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2010年12月25日 鑑賞記録

クリスマスイブの夜は、東京都写真美術館の17時半以後無料の恩恵に預かり、どっぷり素敵な写真展示に囲まれ幸せな気持ちに包まれた。
その後、渋谷のシアター・フォーラムにて映画:「荒川修作 死なないこども」を鑑賞。
これを観て帰宅後、すごい疲労が襲って昨晩はブログを書かずに終わる。

そして、本日久々に10時間以上睡眠を取って、起床したら11時で驚いた。そして、朝から頭痛の予兆があり。
しかし、今日は行かねばならない所がいくつかあって、何とか起きだして出かけた。案の定、帰路から激しい頭痛、漸く薬が効いて来たので今日はさぼらず観たものを書いておく。そんな苦しいクリスマスの鑑賞記録。

<美術館>
山種美術館:「日本美術院の画家たち」12/26(日)まで
今回の見どころは、3年ぶり?だったか久々に小林古径「清姫」シリーズの8点。
古径の線の美しさが、この作品ではとりわけ引き立つ。

私の好きな小茂田青樹の「春庭」「妙高山」「丘に沿える道」と3点も出展されていたのが嬉しい。
小茂田青樹は、速水御舟と同時代の日本画家であるが、御舟ほどピックアップされず、いつも1点か2点ひっそりと展示されているので、3点は嬉しかった。しかも「丘に沿える道」はかなりの大作。私は小茂田の色が好き。

あとは、御舟の「翠苔緑芝」や菱田春草の月四題のうち「夏」「秋」など。
戦後の作家では、吉田善彦尾瀬三趣のうち「草原の朝」「水辺の夕」が日本画らしからぬヴェールをまとったような優しい雰囲気で、異色さを出して印象に残った。

森田の病める天子も怖かった。
さすがに、何度も通っていると既に観た作品も多い。今回は特にその印象が強かった。

<ギャラリー>

・「下平千夏 -implosion point-展」 INAXギャラリー2
http://www.inax.co.jp/gallery/contemporary/detail/d_001748.html 

下平さんは、今年の春の東京藝大先端芸術表現科卒業|修了制作2010"「chasm」 / BankART ,神奈川での展示が凄く良かったので、どうしてもこれだけは見逃したくなかった。
お名前をすっかり失念していたが、ギャラリーのサイトで作品を拝見し、すぐに思い出し最終日に駆け込み。
修了制作展示同様、輪ゴムを極限まで使っての三次元インスタレーション。
今回は中央部に吸い込まれるような印象を受けるが、やはり強烈なインパクトがある。若干会場が輪ゴム臭いのは致し方ない。
手前の小さなショーケースではボンド(接着剤)を使用したオブジェがあって、こちらも美しい。
元々、大学では建築を専攻されていたと今回初めて知ったが、特に輪ゴムの作品にはそれが反映しているように思う。最大の問題は、これらの作品は販売することが困難だということだろう。
ペインティングや彫刻などと違って、インスタレーションは販売が難しい。ことに彼女の作品はそれが顕著で、ミニチュアにしてしまっては、作品から受ける印象が大きく変わってしまうだろうし。
いっそ、海外に活躍の場を移したらどうかなどと勝手に思ってしまった。だから作品が売れるというのではなく、もっと発表の場を得られるのではないかという素人の浅はかな思いつきです。

・「最後の探検家 松浦武四郎」 INAXギャラリー
これは、展示も面白かったが、むしろブックレットが凄かった。このブックレットは欲しい。造本として手が込んでいる上に、ビジュアル的にも美しい。
しかも河鍋暁際に「涅槃図」を描かせるあたり、大胆というか奇人対奇人の丁々発止のやりとりが目に浮かぶ。

セラミカは省略。

・『西野達 別名 大津達 別名 西野達郎 別名 西野竜郎』西野達作品集出版記念展  アラタニウラノ
1/8まで(12/26~1/5まで冬季休廊)
西野達の作品集出版記念と言うことで、写真付特装版の写真の展示が中心。ドローイング数点、立体1点。
豆腐大仏の写真と東京タワーに一筆加える作品。
特段の魅力は感じない。西野達は、やっぱりあいトリで見せてくれたようなあっと驚くオブジェというかインスタレーションというかミクストメディアが魅力だと思う。
作品集は良い出来だと思う。

・GALLERY COLLECTION 彫刻 Takuro Someya Contemporary Art 1/29まで 冬季休廊12/26~1/3
彫刻を中心としたグループ展。
やはり、お目当ては鈴木基真の木彫と、石井琢郎の石彫。
どうにも石井琢郎の石彫のストイックさに惹かれてならない。今回は、旧フランス大使館で行われたNO Man'S Landの出展作品が入口入ってすぐに展示されていた。
やはり、これくらい大きいと存在感があって、素材になっている石自体が大きいので更に訴えかけてくるものが強い。いつものように中は空洞だというのに。。。普通なら到底持ち上げられないが、中が空洞になっているため(石井さんが彫って空洞にし、ところどころに穴が開いた表面だけにしてある)一人でも持ちあげられるらしい。

鈴木其真の作品は群馬青年ビエンナーレ入賞作品+α。袋が下についていた塔の木彫が面白いがやはり、どの作品にも人は一人もいない。

清澄白河のギャラリーに行ったら新しいギャラリーが2つも入っていて驚いた。
・「AK INOMATA “インコをつれてフランス語を習いに行く”」 AI KOWADA GALLERY
これが、件の新しいギャラリー11月に入っていたらしいが、ちょうど私が行った後に移転して来たと思われる。
今回は、“やどかりに『やど』をわたしてみる”という写真と映像(約5分)+やどかりの上に乗せる樹脂製の都市をあつらえた立体の3点セットが欲しくなってしまった。
やどかりの動きが可愛い。オブジェだけ単独で飾っても良いし。
このやどかり達は作家さんが実際に飼育している10匹もいるやどかり達の映像と写真。
都市は作家が行きたいけどなかなか行けない場所をモチーフに選んで全部で6都市だったか。樹脂の展示はそのうち2点だったが、映像はNYのもの、写真は確か4点出ていた。いずれもエディション3まで。

新作インコの映像はいまひとつ分からなかった。というより、頭はやどかりで一杯になっていた。作家さんもいらっしゃっていて、とても美しくてこちらの方がドキドキしてしまった。ここはオーナーの小和田氏もとても美しい女性だった。作品には関係ないが、ついつい美人を観ると嬉しくなる。

・「榎倉冴香 Pink Ashtray 」 SPROUT 
こちらも新しいギャラリー。雑誌も手がけている方がオーナーでギャラリーをオープンしたそう。
榎倉さんは、父、祖父、三代にわたる画家一家だとか。
そんなことはさておいて、個人的には一番奥にあった鉛筆画の作品1点が一番好きだった。ペインティングはまだまだ定まってない感じ。良いものとそうでないものの落差が激しい気がした。

・「丸山直文 透明な足」 Shugo Arts  12/25最終日
丸山さんの新作は、これまでと大きく変化していたので驚く。もちろん、独特の色遣いは変わっていないが、より抽象化されている。滲みやぼかしがより強くなって、モチーフがより曖昧になっているが、なぜか私はこれまでの作品より今回の新作群の方が好み。
全部で9点、小品は1点、に囲まれてとても良い気持ちになれた。

・LEO RUBINFIEN(レオ・ルビンファイン) タカ・イシイギャラリー 1/29まで 冬季休廊:12/30~1/6
今回が日本での初個展。ルビンファインの過去30年間の活動を振り返る、世界各地で撮影された34点のモノクローム写真・カラー写真作品を展示している。
これが、また良かった。特に、ルビンファインの写真は良かった。
過去の写真集で観る作品より、展示されている写真の方が見ごたえがあったし、ドキッとするような1枚が何点かあった。現在制作中だという作品集、完成したら買ってしまうかも。モノクロも良いけど、やっぱりカラーの方にはっとする写真が多かった。
もう1度再訪したい。

・篠山紀信|山口百恵:hiromi yoshii gallery 1/15まで
篠山紀信さんは、先日台北の台北市立美術館での個展を拝見したばかり。今回の山口百恵シリーズは台北では出ていなかった。映像と写真で見せる。

蜷川美香他は省略。

・池田亮司 ギャラリー小柳 最終日12/25まで
東京都現代美術館での展示に近い。映像とオブジェを組み合わせた展示。最終日だからか、結構お客さんは入っていた。特段、平台の動く映像作品が気になった。

2010年8月14日 鑑賞記録

今日は、朝から写真展を中心にギャラリーなどをはしご。
美術館は、世田谷美術館の「「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール スイス発―知られざるヨーロピアン・モダンの殿堂」ひとつだけ。これとTWS渋谷の桑久保徹展は別記事にします。

朝一番は渋谷の東急百貨店前のVIRONで朝食。以前から一度行ってみたかったので漸く。9時ちょっと過ぎだったけど、並ばずすぐに入店。パンは美味しいけれど、パンばかり5つはちと厳しい。あっさりして口当たりの良いコーヒーがおかわり自由なのは嬉しいけど、今度はイートインしてみよう。

・ロストジェネレーション「僕たちのわすれもの」 Bunkamura Gallery 8/25まで

ブリューゲル版画展(まだ感想書いてない・・・)ではなく、このグループ展が目的。ART Osaka2010に行った時、興梠優護(こおろぎ・ゆうご)さんの新作が出ると聞いていたので、観ておきたかった。
大阪ではヌード作品だったけれど、それもアンニュイな雰囲気で気になっていたので。新作は、≪Smoke sp≫など、線香や炎、火で燃やすという行為を扱っていた。なぜか、映画「バックドラフト」を思い浮かべたが、全く関係ない。本日最後の徘徊先でお目にかかった、さるお方によれば、興梠さんの近親が最近お亡くなりになったそうで、火葬からイメージを膨らませたのだとか。それにしても、素晴らしい画面作りをする作家さんである。まだまだお若いので、これからも要注目。
もうひとつのお目当ては、池島康輔の木彫だったが、私の中では、今春拝見した東京藝大修了制作展の作品を超えず。あの時観た「メメント・モリ」の表現力は今でも忘れられない。それを思うと、ちょっと作品に躍動感がないように感じた。
他に、佐藤令奈のほくろのある裸体の絵画、山田啓貴のテンペラ絵画が良かった。

・「colpoesne」 hanayo 表参道・ユトレヒト 8/15まで

内容は観てのお楽しみ。展示空間、写真自体、そして和綴じのような製本仕様の写真集も出来栄えが良い。花代さんは、こういう展示をするのか。新たな写真の可能性を見せてもらったような気がする。行って良かった。

・梅佳代写真展「ウメップ」 表参道ヒルズ地下3階 スペース オー 8月22日まで

昨日たまたまTVを観ていたら、この展覧会をとりあげていたので、行ってみることにした。梅佳代は第32回木村伊兵衛写真賞を受賞。
これ、面白いです。とにかく楽しくてちょっとペーソスと毒がある。ただし、土日日中は混雑必至。きっと、夜(21時まで)や平日ならもう少しゆっくり観られるのではないかな。
写真を貼っているパネルのイラストも梅佳代さんによるもの。可愛い。おまけに照明も凝っていて、イケメン男子(梅佳代さんの彼?)にはハート型のスポットが当てられている上に、ボード上にハートが書き加えられているのでやたら目立つ。子供からおじいちゃん、おばあちゃんまで、巷にいる様々な人たちの「決定的瞬間」を見事にとらえている。たまたま、森村泰昌著「美術の解剖学講義」ちくま学芸文庫を読んでいる最中で、アンリ・カルティエ・ブレッソンの『決定的瞬間』についての解説を読んだばかり。

梅佳代さんの視線は常に優しい。シャッターを切る時、彼女はどんなことを考えているのだろう。

膨大なスナップ写真の中に、タカ・イシイギャラリーのギャラリストさんの顔を見つけた。複数で写っているのと単独スナップ。ご本人はご存知なのだろうか?もしかしたら、他にも知ってる身近な誰かが梅佳代さんのカメラにおさまっているかもしれない。

20分の映像作品もあるので、そちらもご覧になる方は時間に余裕を持ってお出かけ下さい。

・綿谷修展「Juvenile」 RAT HOLE GALLERY 8/25まで(月休)

綿谷修は1963年生まれで、1989年よりアートディレクターとしてヒステリックグラマーやラットホールギャラリー発行の写真集ディレクションを数多く手がける。
「Juvenile」は「年少」の意味だけでなく「幼鳥」の意味も込められている。まさにタイトルを写真で具現化した内容。青い果実のような大人の世界に一歩足を踏み込む手前の境界線。境界線上にいる少年、少女の複雑な表情と肉体をみていると、なぜか痛々しさを感じてしまった。

・大森 博写真展 「端景II」 蒼穹舎 8/22まで

バリバリの硬派な写真展。実は私はこういうモノクロでアナログな写真の方が好みなのだ。どこかの下水?で撮ったアメリカザリガニの写真が忘れられない。展示されていた写真はちょっと黒が強く出過ぎていたように思う。
でも、同時に発行された写真集「端景Ⅱ」の方が、落ち着いた感じの写真になっていたような。
モノクロの対比にギラリとするものを強く感じた。

蒼穹舎は初めて行ったけれど、丸ノ内線新宿御苑駅から徒歩ですぐ。エレベーターのない古いビルの3階にあるこのギャラリーは藤原伊織のミステリー小説に出て来そうな雰囲気があった。
奥には絶版写真集や写真関連の古本が沢山。今日は時間がなかったので、ざっと見て終わったけれど、また行ってみたい。ここでは、名古屋発信のアート評論誌「REAR」の最新号を購入した。都内で「REAR」24号を購入できる店舗は恵比寿とオペラシティのNadiff(とココとphotographers' gallery(8/19まで休み)だけ。文化村のNadiffには売れてしまって在庫なしでした。

photographers' galleryもまだ行ったことないので、8月20日~の次回展にでも行ってみたい。

2010年7月11日・12日 観賞記録

7月10日(金)の夜から広島入りして、広島市現代美術館で開催中の「都築響一と巡るHEAVEN」を皮切りに関西方面の美術館、ギャラリーなど回って来ました。

以下、明朝早いので簡単に記録のみ。後日、改めて書きなおしします(多分)。

<美術館・博物館>
1.「都築響一と巡るHEAVEN」 広島市現代美術館 7月19日まで
これは、もう気になって気になって仕方がなく、ついに好奇心に負け広島詣で。しかし行った甲斐がありました。
やっと、都築響一さんの作品世界が見えて来ました。恵比寿映像祭に出展されていた「カラオケ」を拝見した時は、「なぜ、これがここに???」と訳が分かりませんでしたが、やっと分かりました。って遅すぎますね。
7月16日に青山ブックセンター本店にてトークショーがあるため、こちらも参加したいと思っています。
詳細別途。

2.「パラモデルは世界のプラモデル」 西宮市立大谷記念美術館 8月1日まで
こちらも、都築響一さん同様、これまで断片的に作品を拝見してはいたものの、ぼんやりとプラレールの作家さんというイメージしかありませんでした。ところが、本展ではその世界観を一挙公開。映像、立体、写真、平面絵画など多岐にわたった作品表現を展開。美術館の庭から建物(本館、離れとも)全てがパラモデル作品に制圧されようとしています。現在も作家さん+お手伝いの方々で作品制作中です。これは必見。
詳細は、必ず別記事にします。

3.「長沢芦雪の動物画」展 和歌山県立博物館 7月19日まで
長澤芦雪が好きなので、和歌山まで行くことにしました。同館で芦雪絵画を多数委託収蔵されています。当分、芦雪展の開催は見込めないので、地道に作品を追っかけるしかありません。
今回は、全部で13点うち重要文化財は10点、残る3点も県指定文化財と少数精鋭。
いずれも初見の作品ばかり。しかもどれもこれも芦雪が動物を見るやさしい視線が伝わって来る愛らしさを感じます。描かれている動物たちの眼が何とも言えません。
「眼は口ほどにものを言い」という諺を思い出しました。

国立国際美術館で7月10日より始まったばかりの束芋「断面の世代」は昨日アップしたので省略。

<ギャラリー>
1.櫛下町祥吾「月と梯子と虹の」 ギャラリーすずき 7月11日で終了
この方は独学で木彫をされてらっしゃるのでしょうか?時間が押せ押せで、作家さんが在廊されていたにも関わらず詳しいお話を伺えなかったのは残念。
個人的には好みの木彫でした。作品からほのぼのとした愛を感じます。癒されました。

2.増田敏也展 Galleryはねうさぎ room4 7月11日で終了
セラミックの作品+作家さん初挑戦のペインティングが1点。展示スペースと出展作品で「人の気配を伝えたい」というテーマを見せてくれます。これが土製品?と驚くような出来栄え。一見すると素材が陶磁器とはとても思えません。櫛下町さん同様、別記事にしたいです。

3.宮永亮 「making」 児玉画廊(京都)8月14日まで
本拠地京都での個展開催。東京白金の児玉画廊で披露した「地の灯について」をフルスペックバージョンで公開。
大迫力!
更に、児玉画廊(京都)の特殊な空間を活かしきった映像インスタレーションとして楽しめます。もちろん、別記事。

4.「GALLERY'S RECOMMENDED YOUNG ARTISTS」 TEZUKAYAMA GALLERY 7月24日まで
岩田小龍、大江慶之、小松孝英、後藤靖香、住吉明子、添野郁、戸井裕之、山下耕平、以上8名の若手アーティストによるグループ展。
お目当ては、後藤靖香さんと山下耕平さん。
後藤さんの新作≪うどんの湯気≫は良かった。この作品があったからこそ、会場が引き締まってました。次の個展が楽しみ。山下耕平さんは、コラージュとペインティング2点で、こちらはやや物足りず。

5.「Art Court Frontier 2010 #8」 アートコートギャラリー 7月24日まで
出展作家:入谷葉子、埋橋幸広、内田文武、大西康明、木内貴志、キスヒサタカ、黒宮菜菜、佐川好弘、佐藤 貢、田中朝子、宮本博史、森末由美子
関西在住あるいはゆかりの若手を中心に、気鋭作家が競演するアニュアル企画「Art Court Frontier(アートコートフロンティア)」の8回目。
本展は、美術界で活躍中のアーティスト、キュレーター、ジャーナリストや愛好家らが推薦者となり、出展作家を1名ずつ推挙し、ともにつくり上げる展覧会として2003年に始まったグループ展で、私は初めて拝見しました。記念すべき第1回は名和晃平さん(田中恒子氏推薦)らを選出しています。
ギャラリーとは思えないような広い空間での展示。見ごたえがありました。こちらも別記事って大丈夫かな。

6.ART OSAKA 2010 堂島ホテル 7月11日で終了。
7月9日~3日間開催されたアートフェア。最悪だったのは、荷物を預ける所がなかったこと。
今回の遠征最後に行ったので、荷物をピックアップしていたのが失敗でした。おかげでメモも取れず、飛んだ邪魔者。そんなこんなで、あまり落ち着いて鑑賞できませんでしたが、坂本真澄さん、山野千里さんら気になる作家さんはしっかり観たかな。これは後日加筆します。

結局、大雨にもたたられず助かりました。2日目の宿泊先はドーミーインを利用しましたが、都会の露天風呂もオツで、久隅守景の「納涼図屏風」を彷彿とさせる光景でのひとっ風呂は最高でした。

2010年6月19日 鑑賞記録

個人的な話題で恐縮ですが、本業が大変忙しくなって参りまして、とても毎日ブログの更新をすることが難しい状況になっています。先週の木曜だけ、既に予約していたイベントに参加するため、何とかして脱出しましたがその反動が翌日および来週以後も続きそうです。

更新頻度は減ってしまうかもしれませんが、末長く見守っていただけたら幸いです。

ということで、今日の鑑賞記録です。今日は明日会期末を迎える展覧会、個展を中心に回っています。

・横山裕一 ネオ漫画の全記録:「私は時間を描いている」 川崎市民ミュージアム 6/20(日)まで
私は漫画をほとんど読まないため、横山氏のこともこの展覧会を通じて初めて知った。惹かれた理由は展覧会のチラシ(やっぱりチラシの影響力というのは大きいと思う)。「何だか面白そうだ」そんな風に思わせるチラシって凄いと思う。こんなチラシを作れる段階で、横山氏の魅力は推し量れるのではないだろうか。
そして、もうひとつ気になったのは展示デザインをトラフ建築設計事務所が手がけていたこと。トラフの展示デザインも確かめたかった。

案の定、作品の見せ方や展示室の構成は面白くて、漫画作品は何周も回っているうちに目が回りそうになったが、そこさえ気を付ければ楽しめるはず。漫画もさることながら、ボードに油性ペンキと、マーカー、ニスで描かれた1990年代の大型作品が好き。そして、彼の作品は平面でなく、Tシャツやらティッシュボックスやら、ポスターにするとより一層魅力的になっている。絵画とデザインの狭間、いやそんなジャンル分けなど無意味であって、自身の作品を活かす場所がそれだけあるというのは大変な強みの筈。そして、横山氏が海外、欧米諸国で人気が高いのも展示作品を見れば一目瞭然だった。最初に作品を見た時、アメリカのポップアートもしくは海外コミック風だなと感じたほど。

ちょっと分かりづらいが、もうひとつの展示室の方に前述のTシャツやらポスターや海外で出版された作品集が展示されているのだが、そこで見逃せないのは、漫画制作にあたって使用される大量の写真だ。「カラー土木」の資料となったと推測されるおびただしい数の写真は同じモチーフを角度を変えて何枚も撮影していたり、実際漫画に使用されている個所があったり、とても興味深い。

現在、新富町のギャラリー「ARATANIURANO(アラタニウラノ)」で7月14日(水)まで個展開催中。詳細はこちら
新作ペインティングが発表されているようなので、こちらも足を運ばねば!

・「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」東京都庭園美術館 6月20日まで
今春、岡崎市美術博物館で「ロシアの夢 1917-1037」展を見たばかり。またしても、ロシアアヴァンギャルドか、でも好きだから行ってしまう。本展は、ロシア・アヴァンギャルド作家の中からロトチェンコとステパーノワ夫妻にスポットを当てた展覧会。
彼ら二人の芸術を絵画、空間構成、建築、日用品のデザイン、舞台装置、装丁デザイン、ポスター、写真など分野別に展観している。

過去に何度か拝見している作品も多かったが、注目したのは絵画と写真。特に写真の作品数は充実しており、まとまってロトチェンコの写真を見ることができたのはとても良かった。しかも、彼のモノクロ写真はとても私の好み。まず、構図に彼の感性が表出している。写真もポスターも媒体は違うけれど、どこか共通している部分を感じた。
ロトチェンコの写真集があったら欲しい。写真のポストカードはミュージアムショップに3枚あったが、私の気に入った作品ではなかったのでパスした。

一方、ステパーノワの方では絵画、衣装デザインが良かった。
庭園美術館は、作品リストがいつも作られていないのに、今回は用意されていてとても嬉しかった。

・第1回ガロン展 白金台・瑞聖寺内 ZAPギャラリー 6月20日(日)まで
「ガロン」とは、市川裕司、大浦雅臣、金子朋樹、小金沢智、佐藤裕一郎、西川芳孝、松永龍太郎の7名からなるグループ。美術史研究者の小金沢氏を除く6名は日本画出身作家である。メンバー7名はみな、1976年~1982年と若い世代。

そんな意欲的な彼らの初グループ展を見て来た。
各作家とも本展のために制作した新作を展示。どれも力の入った作品ばかりだったが、個人的な好みは、一階の金子朋樹さんの琳派風画面と二階の西川さんの巨大水墨画。大浦さんの≪創世機≫はメタリックな表現が見事だった。あの絵肌は、実際に作品に接してみなければ、決して分からないし伝わらない。

金子朋樹さんのアーカイブ作品集をチェックしたが、本展作品はこれまでの作品と比較するとかなり実験的な試みをされているようだった。画面の下に光琳の杜若図屏風を思わせるようなモチーフがあったり、かと思えばヘリコプターがあったり、画面に不思議な透け感を感じたり、取り合わせのミスマッチな感じに惹かれたのかもしれません。対して、二階の西川芳孝氏の巨大水墨画は、正統派の山水。こういう真っ向勝負な作品が好きです。

次回開催も期待。

・八木貴史 「バーミリオン」 Showcase 銀座 6月26日まで
DMが送られてきた時から、行こうと決めていたのに早くも来週の木曜で終了であせった。

色鉛筆で作られた彫刻作品を制作する八木貴史の個展。室内には僅かに3点しか展示されていなかったが、全て完売していた。もっとも大きな作品は、シャンデリアで制作に1ヶ月半を要したとのこと。
色鉛筆を沢山繋ぎ合わせて、木材のようにする所から制作は始まる。初期の作品では、色鉛筆同士の接合部分の跡が肉眼視できるが、近作ではその痕跡が消えている。確実に技術が上がっている。

どの作品にも共通しているが、滑らかな曲線はとても美しかった。

次回は、ShowcaseではなくMEGUMI OGITA GALLERYでの個展開催が決まっているそうです。これも楽しみ。

・「中国の扇面画」&橋本コレクションの中国絵画 松涛美術館 6月27日まで
古いものでは、1563年、1655年で、残りは制作年不詳のものを除くと大半が現代中国作家の扇面画の展示。
時間が止まっているかのように、昔も今も大きく変わらない中国の扇面画作品を堪能。何点かは現代作家の息吹を感じる新しい表現があり、敢えて扇面画に取り組んでいるのはなぜなのだろう。

現代の日本画家の扇面画というものをまだ見た記憶がない。

橋本コレクションの中国絵画は、石鋭の≪探花圖≫(重文)や李士達の作品はじめ、私はこちらの方に見ごたえを感じた。なかなか中国絵画を目にする機会がないので、僅かでも拝見できる機会は非常に貴重。

ところで、松涛美術館を訪れる時の楽しみであった2階のサロン・ド・ミュゼの喫茶サービスが昨年度(今年の3月31日)で終了していてとてもびっくりした。私は、あの2階で絵画を眺めつつ革のソファにゆったり腰掛け、紅茶とクロックムッシュをいただくのが大好きだったのに・・・。何度リピートしたことか。
これは再開していただけないものだろうか。あの紅茶もクロックムッシュもそして、展示室でお茶をいただくという無上の喜びを何とか再び味わいたいのです。

Bunkamuraミュージアムの「語りかける風景」展は後日記事をアップする予定です。

2010年5月4日~5月5日 鑑賞記録

前回の続き。

<5月4日> 名古屋 → 京都 → 名古屋

・「MIHO GRANDAMA」MIHO MUSEUM 6/6まで
美術館創立者の生誕100年を記念して、同館所有の日本美術を中心に、東西の古代美術、近年新たに蒐集された作品からよりすぐりの約90点を紹介。
作品の素晴らしさ、美しさは言うに及ばず、何といっても展示方法は他では考えられないような作品そのもの、そして
展示空間の美を見事に呈示する。「美を求める、美に触れるとはこういこと」だと教えてくれた。

重要文化財に生花を活けて展示するのは、ここより他にないのではないか?以前京都の何必館でも魯山人の器に花を
活けてあったが、その域をはるかに超えている。
詳細をアップしたいが、あの美しさを私の拙い文章力では到底表現できない。

古美術好き、陶芸好きにはイチオシ。

・「木田安彦の世界 富士百観とふるさとの名山」展 思文閣美術館 8/1まで
・第一章 -四十余年の軌跡-「版画家 木田安彦」ぎゃらりぃ思文閣と思文閣本社 5/16まで 

パナソニックでミュージアムの「西国三十三箇所」展とは別に本展では「富士百観とふるさとの名山」シリーズのガラス絵と木版画を紹介。35年間の版画家としての活動に終止符を打つため、これまでの作品を美術館だけでなく「ぎゃらりー思文閣」、思文閣本社の3か所で同時開催。ぎゃらりぃ思文閣と思文閣本社での展示期間と異なるため要注意。
個人的には無料のぎゃらりぃ思文閣と思文閣本社での展示の方が楽しめた。

・「RAKURAKU FESTIVAL」展 京都造形芸術大学 GALLERY RAKU  5/8まで
会期中も作品を募り展示するというアクティブな試みと展示。他大学の学生、京都、その他の場所で精力的に活動を
行う若手アーティストの作品を展示。
展示スペースに所狭しと置かれた作品たちの数に驚くが、慣れてしまえば混沌ぶりも楽しくなってくる。
既知作家、未知の作家いずれの作品でも「これは!」と思う作品に出会えたのは良かった。
気になったのは、諌山元貴(映像、白い花瓶が崩壊する様)、田中英行、並木文音(彫刻?朽ち果てた化粧台)、西山直樹、白井賢吾、木村隆平(FRESHメンバー)、菅野紀(FRESH)、ミシシッピ、神馬啓祐。
 
・「right here,right now ARTZONE LOVES FRESH」 art project room ARTZONE *会期終了
FRESHとは、千葉県柏市にある「R2」(オルタナティブスペース)で2008年に行われた企画展「FRESH」
以後続いているアーティスト達の中心を持たない緩やかな集合であり、またその周囲に浮遊する雰囲気、感覚であるような実態のない空気であるらしい(中西祐輔氏による「本展開催にあたって」より)。

aatmのトークイベントで「FRESH」の話題が出てきたが、よく分からず、京都でそのメンバーの展覧会があるというので行ってみた。今回の出展作家は岡田洋坪、鎌田友介、小牟田悠介、佐藤悠、趙純恵、山本努ら6名の作家。
小牟田悠介、山本努の作品は好み。勢いがあって今後が楽しみな作家だと思ったのは岡田洋坪。
素人の感想なのであてにならないですが。。。
山本努の作品はどこで観たのだろうか、場所の記憶はないが作品は覚えていた。

・「きょう・せい」第2期 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA 5/30まで
京都市立芸術大学の新ギャラリーオープン記念展第2期は、協同へ至る前段階としての作家個人の制作プロセスに注目し、「つくること」を通じて「わたし」が世界と関わってゆく、その実践的な可能性を探るもの。

出品作家は以下の9名。
芦田尚美、今村遼佑、岡田真希人、西上翔平、東明、藤井良子、前川紘士、水田寛、芳木麻里絵
第1期に比べるとかなり大人しい展示だった。
中で、異彩を放っていたのは、西上翔平「眠りについて」、前川紘士「階段、電気スタンド、街灯」の作品だろうか。
オブジェで作った貝から聞こえて来るのは、作家(西上)本人の鼾や寝言でかなり自虐的作品。
前川の映像と映像を立体作品として提示し、アスファルト道路を展示空間に再現する大掛かりな内容。

水田寛のペインティングのテーマ「マンション」は今年のMOTアニュアル「装飾」と同じだが、色使いが変わっていた。同じような内容の作品だが色調で色分けされていたので、「装飾」での作品と印象がかなり違う。

・「いま断てへんやつは立たれへん」建仁寺・禅居庵 *会期終了
FOIL GALLERY×禅居庵による企画で現代アート展をお寺の庵で開催する試み。
中で印象に残った作家は市川孝典。VOCA展、FOIL GALLERYで見せてきた作品と今回は大きく様変わり。
線香を用いて描く手法は同じだが、今回は曽我蕭白「寒山捨得図」を範にとり、その一部を線香で描いてみせた。
更に額装ではなく表層の掛け軸仕立てとなっていて、床の間に飾られていたが空間にもマッチしている。お寺という場に線香という材料もマッチするが作品のモチーフ、見せ方全て展示場所を意識した作品でとても良かった。

同じく空間と共生していたのは、奈良美智の新作、信楽焼のオブジェ2体。3段の瓢箪型にいつもの奈良さんドローイングが絵付けされている。信楽焼きだからなのか畳敷の部屋になぜか合っていた。さとうりさの大きなおたまじゃくしのぬいぐるみ(?)は外国人観光客に受けていたが、これも畳にあっても違和感がなかったのは不思議だった。
ただし、奈良さん、さとうさんは特にお寺という空間を意識してはいないはず。この点が市川作品との大きな違い。

<5月5日>
・「Tsu Family Land 浅田政志写真展」 三重県立美術館 5/30まで
今回の予定に入っていなかった展覧会。開催されていることは知っていたけれど、パスしようかと思っていたら、twitter上の呟きで「とても楽しかった」とか
ブログで絶賛されていたため、急遽予定に組み込んだ。
そして、結果は行って大正解。口コミは重要。詳細は別記事にアップするが、写真展をインスタレーションとともに楽しめる画期的な展示。
さらに本展は写真撮影可能。写真展を写真に撮る不思議。

観ている最中より、後からじわじわ考えさせられる内容。観客の大半が浅田家の皆さんに手紙を書く宿題をやっているのも珍しい光景だと思う。
なお、5月9日には浅田家全員のトークイベントがあるので、ご都合の良い方は参加されてはいかがでしょう。私も行けるものなら行きたかった。これは、オススメ。

・「明末の浪漫派」 澄懐堂美術館 6/6まで
近鉄四日市駅西口から南へ徒歩1分の美術館。ここは知る人ぞ知る中国美術のコレクションを保有する美術館。
5月5日まで北宋山水画の名品、伝李成「喬松平遠図」が特別展示されていることを知り、絶対行こうと決めていた。
2008年秋に大和文華館で開催された「崇高なる山水」展で出展されたにも関わらず、行ったのが最終日でこの北宋山水の貴重な名品を見逃した。
四日市にあると知り、ずっと展示される機会を待っていた。恐らく2年に1回程度で短期間(今年は4/24~5/5)展示されるのだろう。
やっと実際に作品を拝見したが、思ったよりも状態は良かった。松や岩の筆法をじっくり観た。後で要復習と自分に言い聞かせる。
この他、呂紀の花鳥画など明末の書画が約20点ほど展示されている。

・「王者の華 牡丹」 徳川美術館 展示替えのため再訪 5/23まで
2回目となる今回は、平家納経の展示替え作品が一番のお目当て。普段はまず展示されない裏側(牡丹が描かれた)を見せてくれる貴重な機会。
絵画より陶磁器の方に関心が行ってしまった。やはり大阪市立東洋陶磁美術館のコレクションは本当に美しい。
思わず、ガラスケースに擦り寄りたくなる。掻き落しが良かった。
これも別記事にする大型企画展なのだけれど、果たしてまとまるだろうか。

・「tour nomad 2010.5.5 雲隠れ、急カーブで目を見開く contact Gonzo×梅田哲也」+植田隆司 カフェ・パルル *終了
名古屋の新栄にあるカフェ・パルルで急遽twitter上で本イベントの告知がTLに流れた。
梅田哲也さん目当てで参加することに。
いやはや、面白かったです。contact Gonzoさんの男くさいパフォーマンス(プロレスもどきの身体をはった展開に植田さんのギターがBGM)には驚いた。
何しろ、観客の男性(1人)まで引きずり倒していた。過激です。パフォーマンスしながらインスタントカメラでフォトショットするのも彼ら流。また、写した写真を販売している。
梅田哲也さんは、「あいちアートの森」喜楽亭での展示に感動して、以来追っかけ中。川崎市岡本太郎美術館の太郎賞出展作品、現在開催中のサントリーミュージアム天保山の「レゾナンス」にも出展されているが、喜楽亭での作品を超えてはいなかった。

が、今回のライブ作品では制作過程とともに(あれは即興なのだろうか?)、普段美術館での展示にはない音を使用した展開が素晴らしかった。
また、美術館と違って、細かな制約がないので作家として自由に空間全体を掌握していたことも特筆すべき。
つくづく参加して良かったとともに、やっぱり追っかけ続けることに決めた。
「あいちトリエンナーレ2010」への出展作品にも期待したい。両アーティストともに「あいちトリエンナーレ2010」に参加します。

2010年5月2日~3日 鑑賞記録

5月2日から東京を出て名古屋に4日間帰っていました。
その間に観た展覧会、ギャラリーなど簡単に振り返ります。別記事をあげる展覧会もありますが、まとめておかないと忘れてしまいそうなので。

<5月2日> 東京 → 名古屋 
・「アイラン・カン展-内なる本棚」 ヴァンジ彫刻庭園美術館
アイカンランは越後妻有トリエンナーレで昨夏印象にのこった韓国人アーティスト。日本の美術館で初の展覧会となる今回は、メインになる作品は2つ。他に妻有でもなじみの本を光らせた作品が美術館の入口階段吹き抜けスペースに点在していた。
彼女の場合、作品自体を様々な色にLEDにより発光させるので、光が沢山入る場所に置くと、せっかくの発光色が見づらくなるため、点在していた作品はせっかくの良さが発揮できていなかった。
メイン作品のひとつは、鏡を使用し本棚の発光本を増幅させて見せたが、また鏡面使用かとがっかり。
かなり多くのアーティストが鏡を使用するけれど、他に方法ってないのだろうか。

もう1点の新作「Loght,The Tempest,One Touch」は良かった。こちらも鏡を使用しているが、映像と絡ませデジタル化する。鏡貼りの小部屋にアーティストの名前が書かれた発光本を胸に抱き中に入ると、体温に反応し4つの鏡面にそのアーティストの作品映像が流れてくる。本がなければ、3つの詩によるテキスト映像で文学作品の鑑賞(ただし、すべて英語・・・)。
アーティストブックを映像手段で視覚化する試み。W・デ・マリア、J・タレル、ダン・フレヴィン、バーネット・ニューマン、マーク・ロスコのアーティスト計5冊のうち1人の観客が好きな作家の本を選んで中に入る。本来は部屋のドアは閉じて鑑賞するのだが、中で本を落とす観客がいるといけないとのことで、ドアは開放したまま。これは楽しめた。

・「時の宙づり — 生と死のあわいで」 IZU PHOTO MUSEUM 8/20まで
世界各地の写真の使用例を300点の写真、資料で写真史とともに振り返る。写真においての死生観、時間軸との関係などいろいろ考えさせられる内容。ジェフリー・バッチェンがゲストキュレーター。
写真から写真彫刻の作品には驚いた。世界にはこんなものがあるのか。とにかく貴重な写真資料の数々。会期は長いので、一度は観ておいた方が良い内容。死生観と写真をからめた展覧会、資料数からいってまたとない展覧会だと思う。

・「若冲アナザーワールド」 静岡県立美術館 5/16まで
コンセプトが明確。作品1点ずつのキャプションにまず分かりやすく見出しが付けられ、後に詳細説明が入る。板橋区立美術館に似た方式だが、あそこまでくだけていない。他のお客さんも「この解説分かりやすいね」と話をしているのを聞いたので好評だったと思う。詳細は別記事にて。もちろん、所蔵品展と合わせてオススメ。

・「Newコレしずおか 新収蔵品と静岡ゆかりの美術」 静岡県立美術館 5/16まで
リニューアル記念の所蔵作品展。普段は2階の展示スペースだけで常設展示を行っているが、今回は特別に1階の県民ギャラリーを使用しての展示で得意の江戸絵画はもちろんのこと近代から現代アートまで網羅する内容。これも別記事。

<5月3日> at 愛知県
・「カレル・ゼマン展」 刈谷市美術館 5/30までチェコ・アニメのもうひとりの巨匠カレル・ゼマンの展覧会。絵コンテ、人形、スチル写真など制作過程をたどる貴重な資料とともに映像作品も紹介。展示室では小品が1階に2点、2階では長女のルドミラ・ゼマンの切絵アニメーション
を上映(リピート)。1階講堂では長編作品を1日3本上映。10時半からに「悪魔の発明」を鑑賞。
ジュール・ベルヌ原作のSF作品を原案にアニメ、実写、俳優の演技と渾然一体となったモノクロ特撮映画。ラストに出てくる巨大なタコや爆破シーンが忘れられず。
ゼマンに影響を与えたフランスのジョルジュ・メリエス(1861年~1993年)について、更に詳しく知りたい。

・「近代日本画にみる女性の美-鏑木清方と東西の美人画」 岡崎市立美術博物館 5/16まで福富太郎コレクションから鏑木清方と東西の日本画家による美人画作品を集め展観するもの。
<東の画家>
鏑木清方を除く東の美人画は、菊池容斎、小林永濯、石井鼎湖、渡辺省亭、尾形月耕、富岡永洗、水野年方、寺崎広業、梶田半古、尾竹竹坡、鰭崎英朋、池田輝方、竹久夢二、山村耕花、池田蕉園、矢沢弦月、小村雪岱、山川秀峰、伊東深水、小早川清、横尾芳月、鳥居言人 以上22人の作品31点。
<西の画家>
上村松園、伊藤小坡、北野恒富、松浦舞雪、秦テルヲ、島成園、寺島紫明、松本華羊、岡本神草、甲斐庄楠音、梶原緋佐子 以上11人の19点

特に、普段なかなか作品を観る機会のない池田蕉園、池田輝方、小林永濯、梶田半古らの作品が印象深い。
また、単に美人画というだけでなくコレクターである福富氏のフィルターを通して蒐集された作品は、特に
女の情念、怖さ、妖しさが溢れていて女ゆえの怖さを痛感。西の画家、松浦舞雪「踊り」1931年頃は、無名の画家とは
思えない力量を感じる作品。細部、色彩、艶やかさは他の著名な画家に決してひけをとらない二曲一双屏風。
作家の名前でなく、作品で集められたことがよく分かる逸品だった。
小村雪岱「河庄」は他で観たことがあっただろうか?「青柳」を思い出させる色使いと構図、これも忘れられない作品。

本展はこの後、弘前、広島に巡回するが首都圏、関西圏への巡回はない。お近くの方はぜひ。

次回に続く。

2010年4月24日 鑑賞記録

2週連続の関西遠征。我ながら無茶をすると思うけれど、今回は黒川古文化研究所の杉本欣久研究員の講演と明日の名古屋の徳川美術館、芋銭の前期最終日をにらむと、行こうという選択肢しか浮かばなかった。
1日目、関西での鑑賞記録です。

1.大徳寺 真珠庵 春の特別拝観
朝一番、9時ちょっと過ぎには大徳寺に入ったまでは良いが、真珠庵までの道のりに迷う。
ここは、お庭良し、茶室良し、襖絵良しでとても楽しめる。

重文 伝長谷川等伯襖絵  「商山四皓(しょうざんしこう)図」 
重文 伝曾我蛇足筆襖絵 「真山水図」「花鳥図」「草山水図」
史跡名勝庭園「七五三の庭」侘び茶の祖である村田珠光作と伝わる枯山水の庭で、7・5・3と合わせて15個の石を配す。
重文 通遷院→ 狩野元信筆「西湖の図、伝相阿弥作「水墨四季山水襖」
庭玉軒 金森宗和好みの茶室。二重構造のような仕組みで蹲が屋内にある。
土佐光起 「松図」&花鳥画(作品名失念)

玄関入ってすぐ脇に原在中・在正親子の絵があったのに、誰も気付かず解説もなし。在中らしい鶴の絵だったけど模写なのだろうか。あまりにぞんざいな扱いで気の毒だった。

2.大徳寺 玉林院 春の特別拝観
15年ぶりの改修が完了しての久々の公開。
みどころは、簑庵(三畳中板台目切りの茶室)。霞床席(四畳半の茶室)。
詳細は「増田建築研究所」様のHPに画像入りで紹介されています。
まっすぐな松の飾り梁?が現世と浄土を分ける結界だとか。
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/orion/jap/hstj/kita/gyokurinin.html
絵画は探幽襖絵と言われていますが、南向きのため損傷著しく、絵の残っている部分が非常に少ないのが残念。他に常信、安信の襖絵もありますが同様の状態です。

3.白鶴美術館 春季展「日本人を魅了した中国美術」
ここにたどり着くまで、最寄り駅を間違えて下車するというアホなことをしたおかげで、いろいろロス。
初めて訪問できましたが、以前居宅?としていたところを美術館本館として使用しているようでした。中国美術メインですが、一番印象的なのは天目茶碗コレクション。
田野村竹田の六曲二双の 「金箋春秋山水図屏風」は上出来でした。

思ったより、展示作品数が少なく、藤田美術館と同じくらいの展示数だろうか。
別館はじゅうたん美術館でした。

4.黒川古文化研究所名品展+杉本欣久研究員の「江戸絵画を鑑定する」鑑賞講座 黒川古文化研究所
本日最大の目的。
やっと出会えた崋山の「乳狗図」、あ~この絵見られただけで満足。
詳細は別途アップします。兜山の山上にありここは絶景です。

5.サントリーミュージアム天保山 「レゾナンス 共鳴」
こちらもオススメの展覧会。
同館2度目の現代アート展であるが、展示方法も良く見ごたえあり。
特に素晴らしいのは海側に大きく開いた窓のある部屋でジャネット・カーディフの「40声のモテット」を鑑賞できること。海や夕日を眺めつつ、音の波に身も心もゆだねる気持ちよさは何者にも代えがたい。
2回連続+最期に夜景ヴァージョンで鑑賞してきました。

今日も良いもの見せていただきました。

2010年4月18日 鑑賞記録

広島⇒大阪⇒京都⇒奈良⇒京都遠征から帰宅。さすがに、眠いです。
本日の鑑賞記録は短めに。

1.「大遣唐使展」 奈良国立博物館 6/20まで
平城遷都1300年記念に相応しい内容。でも、新館の一方が耐震工事で閉鎖されていて、本館を使用しての特別展はちょっと辛かった。流れが途切れたのと、やはり本館は古いので照明その他の面で展示作品の見せ方はいつもの新館展示と比べてはいけないか。
海外からの里帰り品や中国から借り入れた史料は超1級。何のかんの言っても、見ておいて良かったと思える内容。
仏像、書、絵巻の類が特に好きな人にはたまらない。

2.「マイ・フェイバリット——とある美術の検索目録/所蔵作品から」京都国立近代美術館 5/5まで
これは近現代美術上級者にはたまらない内容だと思う。でも、初心者にはちとハードかもしれない。
まず、展示方法、展示順が素晴らしい。
一貫して見て行くと、ここって日本の美術館だっけ?と思う程かっこ良く、クール。
解説もなく、たんたんと作品が並んでいるが、作品自体が美しく、展示も練られているので直球勝負で作品と対面する。
私が好きだったのは野島康三と川端龍子の日本画を並べた空間。こういうのあり?いや素晴らしいです。
他にもゾロゾロ好きなものが出て来たので、詳細はもちろん別途。
フルクサス、写真、クルトシュビッタース、デュシャン、野村仁など硬派(?)好きの方には一推し。ヴォディチコの作品は初めて見たけど、これが本展マイベストかな。

3.「きょう・せい」 京都市立芸術大学ギャラリ@KCUA
ゲストトークVol.2:4/18(日)14:00~
「共有空間の獲得」
講師:小山田徹 京都市立芸術大学美術科准教授 × 第1期参加作家
なぜか、突然予定外のこのトークに参加した。途中で時間が足りず抜けましたが。
小山田徹氏は、六本木クロッシングで上映されているダムタイプに参加されていた方でした。そんなこととは露知らず。ここで話された内容を書いていると終わらなくなるので略。
小山田氏の今日までの人生を語っているような講演だった。第1期作家で出演されていたのは6名+キュレーション担当の1名。私が退出するまで、小山田氏講演で各作家のコメントはごくわずかだった。

4.「長谷川等伯」展 京都国立博物館 5/9まで 
3回目となる等伯展だが、京都展のみで展示される大絵馬を見たかった。100分待ちとかいろいろ事前情報は流れていたけど、狙いは閉館30分前と決めていた。これは予想通りで、待ち時間なし、しかも中も空いていて、一度最後までざっと眺めてから回れ右して入口にゆっくり戻りつつ気になる作品、好きな作品を鑑賞。戻れば戻る程お客さんの数は減り、最後の仏画コーナーでは私ともうおひとりいらっしゃったくらいで貸し切り状態。

係の方にも確認したが、平日も16時以後から空いてくるとのこと。むしろ朝一番の方が並んでいるらしい(これはタクシーの運転手さん情報)。

京博の方が、東博平成館より狭いので、作品数が少ないように感じた。が、無駄に動く必要がないので、疲れは少ない。
松林図屏風は京博では真っ平らに平面絵画のごとく展示されていたが、東京展はまっすぐではなかった気がする。
これも京博オリジナル?
肝心の大絵馬はやはり驚くような大きさで、あの大涅槃図と同じ空間に左に大涅槃図、右に絵馬とこの空間は凄かった。
作品展示順は東京展とかなり違うので、別の展覧会のごとく楽しめた。
大好きな波濤図の向かいには萩芒図屏風があり、ここの空間も気に入っている。
他に京都展のみで展示される作品を図録で確認し、しっかりと拝見して来たが、やはり絵馬を見ることができたのは嬉しい。

5.「M.C.エッシャー展~視覚の魔術師~」 奈良県立美術館 5/9迄
実はあまり期待していなかったのだけれど、内容はとても良かった。理由は、初期の作品から晩年まで時代を追って作品の変遷やポイントを上手くまとめて見せてくれていた。
だまし絵的なイメージの強い作家だったが、初期作品はエッシャーの美的センス、技術が如実に表れており、この才能あってこそ、後のエッシャーならではの作品群が生まれるのだと感心した。
デザイン性のあるタペストリーはじめ、かなり盛り沢山の内容。朝一番で入館したが、私以外にも開館を待つお客様が結構いたので、人気なのかな。

*後日内容は加筆予定です。

2010年4月17日 鑑賞記録

本日の鑑賞記録(訪問順)です。

早朝、広島を出発し向かうは兵庫県立美術館。

1.写真家 中山岩太「私は美しいものが好きだ。」 兵庫県立美術館 5/30日迄
第1部 甦る中山岩太 モダニズムの光と影
第2部 レトロ・モダン 神戸 中山岩太たちが遺した戦前の神戸

第1部は2008年に東京都写真美術館所蔵品展をベースにしているものの、出展作品数はぐっと増えて第1部だけで約130点。レトロプリントと「残されたガラス乾板」から新たにプリントを制作したものを比較展示する。

第2部は兵庫県美オリジナル。第2部では、中山が神戸をテーマとして撮影したヴィンテージプリントを、その撮影地を可能な限りたどりながら様々な資料とあわせて展示し、戦前のモダン都市神戸の姿を検証する。当時の神戸をテーマとしたほかの作家による作品、当時作成された資料や映像を紹介することで、懐かしき神戸風景を再構成している。

第2部の様々な資料というのは本当に様々、多種多様、何しろ第2部だけで展示作品数は259点。
中山岩太の神戸風景写真だけでなく、川西英の「神戸十二ヶ月風景」「神戸百景」に、今竹七郎の大丸関連ダイレクトメール、広告、宣伝ポスター、小磯良平の「神戸みなとの祭」ポスターに油彩、絵葉書、小松益喜。金山平三らの油彩、神戸市観光課発行のガイドブック『カウベ』、阪神電鉄のリーフレット、そして最期は岩太以外の写真家作品。田淵銀芳、川?亀太郎、椎原治、安井仲治らの「流氓ユダヤ」・・・。もう盛りだくさんで大満足です。

こうなったら、芦屋市立美術博物館で同時開催中の「モダニズムの光華 芦屋カメラクラブ」展にも行きたい(6/20まで)

2.芳木麻里絵展 サイギャラリー (肥後橋) *本日終了
京都オープンスタジオで拝見した作品が素敵で、今回の初個展を楽しみにしていたが結局最終日に駆けつけることになった。スタジオ訪問時で拝見した作品もあったが、あれから新たに作品されていたレースシリーズや染付けのお皿、板チョコ。インクで作られた立体作品もしくは絵画。
どの作品も1点ものでエディションではない。特にレース作品3点のうち1点は、レースでも極めて細い糸の部分まで正確に表現されており、とてもインクで作り上げたとは思えない。
これから、どんな方向性に進まれるのだろう?今は、元になっている物や絵の写しなのだけれど、私は芳木さんオリジナルの絵画や形も拝見してみたいと思っている。

3.「明治の万国博覧会の再現美術展」 清水三年坂美術館 5/23日迄
1873年(明治6年)明治政府として初参加したウィーン万博に工芸技術の水を結集した大型で細密な工芸作品を万博会場に並べた。特に明治20年~30年代に作られた作品を先導していたのが、白山松哉、加納夏雄、海野勝ら技芸員らの作品を一堂に並べる。

これがもう凄いのなんの。ここだけで相当時間をかけたけれど、見たこともないような金工、蒔絵、七宝、薩摩焼、刺繍絵などなど到底人間技とは思えない絶技。必見物です。
それぞれの技芸員の技量も素晴らしいですが、よくぞこれだけ集めてくださったと館長さんに感謝。さもなければ全て海外に流出しているのだから。

4.山本基 「たゆたう庭」 eN-arts 4/30迄。金・土・日のみ開廊
このeN artsの個展は2回目の訪問(1回目は内海聖史さん)だったのだけれど、今回の山本基さんの個展も素晴らしかった。
室内のライティングの良さは相変わらずだけれど、入口入ってすぐの小品ドローイング、といっても支持体はアクリルコーティングを施されていて、
表面のマチエールが素敵、小ささも程よくて素敵、そしてドローイングそのものも塩の作品にマッチしていた。

彼の塩の作品は24歳の若さで脳腫瘍により妹さんの死から始まっている。
なぜ、塩を使っているのか今まで知らなかったけれど、彼の曼荼羅のような塩の作品は文字通り曼荼羅
もしかすると亡くなった妹さんへの弔いの祈りなのかもしれない。
ちょっとセンチに過ぎるかもしれないが、いつも作品を制作した後、塩を集めて海に還す。

今回は地下の部屋を内海さんの個展と同様暗幕で囲い、壁に塩の模様が作成されているのも新しい試みだった。
さらに、奥の和室にあった細長いセットになった2点。これがまたとても良かった。こんな作品を床の間に飾るというのも
面白い。そして、とても床の間空間にマッチしている。向かって右はドライフラワーを使ったもの。左は一筋の滝を思わせる
シンプルな図。

お近くの方はぜひ。

4.星野画廊 京都近美至近
京都に行く際にはちょくちょく覗かせていただく。今回は春にちなんだ作品が並んでいた。野田英夫のコラージュや不染鉄の水墨画、秦テルヲの観音図、玉村方久斗の木蓮が気に入った。

5.「瓜生山 春の顔見世」美術工芸学科教員作品展 ギャルリ・オーブ(京都造形大人間館1階)4月23日まで
こちらも見ごたえのある内容だった。
やはり、あっと驚いたのは名和晃平さんの新作。1点はBEADSのBambi#6。ここまではふむふむ。
次に出てきたものに仰天。やたらモコモコした巨大な物体が横たわっていたのだ。これが「Swell-Deer」「Swell-Tiger」。
「Swell」には二つの液体を容器のなかで混合する液状のタイプの発砲ポリウレタンを使用。中には動物の剥製などが入っている。
表面はまんべんなく膨張し、鈍いテクスチャーで覆われ、だんだんと虚無のボリューム(SCUM)になっていく。以上解説の引用。
「Swell」のテクスチャーは見て面白い、まず気泡の模様や大きさが様々、たとえて言うならお饅頭の皮だろうか?
だから食べたくなったのか。もこもこしていて触りたくなる。

他に気になったのは、高木光司「間」半透明のポリエステルで4角中を縫い合わせる。布の立体。

神谷徹の油彩文様シリーズ8点。布のような油彩だった。
奥村美佳と佐々木るりこの作品は同じ日本画で華を扱っているのだが、対照的な作品。奥村の「いざない」は茫漠とした荒涼の地に
寂しそうにでも力強く咲く花を。佐々木は軽やかにやさしい花々が咲き乱れる。

清水博文の版画作品にも惹かれる。どこか写真に似ているのだった。版画と写真にも境界があるのかないのか疑問を覚える。

6.村林由貴 「溢れ出て止まない世界」 ギャラリーRAKU 4/25迄
スパイラルで開催された「混沌から躍り出る星たち2009」にも出展されていた作家さん。新作は過去の作品と大きく変化していた。
長く荒々しいストローク。以前はどちらかと言えば細密な描きこみを特徴としていたのに、この変化にはびっくり。
私個人の嗜好は今回の新作。どこまでも延びて行きそうな色鮮やかなライン、タッチ。私はろうけつ染を思い出した。
現在制作途中なので、25日にはきっと作品も完成しているだろう。最終日に行けないのは残念。

7.オープン記念展「きょう・せい」<第1期> 京都市立芸術大学ギャラリー(堀川御池)4/25迄
行く前からいろいろとこの展覧会の噂は聞いていた。曰くカオスだとか、混沌としているとか・・・。
やはり自分の目で見なければいけない。
私はとても楽しめた。そして、この制約が多い空間で各作家の新しい試みを幾つも拝見させていただいた。
ほとんどが知っている作家さんばかりだったこともあるけれど、過去に見てきた作品のイメージで今回の作品を見ていくと
良い意味で期待はどんどん裏切られていく。そして、出展作家たちで事前に企画打ち合わせを行った結果、見事に
「共生」というテーマを活かした展示がなされていた。
1階の展示も素晴らしいが、2階はもう圧巻と感動。
矢津吉隆と宮永亮、岡本高幸の3名による作品の共鳴、共生は単独展示とは別の魅力を引き出し作り出していた。

そして、MA2での個展の記憶も新しい谷澤沙和子の金箔絵画も驚く。元々油画専攻なのに、彼女のこんな絵画(大作)を拝見したのは初めて。1階の梱包材を見て思いついたというモービルも楽しかった。

明日14時から第1期出品作家のトークがあるので、予定変更で行く予定。先着40名。

2010年3月22日 鑑賞記録

先週来からの疲れが取れず、漸く連休3日目にして遠出する気力が出て来たので、日延べしていた水戸へ出掛けました。という訳で、本日の鑑賞記録です。宮城県美の高山登展は諦めました。

JRのホリデーパスを買って、土浦駅で下車。駅レンタカーでまずは茨城県陶芸美術館を目指す。茨城県は、県立の4つの美術館共通の年間パスポート(1年間すべての展覧会に何度でも入場可能)年会費3000円!が格安で便利です。

1.「濱田庄司展」 茨城県陶芸美術館 注:本日(3/22)に終了しています。

hamada

濱田庄司の作品は、日本民藝館、大山崎山荘美術館他、様々な場所で見て来たが、制作年代順に約170点で初期から晩年までの作品を通覧できたことは大きい。
濱田庄司が川崎市生まれだということ、リーチとともにセント・アイヴスで工芸作家としての活動を開始した後、沖縄で作陶していたことは全く知らなかった。沖縄の古窯「壺屋」で伝統的な技法やかたちを学んだことで、トウモロコシをイメージした「黍文」や「赤絵」が生まれたのだ。

ことに「黍文」が初期から晩年に向けてどんどん変化し、より単純化されていく様子が分かる。また、学生時代の濱田は雑誌の挿絵を投稿したりと、陶芸家になる前の出発点となる貴重な資料の数々も展示されていた。
濱田が亡くなったのは1978年、まだほんの数十年前のこと。作陶風景の写真パネルなどにより、作品を見ているだけでは分からぬ、釉かけや絵付けの様子がよく分かった。彼の独特の流れるような紋様がいかにして生まれたのか、そして濱田の使用した6つの釉薬、もっとも興味深いのは塩釉など、実験的な釉への挑戦とこだわりを知った。
先日、川喜田半泥子の陶芸を堪能したばかりだが、濱田も半泥子にも共通していたのは、「土」に対する考え方である。濱田「一流の土で二流のやきものを作るより、二流の土で一流のやきものを作りたい」。この言葉が忘れられない。半泥子「どんな土でもやきものにできぬ土はない」にも通底するのではなかろうか。
また、晩年に楽焼に取り組み始めていたことも興味深い。2点だけ展示されていた濱田の楽焼は肌色っぽい、これまでの彼のやきものにはない表情をしていた。

展示構成、作品、資料、いずれも私の知らなかった濱田庄司を存分に見せてくれ強い感銘を受けた。

2.「アンソールからマグリットへ アントワープ王立美術館コレクション」 茨城県近代美術館 3月28日まで。

antwerp

展覧会HP http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index.html

出品作品の多くが初公開というベルギー・アントワープ王立美術館の近代絵画を70点で展観するもの。
第1章 アカデミスム、外光主義、印象主義
第2章 象徴主義とプリミティヴィスム
第3章 ポスト・キュビスム:フランドル表現主義と抽象芸術
第4章 シュルレアリスム
以上4章構成で、ベルギー近代絵画を概観する。未知の作家が多数。ヴァレリウス・デ・サデレール≪フランドルの雪景色≫1928年が印象深い。
マグリットの日本初公開となる≪9月16日≫1956年は、思わず「う~ん」と唸りたくなるような1点。闇に浮かぶ1本の大木の中央上部に三日月が白く光る。ただそれだけなのに、何とも不可思議な非現実的な風景が成立している。背景となる黒い森、マグリット作品によく登場する岩の小さなものがいくつも草原に点在している。これら背景の描き込みの細かさにも注目。マグリットは他に2点あり。

デルヴォーは、強度のマザコンで女性恐怖症だったらしいが、本展出品作≪バラ色の蝶結び≫1937年は、彼の妄想が絵画化したようで不気味。全裸の女性たちの上半身にピンクの大きなリボンが蝶結びされている。デルヴォーに差し出された贈りものなのか?中に1人だけリボンがなく、頭から白い布をかぶっている女性がいて、彼女こそデルヴォーの母なのではと想像した。更に、全く趣の異なるデルヴォーの水彩画≪ウェステンデの海≫は秀逸。
この両極端な油彩と水彩を見ていると、デルヴォーと言う人の倒錯した精神状態を考えずにはいられない。

他にも私の好きなレオン・スピリアールト≪セルフポートレート≫1908年、≪砂丘の少女≫1904~1905などやアンソールの初期作品が出展されている。
*本展は、広島⇒島根⇒東京へと巡回します。

茨城近美は常設展示も見逃せない。
今期は、近代日本画の名品の数々(東近美か東博かと思うような大作!)が勢揃い。
・川端玉章 ≪早春晩秋山水≫ 明治40年
・横山大観 ≪朝顔日記≫ 明治33年頃 ⇒ これは本当に素晴らしい作品だった。
・下村観山 ≪竹林七賢図≫ 明治45年頃 六曲一双
・菱田春草 ≪帰漁≫ 明治37年 ⇒ 仲良く大観の作品の右隣に展示されていた。墨画の優品で初見。
・木村武山 ≪熊野≫ 明治35年 ⇒ 144×200の大画面で平家物語の一場面を描いた歴史画。
・小野竹喬 ≪武陵桃源≫ 大正7年 六曲一双 ⇒ 「小野竹喬展」に出品されていないのが不思議なくらいの名画。六曲一双屏風で雄大かつ幽玄な桃源郷の世界を描く。萌えるような桃?の花々の色と川の流れが忘れられない。

常設第2展示室では「人間像の表現」をテーマに所蔵作品を展示。厚みのある展示内容。

3.「親鸞-茨城滞在20年の軌跡-」 茨城県立歴史館 *本日で終了しています。

shinran

茨城行き決行の要因のひとつ。本展の評判を何かで読んで気になっていた。評判通りの茨城県を切り口に親鸞の軌跡を約100点でたどるという興味深いものだった。展示作品も、仏像から絵巻、経典に至るまで幅広く充実している。
特に、茨城県に残る≪聖徳太子絵伝≫上宮寺蔵、≪聖徳太子絵伝≫妙安寺、≪親鸞聖人絵伝≫願牛寺蔵などは状態も良く絵もしっかりとしていて見ごたえがあった。
そもそも親鸞が40歳~60歳までの20年間茨城県で布教活動をしていたとは、本願寺展にも行きながら全く知らなかった(記憶になかったが正しい?)。この20年間に親鸞の布教が残した足跡は非常に大きいことがよく分かる展示内容。解説も分かりやすい。難点は、毎回ここの特別展には作品リストが用意されていないこと。・・・と思ったら、帰宅後HPを見たら作品リストが掲載されていた。⇒ こちら
これからここに、行く時は作品リストを印刷して持参しよう。
図録は1000円とお値打ちなのに厚みもあり、お手頃な値段。

仏像では木造「阿弥陀三尊像」1307年のものが印象的。向かって左の菩薩の顔が個性的だった。

秋には、私の好きな立原杏所の展覧会が予定されている。これも見逃せない。

4.「リフレクション/映像が見せる“もうひとつの世界”」 水戸芸術館 5月9日まで

reflection

展覧会HP http://www.reflection-alternatives.jp/

聞きしに勝る内容。2時間強を予定していたが、やはり全作品を見ることはできず、日を改めて再訪する予定。1度全作品を見るなら4時間は必要だと思う。しかも、内容がかなり重かった。
今日は、さわひらきの新作、Chim↑Pom、八幡亜樹、マティアス・ヴェルカム&ミーシャ・ラインカウフらの作品を鑑賞。さわひらきの新作は、映像でついにここまでやったか!という驚きと感動がないまぜになり、連続2回も観てしまった。さわひらきさんのファンは必見です。

この展覧会については、全ての作品を見てから日を改めて別途アップしようと思います。今日は時間が足りずに見ることができなかったローラン・モンタロンの長編(1時間くらい)が気になります。

で、最後の締めくくりは、水戸から上野に出て本日最終日の「長谷川等伯展」(後期)へ。19時15分頃入館しましたが、待ち時間もなく、お客様もそれ程でもなくストレスなしで鑑賞できました。3度目の鑑賞となりましたが、これまでとは違って「山水図襖」に強く惹かれ、その前でかなりの時間を費やし、やっぱり好きな「善女龍王像」にしばしのお別れをしてきました。
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