綻することなく、画面に流れるように繋がって行く。三瀬さんご自身の体験した景色もあるだろうし、想像のなかの場面もあり。それでも作家と一緒に旅しているような気持ちになる。


京都国立近代美術館の常設と麻生展、京博の筆墨精神と内藤湖南の篆刻を再訪して、高松行きの高速バスに乗車した。

2011年1月11日~1月29日 鑑賞記録 ギャラリー編

1月も残りあと数日。あけましておめでとうございます・・・と交わしたのは遠い過去のことのように感じる。
約1週間前に鑑賞記録<美術館・博物館編>をアップしたが、ギャラリーの鑑賞記録をまるで書いていないことに気付いた。

記事にしていないギャラリーの展示をまとめて振り返ります。順不同。

・世界のブックデザイン 2009-10 印刷物博物館 P&Pギャラリー 1/23に終了
毎年恒例で開催されているようだが、私は今年初めて行った。毎年3月のライプツィヒで公開される「世界で最も美しい本」コンクールの入選と書とともに、上位入賞の常連である日本、ドイツ、オランダ、スイス、フランス、オーストラリア、中国を加えた7カ国の優れたデザインの書籍約240冊!を紹介している。
実際に本を手にとって眺めることができるので、全てのページを確かめることができるのが素晴らしい。ケースにおさまってしまうと、開かれた部分しか観ることができないからだ。

最初に置かれていた金賞?大賞?をとったドイツ(だったと思う)の書籍は素晴らしかった。印刷も装丁も内容も、あれは写真集とは違ったと思うが、写真がふんだん入っていたと記憶している。
日本では、町口覚氏がデザインした北野謙 写真集 「溶游する都市」と慶應義塾大学出版会「瀧口修造1958-旅する眼差し」が気になった。というか欲しい。
この展覧会は危険であった、手にとって触れるのは大きな魅力だが欲しくなってしまうのである。物欲に要注意。
あと、中国の本の装丁や使用されている紙の特質が印象深い。
お国柄というものが、かなり強く反映するなと思った。

・金村修写真展「アンクル・チアノーゼ・ミート」ギャラリーメスタージャ 2/5まで
水道橋と神保町のちょうど中間あたりにあるギャラリー。初めて行った。そして、金村修さんのオリジナルプリントも初めて拝見した。
大判の額装されていない写真が縦に2枚ずつつずらりと並ぶ。圧倒的なモノクロの世界で、撮影地は東京だろうか?何気ない風景、ピント、構図、この1枚!という写真はなかったけれど、一連のシリーズとして観て行くと一貫した視点というものを感じた。

・ミノリ/minori 「ふんでいい色」 MEGUMI OGITA GALLERY Showcase  1/29に終了
愛知県芸の出身若手画家で今回が初個展となる。新作、旧作約5点程展示されていたが、まだ方向性が定まっておらず、何をしたいのかが伝わって来なかった。個人的には旧作のDMで使用されている作品が好きだったけれど、真作は層を重ねたような抽象画になっていた。

・町田久美 「Stories from a Cold Country」西村画廊 2/5まで
文化庁在外研修(デンマーク、2008-09)後初となる個展。ドローイングや版画含めて28点程の作品を展示。最後の大作はまだ完成していないようで、今日か来週頭には展示されている筈とのことだった。
これまでに雲肌麻紙に墨を使用した作品だけでなく、今回は通常のキャンバスに日本画の画材を使用して描いた小品、本当に小さい作品が何点かあって、それらは、これまでに町田さんの作風と大いに変化していて驚く。これまでのちょっと毒っぽさが好きだった人には物足りないかもしれないが、徐々に以前あった怖さが薄まっていっているように感じた。
支持体への関心が強いとのことで、今後もどんどん変化を見せてくることは間違いない。あの小品は大作へつなげるための試作なのではないだろうか。

・山上渡「エデン/ Eden」 Maki Fine Arts 2/19まで
2009年の川崎市岡本太郎美術館主催の「岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞。間違いなく2009年なら岡本太郎賞での展示作品を拝見している筈だが、受賞作品を観ても思い出せなかった。
今回は新作の油彩10点を中心に展示しており、コマーシャルギャラリーでの初個展。
彼が描いているのは「山」の一部なのだろうか。空間に奥行きを出している作品、特に大作の油彩もあれば、デザイン画のようなドットを使用した作品もあり。私の好みではないが、入口正面に展示されている3角形のボードに描かれた作品が一番良かった。

・大沼茂一写真展 「八色(やしき)」Foil Gallery  1/29で終了
大沼さんの写真も初めて拝見する。写真そのものより、展示の仕方の方に目が行った。
スナップショットを壁に虫ピンでバラバラな方向に留めてある。中にはわざと下向きにして留めてあったりと面白い。ただ、これ!という1枚が見つからなかった。スナップの中に1点発色の良い赤の花の写真があった、その1枚が印象に残った。

・中平卓馬写真展「Documentary」 2/27まで
これは別記事を書いた方が良かったかもしれない。とりあえず先に書いておく。中平さんの新作含むカラー作品約150点、71年撮影のネガよりモダン・プリント約10点を展示。
私個人は71年撮影のネガからとったモダン・プリントの作品にとても強く惹かれた。1点1点どれもが、この瞬間でなければならない必然性を感じたし、ひどく惹きつけられるものがあった。
一方カラー写真は、いかにもありがちな日常の風景を撮影しているにもかかわらず、やはり中平卓馬がシャッターを押した、彼のファインダー越しに捉えたものたちが容赦なく、美しく時には儚く、もろく現実を捉えているのだった。カラーの方は額装なし。でも、今も思い出せるぐらい1枚1枚が鮮明に記憶に残っているのはこの人の写真だけだな。
月曜社から新たに出版された雑誌に掲載された中平卓馬のマガジンワークをおさめた『都市 風景 図鑑』(中平卓馬マガジンワーク1964-1982)は素晴らしい。これは、Nadiffで先週、即買いしてしまった。今回展示されているカラー写真の写真集も発売されているが、印刷の出来栄えが良い。

・「青木千絵 -URUSHI BODY-展」INAXギャラリー2 1/28に修了
金沢美術工芸大学工芸科出身の29歳。漆の作家さん。漆工芸に強い関心を持っている私としては本展は見逃すことのできない展覧会で、最終日に駆け込んだ。
人体を漆で造形した作品。漆彫刻であるが、滑らかな曲線、脚先の細かく美しい表現は、工芸というより彫刻そのもので、その素材に漆を使用して黒と言っても漆の黒はニュアンスがあり、見る角度によって表面の見え方が違う。
まるで妊婦のような人体彫刻群は、古代彫刻のようでもあった。

この作家さんの作品はもっと観てみたい。

・「高柳むつみ 展 -くうきをうつす 磁器/やまびこのアロー-」 INAXギャラリーセラミカ 2/1まで
中国のやきものによく見られる金彩を使用した作品。曼荼羅風の派手なものもあるが、造形的な工夫が凝らされている。

・「野田裕示 -収穫の試み-」 東京ユマニテ 1/29で終了
野田裕示(のだ・ひろじ)は1952年和歌山県生まれ。この展覧会は良かった。野田氏の作品は恐らく初見であるが、特にアクリル絵具を使用した絵画は小品、大作ともに、抽象と具象のはざまにあるというか、モチーフを極端に単純化したため、抽象的に見えるだけで実際は具象なのだが、色のバランスといい圧倒的に上手い。

・「リニューアルオープン展 再生 -Regenerate-」part1 ギャラリーmomo両国 2/5まで
以前のスペースからほんの数十メートル。大通りから少し中に入った所に移転したが、JRの両国駅からだと歩道橋を渡ればすぐ。大江戸線からだとちょっとだけ遠くなった。ちょっとだけ。以前より少し狭くなったとのことだが、ほとんど狭さは感じられない。
part1は、大坂秩加・大谷有花・奥田文子・小橋陽介・坂本真澄・佐藤栄輔・篠原愛・中矢篤志・早川知加子・人見元基・平子雄一・福島淑子・吉田和夏らの作品による取扱作家によるグループ展。
実はオープニングに行って、お目当ての大坂秩加さんと作品を前に初めてお話することができた。今回、大阪さんはリトグラフ1点のみ出展しているが、うどん屋さんの娘シリーズで今後も同シリーズが続いて行く。
前に観た作品はおどろおどろしさがあったけれど、今回は明るく楽しい作品で、私はコチラの方が好き。婚活がテーマになっているそうで、現代事情を風刺した作品ともいえる。
他には、坂本真澄さん、彼女は以前両目を描いていたのに最近の作品はどれも片目が白目でちょっと怖い。完全ではないということを表現したいから塗っていないらしいが、う~ん。

吉田和夏さんのミクストメディアがやたら愛らしくて良かったな。

part2は2月8日(火)-2月26日までで、阪本トクロウさんはじめ小野さおりさんらの作品が登場するので見逃せない。

・笹本晃 / Strange Attractors TAKE NINAGAWA 1/29で終了
上京3年目にして、漸くTAKE NINAGAWAに行くことができた。麻布十番はめったに行かないし、六本木には直接出ることが多いので、なかなか脚が向かなかったが、今日(1/29)に笹本さんの最後のパフォーマンスがあり、twitter上で「観た方が良い」という呟きを見つけ、行ってみることにした。
結果、観ることができて本当に良かった。
数学的なアプローチをしたパフォーマンスであり展示作品のようだが、通して彼女の話や動きを観ているだけでは何?という感じかもしれない。でも、とても面白かった。
こういうパフォーマンスは好きだなぁ。
最終日の最終回ということもあって狭い展示室は観客で身動きできないほど、それでも、笹本さんの「ていうか動いてる?!」の声とともに、ぞろぞろ動く観客(私含む)。観客とパフォーマーが一体になったような、それだけ作品に取り込まれた。

・青木野枝 「流れ、落ち続ける」 ギャラリー・ハシモト 1/29で終了
瀬戸内芸術祭以来、久々に青木さんの作品を拝見する。瀬戸内にあったのと同種の円環を繋げた鉄のオブジェ。大きい物数点、小さい作品が多数あった。奥の事務スペースにはドローイング?も数点あり。
オブジェの中に入って外を眺めてみたら、風景は違って見えただろうか。

・「ignore your perspective 11」児玉画廊東京 2/12まで
関口正浩、杉本圭助、田中秀和、堀川すなお、八木修平、和田真由子の6名のアーティストによるグループ展。特に気になったのは、堀川すなおの作品。支持体そのものを作品とするような彫刻的な平面作品。テクスチャーと視覚的な歪みやひずみの生み出すアンパランスさに目が釘付け。面白い。

・リナス・ファンデ・ヴェルデ/五木田智央/佃弘樹 NANZUKA UNDERGROUND  2/5まで
NANZUKA UNDERGROUNDは、私の苦手とするギャラリー。白金のコンプレックスに行く時には必ず立ち寄るが、早々に退散することが多い。しかし、今回は過去最長滞在時間となった。ベルギーのリナス・ファンデ・ヴェルデがとても気に入ったのだ。ウィリアム・ケントリッジのドローイングや同じく南アフリカ出身のマルレーネ・ヂュマスに若干似た作風だが、モノトーンで描かれた大作3点に惚れた。
カッコイイ。他の2名とのマッチングも良かったと思う。

・立石大河亞個展「音雷韻走査」山本現代 2/5まで
立石の94年作「音雷韻走査」、「大地球運河」、「情報守護神」を中心に、立石のポートレートが描き込まれた「富士のDNA」、故郷が描かれた「昭和二十一年筑豊之図」という大変貴重な作品を展示している。「音雷韻走査」、「大地球運河」、「情報守護神」は長く企業が所蔵していたため、公開される機会がなかったとのこと。
現代における宗教絵画のように私には見えた。かつ岡本太郎の作品を思い出させる。
古代に回帰し、縄文土器や青銅器文様のようなモチーフが登場する。そして極端な遠近技法。
これは美術館でもなかなか観られない大作ばかりだった。

・ロンドンギャラリー
最後はロンドンギャラリー。今回は古陶磁中心のしつらえ。中でも池大雅の書「祇園」を観ることができて幸せだった。春日の曼荼羅が最初あったが、絵画作品の展示替えの真っ最中で、別作品も両方拝見することができた。
猿投窯の焼物や鼠志野、縄文の土面などあり。眼福。


他に、TARONASUのライアン・ガンダー展とギャッライーαMの「複合回路」石井友人展は別記事にする。特に、石井友人展は素晴らしかった。必見だと思う。

2011年1月11日~1月23日の観賞記録 美術館・博物館編

年初に、今年は観に行った展覧会やギャラリーの記録を漏らさず書くと自分に誓ったが、わずか一ヶ月も経過せぬうちに、既に崩壊の兆しがある。

ということで、既に書いていない展覧会、個展の感想を一気に纏めます。観た順番の記憶が曖昧なので、思い出した順に。

・「プライマリー・フォールドⅡ 絵画の現在-七つの<場>との対話」神奈川県立近代美術館葉山 1/23終了
twitter上では、好意的な評価、中には既に今年度ベスト入りの予感・・・などの呟きがあるかと思えば、そうでもなさそうな呟きもあったり。同じ神奈川近美鎌倉別館の山下菊二コラージュ展と合わせて鎌倉方面に行きたかったので、それを待って行って来た。
展覧会の作りとしては不親切。出展作家は7名、高橋信行、小西真奈、保坂毅、三輪美津子、東島毅、伊藤存、児玉靖枝の7名なのだが、なぜこの7名を選択したのか、少なくとも会場だけでは分からない。図録を読めば分かるのかもしれないが、いちいち図録を読まないと分からないような展覧会は公立美術館の展覧会としてどうなのだろう?と思ってしまった。作家名のみしかパネルはない。
チラシによれば見るたびに初めて見るような形に出会える展覧会とのこと。
既に知っていたのは、小西、伊藤、児玉の3名(敬称略)。伊藤存は、昨年大山崎山荘美術館での展覧会がとても良かったし、彼の作品はホワイトキューブより、庭園美術館や大山崎山荘美術館のような一種独特の空間の方がマッチしている。その記憶があるため、今回の展示は物足りない。
他の6名も然り。保坂は出展作家中最若手で、不定形の半立体の支持体を使用した抽象絵画。あくまで、好みの問題だが、強いインパクトはなかった。
中では東島のインスタレーションのような巨大な抽象絵画とガラスを使用したミクストメディアの組み合わせが一番強く印象に残っている。
三輪美津子の≪床下の死体≫はミステリー小説の一部のようだった。

・「ひと/HITO」展 神奈川県立近代美術館鎌倉館 既に終了
こちらは、展覧会の主旨が明確で、所蔵作品展とは言えさすがの名作揃い。東近美に負けるとも劣らぬコレクションを披露、「ひと」のイメージの諸相を以下の5つに分けて探るテーマと展示作品に一貫性がありとても良い内容だった。
第1 部:かお
第2 部:からだ
第3 部:生きているひと
第4 部:死と向き合う
第5 部:HITOとは
印象に残った作品としては、関根正二「村岡みんの肖像」、中川一政「青山二郎像」、松岡壽「童児」、三岸好太郎「横向きの進化」、松本竣介じゃ全部で4点、麻生三郎「寝ている男」シリーズ、高松次郎「世界の壁」、ジャコメッティの裸婦小像など。ジャコメッティの像は、ミニチュア並の小ささなのに存在感があって、古代の土偶を思い出した。
展示品70点で、企画展と言っても良いような充実度だった。

・「山下菊二 コラージュ展」 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館 3月27日迄
2009年度に寄贈された山下菊二のコラージュを中心に紹介。展示作品の中心は《戦争と狭山差別裁判≫シリーズ。冤罪という非常に重たい社会的な問題を絵画化する仕事は、山下の中に宿る正義感ゆえだろうか。
文字と絵画で画面構成されたコラージュは、見ていると恐怖を感じる。来て良かった。

・「歴史を描く-松園・古径・靫彦・青邨-」 山種美術館 2/17まで
山下裕二教授による解説付きの特別観賞会に参加。見どころは松岡映丘≪山科の宿≫という縦幅の長い、長大な絵巻、しかも詞書は、当時東京美術学校(現東京藝術大学)の第五代校長の正木直彦であるが、非常に達筆。
しかし、もう1点展示される予定の合作絵巻≪伊勢物語≫は松岡映丘の描いた部分は後期の展示替えで出展されるそうでがっかり。ごく最近、佐倉市立美術館で予定されている人形作家の平田郷陽の調査の中で、松岡が平田に自分の人形制作を依頼していることが判明。写真が発見されたが、肝心の人形はいまだ見つかっていないらしい。佐倉市立美術館の展覧会までに何とか発見されて欲しい。チラシの小堀鞆音≪那須宗隆射扇図≫は、日本のヤマトタケル信仰の一端として紹介されていた。
上村松園の「砧」が出ているが、いつ見ても美しい作品。

・「みえないちから」 ICC 2月27日まで
オスカー・フィッシンガー、エキソニモ、小金沢健人、志水児玉、堀尾寛太、フォルマント兄弟の出展。
ここのギャラリーAは入場料一般500円だが、ここでは小金沢の映像≪ほこり≫が良かった。
堀尾寛太は私の好きな梅田哲也さんや毛利悠子さんもそうだけれど、最近こういった電池や既存の日用品を使用し、偶発的に動きを見せたり音を出させたりする作品がやたら多い。

無料ゾーンのクワクボリョウタの作品が一番良かった。プラレールのように模型列車を走らせ、影を使用したインスタレーション。列車の動く速さに緩急があり、影の形も様々に変化させる。

・プロジェクトN 吉田夏奈 東京オペラシティアートギャラリー 3/27まで
吉田の作品は「TWSエマージング」で昨年拝見したと思う。今回は全長40mにも及ぶ長大な山の風景画を中心とした構成。ワンダーウォールでの作品と同じ技法だが、何しろ大きい。今後100mまで延長させていくらしい。
幾何学的な面で構成された山の表現が特徴的。

・100かいだてのいえのひみつ 岩井利夫がこともたちと作る絵本と遊びの世界展 武蔵野市立吉祥寺美術館 2/20迄
岩井俊雄は、メディア・アーティストとして活躍していたが、自身の子どもの誕生と武蔵野市での生活の中で、絵本作成を思い立った。
彼が作る絵本は縦に伸びる絵本。本展では、原画を含め、岩井自身の言葉による解説で展覧会をまわる。
中央に絵本の世界を立体化した家ができていた。
小さなお子さんと一緒なら、必ず楽しめます。

・「木村伊兵衛賞」 川崎市民ミュージアム 既に終了
楽しみにしていた展覧会だが、全体の感想としては物足りず。歴代の木村伊兵衛賞作家の作品を展示するとのことだったが、特に過去の作家になる程展示作品が少なかった。
会場の大きさの都合なのか、途中で受賞者の順序が飛んで別の展示室になっているので、流れがうまくつかみきれない。
むしろ、同時に展示されていたデュシャンの映像作品の方が面白かった。

・「室町三井家の名品」 三井記念美術館 1/29迄
さすがの室町三井家。茶道具の名品の数々にうっとり。
国宝:志野茶碗:卯花墻は何度か観ているが、今回一番目を惹いたのは特別出品されている国宝「古今和歌集 元永本 下帖」(東京国立博物館蔵)。料紙の美しさは全部のページをめくりたくなる衝動にかられる。

「古銅桃底花入 伝利休所持」、大井戸茶碗銘須弥(別銘 十文字)朝鮮王朝時代にとりわけ熱いまなざしを送ってしまった。この他「紅花梨木地秋草蒔絵茶箱」は中身も含めて、ちいさきものはみなうつくしの世界。
ハッとしたのは、墨蹟「清拙正澄墨蹟」や「愚極智慧墨跡」などを拝見すると背筋がピンと伸びる。カツを入れられたような心持がする。
この展覧会は、かなりのお客さまで賑わっていた。会期末にはまた混雑しそう。

・「三代徳田八十吉展~きらめく色彩の世界」 そごう美術館 2/13まで
TVでも紹介されていたと思うが、まさにきらめく赤を除く黄色、青色、緑色、紫色の世界。組み合わせによって、今では200色以上の色を作り出せるという。
伝統的な初代の所有していた古九谷の名品も展示されており、新旧の名品を一堂に会し眼福に尽きる。
そごう美術館のやきもの関連の展示方法は、いつもながら見やすいし、作品をより美しくみせる気配りがされている。
三代のモダンかつ斬新なデザインの美しさと色の選択に素晴らしいセンスを感じた。
元々、九谷焼の窯元の家に生まれながら、九谷が嫌いだと言ったら、それなら新しい九谷焼を創り出す才能があると有名作家(誰だったか失念)言われ、この道に進んだらしい。
デパート系の美術館の中では最高峰だと思っている。来年度は蕗谷紅児の展覧会も予定されているし、これからも楽しみ。

東京藝大先端の卒業修了制作展と練馬区立美術館「宮芳平展」は別記事予定。

2011年 1月7日~9日の鑑賞記録

まだ記事を書いていない展覧会、個展、グループ展の鑑賞記録です。

・「モネとジヴェルニーの画家たち」       bunkamura museum
ジヴェルニー村をテーマにモネだけでなくアメリカ人の印象派画家とその作品を紹介。以前、名古屋ボストン美術館で似たような内容の展覧会を観たような。
最後には、どの作品も全部同じように見えて来た。

・「ネオリアリズム-新たな時代の空気-展」     bunkamura  gallery
超写実派というのがあるのか不明だが、写実派の現代作家の作品が中心。やはり、1番好みなのは山口英紀さんの作品。一点だけだったが、これまでより背景に何か手を施しているのか、古びた写真のようでもあるが、やはり絵画。石黒賢一郎の作品も絵肌の質感が気になった。

・「福沢一郎研究所」    板橋区立美術館    1/10迄
福沢一郎の作品は群馬県立近代美術館リニューアル展だったかの時に沢山出展されていて、群馬縁の画家であること、そしてその存在を初めて知った。
しかし、元々福沢の絵画は私の好みではないので、他の美術館で見かけることはあってもそれ以上深くその画業を知ることはなかった。本展は日本近代絵画のシュルレアリスムを知る上で非常に重要な内容であり、またピンスポットで福沢一郎が開設した絵画研究所とそこで学んだ画家たちを丁寧に紹介している。
極めて良質な展覧会だった。

・「油絵の魅力    イズムを超えて」     和歌山県立近代美術館   2/13迄
開館40周年記念最終回となる第三弾。ちなみに第二弾は、宇都宮美術館に巡回中の創作版画展。彫刻、版画と続き最後は絵画で締める。

それにしても和歌山近美のコレクションは素晴らしい。
最初、企画展と思っていたのが常設展で、二階が企画展と知った時には驚いた。既に一階の常設だけでもかなりの量。
企画展と常設が一連の流れのようになっていたが、マーク・ロスコやベン・シャーン、そして松本竣介の「三人」を観られただけで十分嬉しかった。

・「保田春彦展   近作デッサンを中心に」    和歌山県立近代美術館   1/30迄
この展覧会は神奈川県立近代美術館鎌倉分館でかいさいされていてものの巡回だと思う。鎌倉で観られなかったので、こちらで観ることができたのはラッキー。
こちらも、非常に良かった。彫刻家の裸婦デッサンがあれだけ美しいとは!!!これはオススメ。

・「緊急アピール    文化財の盗難多発中」   和歌山県立博物館   1/10迄
ここ数年和歌山県では文化財の盗難が多発している。文化財の重要性、盗難から大切な文化財を守るにはどうしたら良いか、まずは近隣の人々への警鐘と注意喚起を丁寧な解説と実際の作品によって解説する。
本当に基本の基本からの説明で、彫刻とは?掛軸とは?、金工、絵巻物、書跡、典籍等文化財の種類もパネルで解説されている。
これだけ丁寧なキャプションや解説パネルを作るのはさぞや大変だろうと担当学芸員氏の奮闘が推しはかられる。

盗まれてしまった文化財、牛頭童子像頭部や浄妙寺の十二神将立像を観ていると痛ましく、本展が少しでも盗難防止に役立つことを願うばかり。

・「筆墨精神」     京都国立博物館
別記事あげますが、これも流石の物量質。最後は集中力が尽きたので後期に再訪する。

・「京都市立芸術大学大学院美術研究科博士過程展第1期」   1/10迄
樫木知子(油画)、上原徹(版画)、佐野暁(漆工)
こちらもオススメ。樫木知子の作品が目当てだったが、樫木は勿論期待通り、いやそれ以上だが、漆工の佐野の展示が衝撃的だった。
クマさんを乾漆でしかも漆の様々な装飾技法を駆使して、漆のクマさんワールドを作り出していた。
余りにも面白いので、彼の博士論文も通読させていただいたが、これまた面白い。
各章の繋がりにやや無理があるようにも思ったが、個人的に漆とは何かから始まり、なぜ漆のクマさんを作るに至ったかはよく分かった。
論文コピーが欲しい。

・星野画廊
京都に行ったら必ず立ち寄る。今回も稲垣仲静、秦テルヲ、里見勝蔵、他多数。美術館でも観られないような名画が然程広くない空間にみっしり。
眼福。

・「伊吹  拓   あるがままにひかる」   neutron kyoto 1/23迄
実は京都のneutronは初めて。先日、再スタート宣言が出てtwitterのTLが賑わっていた。
今回は、伊吹拓のペインティング。
DMを観て行ってみることにした。線を重ねる抽象作品。再奥のパステルの小品三点が好み。

2011-01-8~13 2011-01-G3~G6

2011年1月2日 鑑賞記録

本当は、朝一番で東近美のお年玉(図録プレゼント)を狙おうと思ったのですが、やはり起きられず。最近、やや夜型に移行しているので、生活の立て直しを図らねば。

ということで、11時頃家を出て、夕方頭痛の症状が始まったので帰宅。手短に鑑賞記録です。

1.「江~姫たちの戦国~」展 江戸東京博物館 2月20日まで

今年のNHK大河ドラマは「江~姫たちの戦国~」で上野樹里が江姫役とか。水川あさみが姉の初姫役、この配役で「のだめカンタービレ」を思い出すのは私だけではないだろう。
展覧会はまさに、この大河ドラマのために作られた内容。いわゆる番宣。
1月11日からオンエアの初回を観てから行くも良し、観る前に予習で行くも良し。
人間関係が分かりやすく解説されているので、そのあたりをしっかり押さえてドラマに臨むと良いと思います。
個人的には、今更感が強かった。

なぜか、一番印象に残ったのは秀吉が側室松の丸の腹痛を心配して送った消息(手紙)。過剰なまでの心遣い。秀吉の人物像の一端を垣間見る。むしろ、松の丸のそっけない返事と比較すると尚面白い。

2.「林芙美子と東京放浪」 江戸東京博物館常設 1月10日まで。
<展示構成>
1.『放浪記』以前
2.東京放浪
3.職業放浪
4.放浪の終わり

先日職場で、なぜ5千円札は樋口一葉なのかという話題が出て、林芙美子の名前もその時挙がった。『放浪記』が有名だけれど未読。
今回は、林芙美子の放浪人生を辿りつつ、当時の世相や風俗に関する展示も併せて紹介している。
華麗なる男性遍歴、しかし最後には画家である夫:手塚縁敏をしっかりGETし、『放浪記』も売れたため、最後は裕福な人生を送ったようだ。
東京放浪中に様々な職業を転々とし、自らの経験を小説化するという。バイタリティ溢れる大正のモダンガールの生きざまをみた。彼女の遺品であるヨシノヤ製のパンプスは今でも履けそうなデザインだったな。

織田一麿の絵画、版画?も複数枚出ていたり、山名文夫の「カフェバー広告図案集」、今和次郎の「新宿飲食店分布図」「銀座のカフェ―女給さん服装」、平塚運一「仲見世」、そして最後には林芙美子自身が描いた自画像もあって、さすがに上手くはないが、絵が好きだったんだなぁと。そして、負けん気強そうな人だなと自画像を観ながら思った。

3.特集「明治流行 うさぎづくし」 江戸東京博物館常設 2月13日まで
今回の江戸東京博物館での一番の驚きはこれ。
明治時代に、江戸時代には外来種で日本にはいなかったウサギが入って来て、俄かにウサギブームがやってくる。
特に人気があったのは白地に黒の斑点の「黒更紗」と呼ばれたうさぎ。
このウサギブームによって、ウサギの売買が盛んに行われ、「兎番付」やら売買をめぐって、殺人事件や詐欺事件が起こるなど、明治時代は大変なことになっていたようだ。
諸々の事件のエピソードが展示されているので、展示資料と合わせて読むと面白い。これも明治という時代を象徴している。


この後、写真美術館に「ニュー・スナップショット」展とスナップショット展を観に行く。2回目。今日は新進作家のニュースナップショット展のアーティストトーク(小畑雄嗣と池田宏彦)があったので拝聴。一応、メモは取ったが、池田宏彦さんの映像作品の音楽は気になっていたので、あれが誰のどんな曲でなぜその曲を選択したのかが分かったのは良かった。
彼の場合、イスラエルというモチーフそのもので目を惹く。写真より私はむしろ映像の方が良いと思っていて、トークを聴いて、どこから観ても良いけれど、最初から順を追って観るように制作されたと聞いて、頭から観て良かったと納得。


3階の「スナップショットの魅力」展は、2回目だともろに個人的な好き嫌いがはっきりする。
1回目では、それ程でもなかった写真家の作品が気になったり、逆もまた然り。
でも、ライアン・マッギンリーが良いと思ったのは変わらず。
むしろ、2回目で面白いと思ったのは、ポール・フスコのロバート・ケネディ大統領の葬送列車を見送る写真シリーズ。これは、じっくり観た。
今回の「スナップショットの魅力」展出展作家の中で、ザ・サートリアリストとライアン・マッギンレーの2名は昨年の東京フォト2010でジェイムズ・ダンジガ―(元マグナムフォト・アメリカディレクター)が推薦する世界の10名の写真家に含まれていた。過去ログ ⇒ こちら

ウォーカー・エヴァンズ。リチャード・アヴェドン、特にアヴェドンのディオールの新作を撮影した1枚はドレスをあれだけ美しく、造形重視で撮影できるのは神業。アヴェドンは他の作品をもっと見たい。

鷹野隆大の男性ヌード以外の写真は今回初めて観た。初公開だった筈。「カスバ」と名付けられたごくどこにでもあるような日本の街の風景。鷹野によれば「どうしようもなく退屈な場所をかすみたいな場所として、カスバと名付けたが、嫌なんだけどイイ感じがある。カスバは自分を生み出した土壌であり、自画像みたいなもの」。
このシリーズの中に、どこかで見た風景がと思ったら、愛知県・豊田市小阪本町だった。私は昔、この辺りによく行っていたので妙に懐かしかった。

2010年12月26日 鑑賞記録

今年も残すところあとわずか。
社会人になってからというもの、冬休み、年末年始の感覚が希薄になっているのは勤務先の年末年始休暇が短いせいかもしれない。私の仕事納めは30日。

さて、今日の鑑賞記録です。池田龍雄のアヴァンギャルド展含め、特に印象に残った展覧会は来週以後別記事をあげるつもりです。

<美術館>
・「アルブレヒト・デューラー版画・素描展」 国立西洋美術館  1/16迄
デューラーの版画をどうこう言う前に、今回一番気になったのは、版画技法の作品に与える影響の大きさ。
木版、エッチング、エングレービング、ドライポイント。
やはり、デューラーの木版画は素晴らしいが、銅版画と比較すると緻密であることは相違ないが、線の太さの違いは素人目にも歴然としている。
デューラーの線の美しさはエングレービング技法をもって集大成を見た。
わずかにエッチングとドライポイントによる版画が数点あったが、エングレービングほどデューラーの良さを伝えていない。ドライポイントは、別の意味で面白い雰囲気を醸し出していたので、たった3点しか残していないのはやや残念。
この展覧会を機に以前から気になっている『西洋版画の見かた』を購入したら、案の定、デューラーの作品を例として各技法の説明が語られていたので、自分の疑問と関心が満たされた。

・「大正イマジュリィの世界」 渋谷区立松濤美術館   1/23迄
上京して以来、弥生美術館に足繁く通うようになったこともあり、知らない画家は殆どいなかった。
この展覧会は章立て、展覧会構成と驚くべき数の古書の装幀や挿絵が展示されていることである。
これほどの数の、装幀本が並ぶのはちょっと記憶にない。
以前から神奈川近美や愛知県美に巡回した「誌上のユートピア」展が開催されたが、それを上回っているのではないか。
とにかく、作品数が多いので時間に余裕をもってお出かけください。
なぜか、2階のソファで疲れ果ててうつらうつらしている男性(なぜか男性)が5名はいらっしゃった。しかも若者が多かったのが不思議。
せっかくの展覧会なのに、図録が一般図書として販売され、サイズが小さく、本展の売りだと思う折角の装幀本の数々が2cmほどの極小図版にされているのは、何とも残念でならない。しかも展示作品全てが掲載されていない。これで2300円は高いように思った。代わりに再販売されていた93年の絵葉書展の図録を購入。

・「REALITY LAB 再生・再創造展」 21_21DESIGN SIGHT   12/26本日終了
先週根津美術館に行く途中、以前ブランド「me」が入っていたテナントが、別のお店に変わっていたので、中に入ってみたら、それが本展で紹介されている三宅一生の新ブランド「123 5」のブティックであった。
折り畳み式の折り紙のようなデザインとポリエステルなどの古繊維を再生して作られた繊維で再創造された洋服は、まさに近未来的なデザイン。
しかし、中には日常着ていてもそれ程目立たないであろうカッコ良いスカートや上衣もあった。
展覧会では、この新ブランドができる過程を映像その他で見せるが、それ以外に、元々発想の源になった、物理学者の方の視点による様々な「石」の展示があって、これが冒頭なのだが、興味深かった。
恐竜のお腹にあった石とか。隕石とか。
ところで、建築家の石上純也もそうだったが、デザインや設計をする方はみな物理学に非常な関心を寄せていることが更に興味深い。デザイン、建築に物理は不可欠なのだろうか。

<ギャラリー>
・阪本トクロウ 「けだるき1日生きるだけ」 アートフロントギャラリー        12/26本日終了
作家さんが在廊されていたので、お話させていただいたが、ひどい風邪をひかれていて声を出すのもお辛そうで。
そんな状態なのに、真摯に質問に答えて下さって有難うございます!
今回は。更にモチーフが単純化され、余白が多くなっている作品が多かったように思った。1点、夜景を描いた作品があって、その作品が一番気になった。
まだ実験的な作品がだとのこと。
ところで、阪本さんが影響を受けた画家を今回初めて知った。
特に強く影響を受けているのが、浮世絵、中でも広重。他には、小野竹喬、福田平八郎、構図的には横山大観、そして、師の千住博氏だとのこと。
千住さんは、とても描くのが早いと、阪本さんが仰るのだから余程のことなのだろう。この秋家プロジェクトで観た千住さんの作品は素晴らしかった。

・塩田正幸 SFACE " DNA”   G/P GALLERY  1/30迄
これは、詳述したいけれど、写真の展示も無論あるが、どちらかと言えば、1点もので写真にプラスαした作品が多く、作品の見せ方も立体的だったり、額縁の装飾も含め、写真家という枠にはおさまりきらないアーティストだと思っている。
写真そのものもいいなと思う作品があった。

MEMは所蔵作品展のような形で複数名の作家による展示。鉛筆のドローイングを出している海外作家の作品が気になった。 
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